マンション購入後に転勤になったらどうする? 転勤族が買うべきマンションの条件は?
斎藤 岳志
2017/08/08
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マンション購入後に転勤の辞令が!そのときどうする?
「転勤が多いので、マンションを購入しても住み続けられるかどうかわかりません。購入してもいいものかどうか不安です」といった声を耳にすることが多くあります。
そのお気持ちはとてもよくわかります。
ですが、本当はマイホームとしてマンションを買いたいのに、いつ訪れるかわからない転勤に備えて、不本意な賃貸住まいを続けるというのは賢い選択とは言えないのではないでしょうか。
ですから、そのような場合、私は資金面の問題がなければ購入することをおすすめしています。
少々乱暴なようですが、いざ転勤になったら、そのときに考えるという選択肢もあります。
仮に転勤になってしまった場合、短期間の転勤であれば、そのまま空き家にしておくということも考えられますが、「売却して手放す」か「戻ってくるまで賃貸に出す」という選択をされるケースが多く見られます。
売却を検討してもいい場合とは?
まずは、売却について考えてみましょう。
「売却をする=そこへ住むことを止める」という選択になるので、それなりの覚悟も必要になることでしょう。
では、どういう場合に売却を考えたら良いのでしょうか?
ひとつの判断基準としては、また現在の住まいに戻ってこられるかどうかという点が考えられるでしょう。
「今回、転勤した後に、いつ戻ってこられるのか時期はわからない」
「会社の意向を考えると、戻ってこられるかどうかさえわからない」
せっかく購入したマンションですが、このように、戻れる確率が限りなく低いのであれば、売却という選択肢を積極的に考えてもいいでしょう。
あるいは、転勤先の土地で家を購入して住みたい(住み替えをしたい)という希望がある場合も、売却を検討してもいいと思われます。
売却する場合のリスクと対策は?
売却を考える場合、まずポイントになるのが、住宅ローンが残っているかどうかということ、そして、住宅ローンが残っているのであれば、売却代金でローンの残債を完済できるかどうかという点です。
たとえば、住宅ローンの残債が2,500万円あるけれど、売却代金が2,000万円にしかならないのであれば、自己資金で500万円を用意しなければなりません。
このような状況に陥らないようにするためにはどうしたらいいのでしょうか?
そのために大切なことは、価値の下がりにくいマンションを購入するということです。具体的には後述しますが、不動産価格が落ちにくいエリアで、資産価値の高いマンションを選ぶことが重要と言えるでしょう。
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賃貸に出すことを検討すべき場合とは?
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次に、賃貸に出すという選択肢について考えてみましょう。
賃貸に出すことを考えたほうがいい場合とは、たとえば、
「転勤後にまた戻ってきて住みたい」
「いま売却しても、住宅ローンの残債以上で売却ができない」
といった場合が考えられます。
賃貸に出す場合の最大のメリットは、残っている住宅ローンの返済を家賃収入でまかなえることです。
場合によっては、入ってくる家賃よりも住宅ローンの返済額のほうが大きいことも考えられますが、それでも適正な家賃収入があれば返済負担を大きく軽減することができるでしょう。
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賃貸に出す場合のリスクと対策は?
自宅マンションを賃貸に出す場合の最大のリスクは、「入居者が見つかるかどうか」ということでしょう。
持ち主にとっては理想的なマイホームだったとしても、ほかの人にとっては住みにくいマンションだとしたら、当然、借り手はつきません。そうなると、ローン返済と、管理費や修繕積立金、固定資産税などのランニングコストばかりが重くのしかかってくることになってしまいます。
大幅に家賃を引き下げれば、借り手がつくかもしれませんが、それでもローン返済と維持費が大きな負担になることは変わりありません。
反対に、転勤から戻ってきて住みたいと考えても、借りている人がマンションの住み心地を気に入ってしまい、退去してくれないというケースも考えられます。当然、家賃は入ってきますが、マイホームに住むことができないというおかしな状況になってしまいます。
前者の場合の対策としては、売却の話とも重複しますが、資産価値が高く、価格が落ちにくいエリアのマンションを購入するということがあげられます。
「価値が落ちにくい=人気が高い」ということになるので、入居希望者も多く見込め、賃料が入ってこない期間が短くてすむ可能性が高いからです。
後者の場合の対策としては、賃貸借契約を結ぶときに「定期借家契約」を選択することが大切です。定期借家契約とは、更新がなく、定められた契約期間が満了すれば、確実に終了する契約です。そのため、入居者が退去せず、居座られてしまうということがありません。
転勤族におすすめできるマンションの条件は?
「売却」と「賃貸」というふたつの対策についてお話ししてきました。このふたつに共通しているのは「資産価値が高く、価格の落ちにくいマンション」が有利になるということです。では、それはどのようなマンションなのでしょうか?
(1)立地がいい
「資産価値が高く、その価値が落ちにくいマンション」の条件として、何よりも大切なのは「立地」だと言えるでしょう。不動産という言葉が示すように、場所だけは「動かすことができない」からです。
では、「立地がいい」とはどういうことでしょうか?
いろいろ要素はあると思いますが、大きく考えると
・交通の利便性がいい
・日常生活を送るのに便利な環境が整っている
という2点をあげたいと思います。
「交通の利便性」という点では、最寄り駅から徒歩5~10分以内、子どものいるファミリーであれば15分以内が好まれます。
「日常生活の便利さ」という点では、最寄り駅からマイホームまでの道のりに、スーパーやコンビニのような、会社帰りに生活必需品を購入できる店が充実しているエリアがいいでしょう。
(2)管理が行き届いている物件
マンションそのものについて言えば、「管理が行き届いている物件」ということがあげられます。
エントランスやポスト周りが乱れていないか、外観が汚れていないか、植栽がしっかり剪定されているかといったポイントをチェックすれば、管理が行き届いているのかどうかが見えてくると思います。
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「住み続けられなくなるリスク」は誰にでもはある
どんな人にでも、何か不測の事態が起こって、せっかく購入したマイホームに住み続けることができなくなってしまう可能性があります。
転勤があるかもしれないのでマンション購入を躊躇している人はもちろん、仕事柄、転勤はまずあり得ないという人でも、マイホームを購入する際は、「万が一の場合に、売却したり賃貸に出したりしやすい物件なのか」という視点から、物件選びをされることをおすすめします。
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この記事を書いた人
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。