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環境アレルギー対策で、さらに健康増進! 第15回 「築古の物件を借りる・購入する際に気をつけておきたいアレルギーに関するポイント」

加藤 美奈子加藤 美奈子

2021/04/28

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イメージ/©hanohiki・123RF

お手頃の築古物件 でもアレルギーが気になる

コロナ禍でリモートワークに替わった企業において、従業員の「家族(小さな子ども)がそばに居て集中できない」という悩みがときどきTVの報道やWebニュースなどでみられます。

このような状況のなか、間取りの充実したお手頃の中古物件を新たに購入、または賃貸で入居される方も増えています。

ここではそれら中古住宅を購入・借りる際に、気を付けておきたいアレルギーに関するポイントについて述べていきます。まず一つ目は「カビ」の問題です。

チェックポイント「カビ」

カビアレルギーがあることをご存知ですか? 住宅内にはクラドスポリウム(クロカビ)、トリコデルマ(アオツチカビ)など約10種類のカビが発生しやすいといわれています。

カビとは真菌(カビ類とも呼ぶ)の一門になります。カビは、胞子から発芽し、その菌糸を伸ばし、菌糸の先から若い胞子を出すことにより生育・増殖します。

カビの発育には、温度、湿度、栄養源などの条件が必要になり環境が整うと増殖します。

中古物件を契約する前に情報収集した方がよい内容は、

・管理者が風通しを毎日しているか? あるいは、24時間換気システムを稼働しているか?
・入室時にカビ臭はないか?

などで、カビが発生しやすい場所は以下になります。この辺りは丁寧に細かくチェックしましょう。

・台所
・浴室、脱衣所
・洗面所
・トイレ
・壁面
・家具などの裏側
・押入れ
・下駄箱
・サッシ
・洗濯機
・家具

カビを発生させないためには、カビが好む環境を作らないことが大切です。換気をまめに行い、空気の流れをよくし、壁、床、窓などを布などを使用しきれいに清掃をすることがお勧めです。

次に「揮発する化学物質」の問題が挙げられます。

次ページ ▶︎ | チェクポイント「揮発する化学物質」 

チェクポイント「揮発する化学物質」

室内の揮発する化学物質で身体の異常がきたすことをシックハウス症候群といいます。例えば、リフォームしたばかりの部屋を換気せずに閉め切った状態で過ごすと症状がでる人もいます。

ある事例は、マンションの1室でリフォームした直後に閉め切った状態で放置をし、1年ぶりにドアを開放したことで大量の揮発する化学物質を住人が浴び、急性毒性の症状(吐き気、下痢、嘔吐、頭痛)が強く現れた方もいます。

また、築古物件を購入し、その部屋に手作りの家具を設置したためにその家族は吐き気、下痢などの症状を起こした事例もあります。手作りの家具では、塗料、接着剤などに含まれる化学物質が揮発して健康に影響を及ぼすことがあります。

対策:手作り家具は、完成した数日間は陰干しを行い、家具から揮発する化学物質を放散させ、それが落ち着いたら室内に入れることをお勧めします。

ほかには、元住人がヘビースモーカーだった場合、壁などに臭いなどが残っていることもあります。臭いの元は、揮発する化学物質(2000~4000種類)なので、状態に応じては室内環境をリフォームした方が空気由来の健康被害を減らすことができます。

揮発する化学物質の中身とは

では、揮発する化学物質の中身は何か一部お伝えします。

・塗料の溶剤(ベンジルアルコール、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、1.2.4-トリメチルベンゼン、トルエン、キシレン、n―ブタノール、ヘキサン、アセトン、エタノールなど)
・接着剤(酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ビニル、n―ブタノール、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、アセトアルデヒド、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、フタル酸ジブチルなど)
・新品のカーペット(ベンゼン、アセトン、n―ウンデカンなど)
・ワックスを塗布(エタノール、トルエンなど)

次ページ ▶︎ | ココは必ずチェック 

ココは必ずチェック

築古物件を見学に行くとき、アレルギー対応に関するポイントは、

①全て中古なのか、一部新しいものが入っているのか調べること。管理会社が室内の清掃、換気をきちんと行っているか確認すること

②契約前に物件をきちんと隅々まで自分の目で確認すること

③可能であればその物件で1日過ごし、水回り、窓周辺、押し入れなど体験しながら確認すること

コロナ禍、まだしばらくは、リモートワークが続くエリアもあります。家族と仲良く過ごすために広い場所に引っ越すのもとてもいい案だと思います。その際にアレルギーのことも気にしながら選ばれると、ますます心身とも健康になることでしょう。

環境アレルギー対策で、さらに健康増進!
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この記事を書いた人

春日井環境アレルギー対策センター 代表

子どもがアレルギー起因の喘息で入退院を繰り返した経験から、2011年にアレルギーをもつ子どもの育児をサポートする任意団体を設立。2018年、春日井環境アレルギー対策センターを設立し、健康住宅建築や既存建築物の空気質測定、室内空気環境品質検査認証などを中心に事業展開。アレルギー患者を一人でも減らすべく日々活動している。資格:看護師、環境アレルギーアドバイザー、シックハウス診断士

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