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「事故物件ロンダリング」が行なわれることも

事故物件の告知義務ルールを悪用したケースに要注意!(2/2ページ)

尾嶋健信尾嶋健信

2016/05/25

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事故物件もロンダリングされる?

過去どれくらいまでさかのぼるかについても、明確な基準があるわけではありません。判例では、6年前の縊死自殺や7年前の服毒自殺が「嫌悪すべき事項」として心理的瑕疵に認定されたケースがあります。

業界内では、賃貸については事件事故から3年間、売買については5年間の告知義務がある、ともいわれていますが、その根拠がどこにあるのか、不明確なままです。

悪質な不動産業者の場合、事故物件の告知義務を解除するために、マネーロンダリングならぬ「介在者ロンダリング」なる手法を行なうこともあるようです。

これは、「事件事故があった物件に別の買い主・借り主が一定期間住んだ後であれば、心理的嫌悪感も薄まる」という考え方が前提にあります。実際、そのように言及した過去の判例もあったようです。そこから、「事件事故の告知義務があるのはひとり目の入居者までで、ふたり目からは事故歴を告知しなくていい」と考える業者が出てきたのでしょう。

事故物件は、不動産業者にとって頭痛のタネです。通常は、事故物件になんて誰も住みたくありませんから、買い主・借り主を見つけるためには、売価や賃料を大幅に下げざるを得ません。

しかし、その物件の名義を一時的に社員や知人に置き換えたり、賃貸であれば短期間でも社員のひとりにでも入居させたりしてしまえば、次の買い主・借り主には、事故歴を告知する義務がなくなり、相場の価格で物件を扱えるようになると考える業者がいるのです。自分は絶対にふたり目の買い主、借り主になりたくありませんが…。

考えてみれば、わが国では毎年3万人前後が自殺しています。もちろん、すべてが室内で起こるわけではありませんが、それだけ事故物件が毎年増えていっているわけですね。

不動産投資市場には、利益の上がらないババ物件だけでなく、アブナい事故物件も数多く出回っています。事故物件には告知義務があるとはいえ、これから不動産投資を始めようという人は、インターネットの「事故物件検索サイト」をチェックするなどして、事故物件に関するアンテナをしっかり張っておいてほうがよさそうです。

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この記事を書いた人

満室経営株式会社 代表取締役

1970年、神奈川県逗子市生まれ。青山学院大学経営学部卒業。 大学卒業後、カメラマン修行を経て、実家の写真館を継ぐ。その後、不動産管理会社に勤務。試行錯誤の末、独自の空室対策のノウハウを確立する。 2014年時点で、500人以上の大家さんと4000戸以上の空室を埋めた実績を持つ。著書に「満室革命プログラム」(ソフトバンククリエイティブ)、「満室スターNO1養成講座」(税務経理協会)がある。 現在、「月刊満室経営新聞(一般社団法人 日本賃貸経営業協会)、「賃貸ライフ(株式会社 ビジネスプレス出版社)」にコラム連載中。 大前研一BTT大学不動産投資講座講師。

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