だから私は田舎を選ぶ。「自然のなかで子育て」をしたくなるワケ(1/3ページ)
馬場未織
2016/11/25
自然が隣にあっても、公園がほしいママたち
「自然のなかで、子育てがしたい」。
移住や二地域居住をしたいと思うきっかけが、子どもと過ごす環境への思いから始まるケースは多いです。
かく言うわたしも、息子の生きもの好きをきっかけに週末田舎暮らしを考え、自然を楽しむ子育てを10年ほどしてきました。結果的に、都会ではきっと体験しえない、想定以上の豊かさを得ることになりました。野山があり、海があり、多様な生きものがあり、親も子もその環境のなかで育てられました。
わが家の場合は親の実家までたどっても田舎がなかったので、がんばって「おばあちゃんのいないおばあちゃんち」を得たわけですが、その苦労を押してでもこの暮らしを手に入れる価値はあったなと思っています。
一方で、昔からここに住んでいる地元の方たちは、この価値に気づいているかな? と思うことがあります。
先日、南房総市役所で打ち合わせをしているとき、子育て中の職員さんから「このあたりのママたちからは、『公園をつくってください』という声があがっているんですよ」という話を聞きました。
公園を?
こんなに自然があるのに?
「はい、玩具があって囲われている公園がないと、子どもが外で遊べない、という声です」。
公園ではない自然を求めて南房総に住まいを持ったわたしにとって、それはちょっとした衝撃でした。
この記事を書いた人
NPO法人南房総リパブリック理事長
1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。