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サブリースで大家業をやる人に朗報(1/3ページ)

藤戸 康雄藤戸 康雄

2021/04/26

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イメージ/©︎Sergei Babenko・123RF

「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の一部施行

2020年6月12日に制定された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下、賃貸住宅管理業法)の一部である「サブリース業者を規制する法律の部分」(以下、サブリース新法)が、20年12月15日に施行された。賃貸住宅管理業法は、①サブリース新法と、②一定規模以上の管理戸数がある賃貸住宅管理業者に国土交通省への登録を義務付け業務を規制する規定、の2つの異なる規制体系のものを一つの法律として制定し、各部分ごとに異なる時期から施行されることとなったものだ。

今回は、先に施行されたサブリース新法について、なぜ法律ができたのかという立法背景と、今後サブリースを活用して大家業を行おうとする人に法律の概要を解説したい。

始まりはアベノミクスだった

12年12月に発足した第二次安倍政権が掲げた経済政策である「アベノミクス」。その第一の矢といわれた、黒田総裁率いる日銀が13年4月から開始した異次元の金融緩和、通称「黒田バズーカ」という名称を覚えている人も多いだろう。

それは、かつてないほどの低金利政策とともに、市中にお金がジャブジャブにばらまかれた政策だ。政府の狙い通りには企業の資金需要は増すことはなく、そのお金の行き場は銀行による不動産融資に向かったのだ。

これがいわゆる「サラリーマン大家さんブーム」に火をつけた。その成れの果てこそが、大きな社会問題となった「かぼちゃの馬車事件」なのである。明らかに割高な新築シェアハウスの建設費に目をつむり、担保価値を上回る過剰融資が当たり前のように行われた結果、シェアハウスを売りまくった会社が倒産しサブリースで保証されるはずだった家賃収入がなくなったのだ。被害者の多さが大きな社会問題となった。

一部の被害者が集団訴訟を起こし、不正融資の咎を受けたスルガ銀行は物件の引き取りをもって融資を完済したとみなす「代物弁済」で決着したが、サブリースを活用した詐欺的な不動産投資案件として、政策上の手当てが急務と考えられた。

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この記事を書いた人

プロブレムソルバー株式会社 代表、1級ファイナンシャルプランニング技能士、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士

1961年生まれ、大阪府出身。ラサール高校~慶應義塾大学経済学部卒業。大手コンピュータメーカー、コンサルティング会社を経て、東証2部上場していた大手住宅ローン保証会社「日榮ファイナンス」でバブル崩壊後の不良債権回収ビジネスに6年間従事。不動産競売等を通じて不動産・金融法務に精通。その後、日本の不動産証券化ビジネス黎明期に、外資系大手不動産投資ファンドのアセットマネジメント会社「モルガン・スタンレー・プロパティーズ・ジャパン」にてアセットマネージャーの業務に従事。これらの経験を生かして不動産投資ベンチャーの役員、国内大手不動産賃貸仲介管理会社での法務部長を歴任。不動産投資及び管理に関する法務や紛争解決の最前線で活躍して25年が経過。近年は、社会問題化している「空き家問題」の解決に尽力したい一心で、その主たる原因である「実家の相続問題」に取り組むため、不動産相続専門家としての研鑽を積み、「負動産時代の危ない実家相続」(時事通信出版局)を出版、各方面での反響を呼び、ビジネス誌や週刊誌等に関連記事を多数寄稿。

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