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全国民が安堵 アミメニシキヘビが捕獲 あらためて確認したい「賃貸とペット」(2/2ページ)

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後追いで「ダメ」は難しい

では上記に該当する場合で、オーナーがあとから不都合に気づき、「爬虫類はこの物件では一切飼ってはダメです」などと、後追いで禁止事項を定めたところ、すでに「近隣に迷惑をかけるおそれのない」ヘビあるいはトカゲなどを飼っていた入居者さんがいたとすれば、どうなるだろうか? つまり、無毒で体が小さくそれ以上成長もしないといった種類の個体だ。

この場合、入居者さんにとって新たな禁止事項の制定は、いきなりの「不利益な契約内容への変更」となる。応じる義務はなく、拒否すればそれが認められる可能性も当然高くなるだろう。もしも争えば、「ペットを手放す必要はなく、部屋を明け渡す必要もない」と、通常は判断されることとなるはずだ。

では、同じシチュエーションで、「契約更新の際は、新しい契約内容を承諾してくれ」あるいは「飼うなら更新せずに退去してくれ」と、オーナーが頼んだ場合、話は通るだろうか?

答えは、やはり難しい。入居者側から、「このペットは手放せないし、引っ越しさせられるのも困る」と、元の契約内容での更新を求められれば、ここで借地借家法が壁となる。いわゆる正当事由を成立させられないかぎり、オーナー側としては要求を押し通せないことになりそうだ。

そのペットは「信頼関係」を破壊する?

賃貸住宅でのペット飼育に関しては、契約内容がまず重要であるほかに、そのペットを飼うことが、貸し主・借り主間の信頼関係を破壊するものであるか否かが、もうひとつの重要な観点となる。賃貸経営でのトラブルの際よく出てくる、「信頼関係破壊の法理」だ。

ゆえに、賃貸借契約書には「ペットは不可」と、たとえ動物全般を指して記されていたとしても、ハムスターやモルモットのような小動物や、小型で安全な爬虫類などの場合……

「鳴き声で周りに迷惑をかけるわけではない」

「居室や建物をことさら毀損、劣化させるものでもない」

こうした理由から、入居者さんがこれらを飼いたいといえば、一律に拒否できない可能性も考えられる。

また、この「信頼関係」は、ペット不可の場合よりも、むしろペット可のケースで、おそらく論点になりやすいだろう。

例えば、飼い主である入居者のしつけや管理がよくないため、犬がほかの入居者さんをたびたび噛んだり、吠え声が長時間にわたって激しく、近隣に迷惑をかけたりといった事態が生じた場合、オーナーが入居者に退去を申し入れるにあたっては、そもそも飼育自体はOKだ。

そのため、争いになれば、判断は「信頼関係の破壊が客観的に生じているか?」に集約されることとなるだろう。

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