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見逃せない!自治体の「お試し移住制度」を活用しよう

馬場未織馬場未織

2016/01/04

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アルプスの眺望は地域でも随一!(長野県飯島町)

 多くの自治体ではいま、少子化に伴う人口減少に危機感を募らせています。あまりに人口流出が続けば、税収が減り、自治体の存続自体が危ぶまれます。少しでも人口を増やして地域の活気を取り戻そうと、さまざまな移住促進の試みに取り組む自治体が増えています。

 そのひとつがお試し移住制度。気軽に1泊から腰を据えて1年にわたるものまで期間はさまざま。多くの場合、住宅斡旋や家賃補助があり、利用者の経済的負担はわずかで済むうえ、なかには就業体験付きのプログラムもあります。いくつか具体的な事例を紹介しましょう。

 長野県飯島町は、西に中央アルプス、東に南アルプスと、ふたつのアルプスに囲まれた眺望のすばらしい町です。ここでは、田舎暮らしに興味がある方を対象としたお試し暮らし制度として、「飯島町田舎暮らしリサーチ住宅」が用意されています。町所有の施設を1カ月単位で最長6カ月間、月額6,400円というリーズナブルな価格で借りることができます。2012年から始まったこの制度を利用して、すでに3組が移住し、2組が二地域居住を始めているそう。こうした先人がいるのも心強いですね。

https://www.iju-join.jp/feature/file/019/05.html#01

さまざまな仕事が体験できる(島根県)

 島根県では、長短さまざまな体験移住プログラムが用意されています。暮らし体験を1泊2日で行うツアーから、3日間〜1週間の短期間ながら地域づくり活動を体験できるコース、あるいは一定期間(3カ月〜1年)、農林漁業、伝統工芸、介護の産業体験を行うものまで多種多様。長期滞在者には、月額12万円の補助金が出るので、いったん仕事を辞めてチャレンジするとしても、当面の生活には困らないでしょう。

http://www.kurashimanet.jp/experience/

集落支援員やNPOのフォローがうれしい(山形県遊佐町)

 遊佐町は山形県の最北西部に位置し、鳥海山と日本海に囲まれた自然豊かな町です。この町の「お試し体験住宅」は、利用できる期間が1日~最長90日まで。借りる期間や使用内容によって、賃貸借料は異なるので要相談です。

 このプログラムのいいところは、町役場から委嘱された「集落支援員」と、NPO法人いなか暮らし遊佐応援団が、遊佐での暮らし体験をフォローしてくれること。いなか暮らし遊佐応援団は、集落支援員と連携して、移住希望者と集落との橋渡しを担っている頼もしい存在です。

http://www.yuza-iju.com

なんとに住んでみられ!(富山県南砺市)

 富山県の南西部に位置する南砺市には、庄川や小矢部川の急流河川が流れるなど豊かな自然がありつつ、山間部には世界遺産に登録された五箇山合掌造り集落があります。平家の落人の哀愁を奏でる「麦屋節」や、約1400年前から歌い継がれる「こきりこ」などの五箇山民謡など、伝統文化の宝庫でもあります。

 ここでは移住希望者向けに、市内の空き家などに家電や家具を備えた「なんとに住んでみられ」住宅が用意されています。利用期間は1泊〜30泊、料金は1人1泊1,000円(小学生以下は無料)。ネット環境も整っているとのことで、パソコンで仕事ができる人なら、たっぷり1カ月滞在して、住み心地を試してみるのもいいかもしれません。

 なお、この事業を行っている部署は「南砺で暮らしません課」と、なんともユニークな名前。サイトには移住定住者の声が載っているほか、「定住促進ガイドブック」がダウンロードできるようになっているなど、移住促進に力を入れている様子がうかがえます。

http://www.kurashi.city.nanto.toyama.jp/wp/wp-content/uploads/2014/03/guide_H2704_A3.pdf


 ここに上げたのはごく一例に過ぎません。情報源としてオススメなのは、JOIN(移住・交流推進機構)の「知らないと損する全国自治体支援制度5910(2015年度版)」。

https://www.iju-join.jp/feature/file/019/pdf/shien2015-iju_others.pdf

ほかにも、気になる地域名と「体験移住」といったキーワードで検索すれば、意外と多くのお試し制度が見つかります。ものは試しです。ぜひ実際に住んでみて、移住・デュアルライフ(二地域居住)の足がかりをつかんでみませんか。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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