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大家が主役になる時代の幕開け(2/3ページ)

藤戸 康雄藤戸 康雄

2021/04/26

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大家と管理会社の間には「情報格差」がある

情報格差とは何か? 

それは「管理会社が持っていて大家が持っていない情報」のことだ。さまざまな情報があるが、よく考えてみてほしい。管理会社があなたの物件と同じエリアに、あなたの建物とほぼ同じグレードの建物を管理していないとは考えにくい。そんなとき、客が選ぶ部屋がいつもあなたの物件になるだろうか? ならないこともあるだろう。ライバル物件に客が決めたとき、必ずしも客が主体的に決めたとはいえない事情があったりするものだ。

ライバル物件の大家は、退去後のリフォーム工事代金が明らかに割高と感じても、空き室を早く埋めてくれるのなら文句もいわずに高いリフォーム工事を発注してくれたとしたら? 管理会社の担当者が恩義を感じて、あなたの物件よりもライバル物件を強く勧めたのかも知れない。そんなことはあなたは知る由もない。

これが情報格差なのだ。

新しい法律を知って大家は主導権を取り戻そう

賃貸住宅管理業法ができたからには、これまで管理会社が主体的に決めてきたことは、「そうは問屋が卸さない」ことになるかも知れない。

なぜならば、これまでは管理会社の業務を規制する法律もなければ罰則もなかったからだ。これからは法律を守らなければ罰が与えられる。なによりも、これまで管理会社を取り締まる監督官庁は存在しなかったのであるが、これからは国交省が取り締まってくれるのである。

管理会社のせいで損害を被った大家は、泣き寝入りするか、それが嫌なら裁判を起こして勝つしかなかったのだが、これからは賃貸住宅管理業法に照らして、大家がおかしいと思えば裁判を起こす前に国交省に苦情申し立てすることができる。監督官庁でもあり、賃貸住宅管理業法を所管する国交省は、受け付けた苦情について調査をして、必要があれば管理会社を監督指導してくれるのである。

これまで煮え湯を飲まされてきたと感じている大家は、この新しい法律のことをよく勉強し、管理会社との契約をよく検証して、自分が主役に躍り出るつもりで賃貸業に取り組んでほしいものだ。

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この記事を書いた人

プロブレムソルバー株式会社 代表、1級ファイナンシャルプランニング技能士、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士

1961年生まれ、大阪府出身。ラサール高校~慶應義塾大学経済学部卒業。大手コンピュータメーカー、コンサルティング会社を経て、東証2部上場していた大手住宅ローン保証会社「日榮ファイナンス」でバブル崩壊後の不良債権回収ビジネスに6年間従事。不動産競売等を通じて不動産・金融法務に精通。その後、日本の不動産証券化ビジネス黎明期に、外資系大手不動産投資ファンドのアセットマネジメント会社「モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパン」にてアセットマネージャーの業務に従事。これらの経験を生かして不動産投資ベンチャーの役員、国内大手不動産賃貸仲介管理会社での法務部長を歴任。不動産投資及び管理に関する法務や紛争解決の最前線で活躍して25年が経過。近年は、社会問題化している「空き家問題」の解決に尽力したい一心で、その主たる原因である「実家の相続問題」に取り組むため、不動産相続専門家としての研鑽を積み、「負動産時代の危ない実家相続」(時事通信出版局)を出版、各方面での反響を呼び、ビジネス誌や週刊誌等に関連記事を多数寄稿。

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