ウチコミ!タイムズ

賃貸経営・不動産・住まいのWEBマガジン

現代医学と漢方医学の違いは自然との向き合い方にある(1/3ページ)

杉 幹雄杉 幹雄

2020/11/03

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

イメージ/©︎freerlaw・123RF

日本の医療現場では多くの医師が漢方薬を使うようになり、体裁上は現代医学と漢方医学の融合がなされたかのように見えます。しかしながら、前回のコラム現代医学の病名から漢方薬を選んでも効果はない?でお話ししたように漢方を現代医学の病名投与として使っても、漢方医学の本来の力を発揮させることはできません。

そこで今回は現代医学と漢方医学の違いを考察し、漢方医学の真の姿、可能性についてお話しします。

文明論で考える現代医学と漢方医学

現代医学は西洋文明の哲学の上に作られた医学であり、漢方医学は東洋文明の哲学の上に作られている医学です。そのため病気をとらえる視点も、この2つの文明哲学は相反しています。

現代医学を作った西洋文明は「自然を克服する哲学」を基盤にしています。一方で、漢方医学を作った東洋文明は「自然順応を基本とする哲学」を基盤にしています。

この「自然を克服する」道のりとは、「自然を敵視し制服すること」にあります。一方の「自然順応を基本とする」道のりには、「自然の道理を理解して共生順応していくこと」に重点が置かれます。

当然のことながら、文明哲学を基盤としてできあがっているのが医学です。つまり、このような医学の視点の基盤が病気治療に向き合う姿勢に反映され、この部分が2つの医学を比較するうえで重要な点になります。

言い換えれば、現代医学は「病気を不必要なもので異常と考え取り除くこと」を主眼として構築されています。一方、漢方医学は「病気の必要必然性を理解し、必要性を除くことにより病気を治すこと」を主眼としています。

こうした病気治療への向き合い方の違いに「病気が身体にとって必要必然性があるかどうか」という視点を加えて、現代医学、漢方医学2つの医学を観察すると、2つの医学の将来性が浮かび上がります。

何故ならば病気が身体にとって必然性があって発症しているならば、その病気を不必要で異常なものととらえ敵視し、必然性を認めない現代医学に将来性はないと言っても過言ではないからです。逆に、すべての病気が不必要なものであるものならば、現代医学は今後も発展していくでしょう。

この「病気が身体にとって不必要な現象」であれば、漢方医学では衰退していくでしょう。

しかし、「病気が身体にとって必然性がある現象」であるならば、漢方医学は今後の医療に大きな転換をしていくもたらす役目を担っていくに違いありません。

次ページ ▶︎ | 現代医療と漢方医療――「病態把握」の違いはどこか? 

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • Hatebu

この記事を書いた人

すぎ内科クリニック院長

1959年東京生まれ。85年昭和大学医学部卒業。国立埼玉病院、常盤台病院、荏原ホームケアクリニックなどを経て、2010年に東京・両国に「すぎ内科クリニック」を開業。1975年大塚敬節先生の漢方治療を受け、漢方と出会ったことをきっかけに、80年北里大学東洋医学研究所セミナーに参加。87年温知堂 矢数医院にて漢方外来診療を学ぶ。88年整体師 森一子氏に師事し「ゆがみの診察と治療」、89年「鍼灸師 谷佳子氏に師事し「鍼治療と気の流れの診察方法」を学ぶ。97年から約150種類の漢方薬草を揃え漢方治療、98年からは薬草の効力別体配置図と効力の解析を研究。クリニックでは漢方内科治療と一般内科治療の併用治療を行っている。

ページのトップへ

ウチコミ!