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新しい二地域居住を実践する3つのケース

高齢化、介護問題もなんのその!? “親世帯と楽しむ週末田舎暮らし”という新しいカタチ(3/4ページ)

馬場未織馬場未織

2017/06/15

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親の介護をきっかけに、Uターン二地域居住をはじめた男性Yさん


(c) maroke – Fotolia

十数年前から、両親の面倒を見るために実家に通う男性Yさん。東京に在住・在勤ですが、週末はほぼ毎週、両親のいる南房総の実家へ通っています。

長期入院中の母親を看病し、また高齢でひとり暮らしとなった父親を見ながら、農地の世話や集落の役回りの担当などもこなすマルチタスク状態。

「馬場さんも忙しいよね、わたしも忙しくてね!」と声をかけあうこともしばしばです。

以前は、この一連のマルチタスクをこなすのに無我夢中で、何かを楽しむゆとりなど持てずにいたYさん。平日も仕事で忙しいのですから、息つく暇がないわけです。

ところが近年、移住や二地域居住をする友人とのつながりが増えるなかで、「自分のこの田舎通いも、言ってみれば“二地域居住”なんだな」と気がついたといいます。

忙しさが減ることはありませんが、合間を縫って友人らと過ごす時間が持てることで、この田舎通いが積極的な楽しみへと変化し、価値が転換されたわけです。

田舎暮らしを始めて間もない人たちは、野良仕事から大工仕事までプロ並みの技とセンスを持つYさんに助けてもらうことも。頼られながら、教えながら、地元との多様な縁を深めていきます。

「近い将来、南房総にUターンすることを考えると、毎週帰ることで友人知人が増えたことは大きなメリットだったかもね」と振り返るYさん。若者が定住できるような仕事をつくるなどして、里山環境に賑わいを取り戻していければと、地域と自分の将来を重ねつつ、ライフプランを思い描いています。

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家族の介護移住と、ご自身の二地域居住を両立させた男性Sさん

Sさん家族が館山に居を移したのは、4年ほど前。Sさん自身は、仕事のある東京との二地域居住をしています。

以前より高次脳機能障害のある義父は、ADL(日常生活動作)が低下しており、また、東京でひとり介護を担っていた義母は、自分の介護力の低下を感じていました。そんななか、Sさん家族の移住から1年ほど経った頃、ママ友のツテで「南房総市白浜に、『小規模多機能施設ろくじろう』という理想的な介護施設がある」と情報を得たそうです。

『ろくじろう』は、利用者の日々の細やかな希望に沿って、泊まったり通所したりと自由に利用できるのが特徴で、最期まで利用者とその家族に寄り添ってケアする方針を掲げています。

東京での終末医療の形に疑問を感じていた義母は、介護移住をしよう、と決めることに。“終末は大好きな娘家族と生活したい”という思いや、“娘家族の慣れない移住生活を助けたい”という思いを重ねての決断でもありました。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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