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2019年問題でこれから家が安くなる!? それでもいま住宅を買うべき4つの理由

横山晴美横山晴美

2017/03/28

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2019年をピークに日本の世帯数は減少する


(c) naka – Fotolia

「2019年問題」をご存知でしょうか? 日本の世帯数が2019年でピークアウトし、減少に転じることで生じる問題のことです。

国立社会保障・人口問題研究所が2013年1月に発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、日本の世帯総数は2019年の5307万世帯でピークを迎え、2035年には4956万世帯まで減少すると推計されています。

世帯数の現象で何が起こるのか?

世帯数が減少するということは、住宅市場が縮小するということですから、現在のまま新築住宅をつくり続けていけば、住宅は供給過剰になります。また、現在は住居として使われている家も住む人がいなくなり、空き家が増加することが考えられます。そうなれば、不動産価格が下がる可能性があるでしょう。

ただ、すべての不動産価格が下落することは考えにくいと言えます。街の空洞化や過疎化などによるエリア全体の地価下落も考えられますが、人気が高いままの地域も存在するはずです。住宅購入の際には、立地選びがますます重要になると言えるでしょう。

ただ、空き家が増えるということは、逆に言えば、中古住宅の流通が増えるということにもつながりますから、その点ではメリットがあるかもしれません。

ただし、世帯主の高齢化も進んでいるため、築年数の古い中古物件が増える可能性が高いと言えます。

中古物件を購入する際は、住宅性能や耐震施工に注意する必要がありますし、新築・中古を問わずエリアや物件を注意深く選ばなければなりません。住宅購入は、さらに慎重に考えることが求められるかもしれませんね。

住宅の購入は待ったほうがいい?


(c) maroke – Fotolia

前述したように、空き家が増えること、住宅が供給過剰になることから、不動産価格が下がる可能性があります。

住宅購入を考えている場合、せっかく住宅ローンを組んで家を買っても、払い終わった頃には資産価値がなくなってしまう、もしくは大きく減ってしまうのではないかという不安もあるでしょう。

そういった不安を感じている人のなかには、もしかしたら「住宅を購入しないほうがいい」という結論を出す人もいるかもしれません。また、いまは住宅を購入せずに不動産価格が下がるのを待つ、という選択を考えている人もいるのではないでしょうか。

2019年問題のために、住宅の購入を「見合わせる」もしくは「遅らせる」のは賢い選択と言えるのでしょうか?

ファイナンシャル・プランナーとしての結論を申し上げると、購入したいという意思があるならば、2019年問題のためにわざわざその気持ちを覆すことはないと考えます。その理由を4つ、お伝えしましょう。

<理由1> それでも賃貸よりも購入が有利

仮に地価が下がり、住宅の資産価値も下がる場合、賃貸住まいのほうがメリットは大きいのでしょうか?

賃貸住まいならば、退職後も家賃を払い続けなければなりませんから、その費用をしっかり準備しなければなりません。地価が下がるならば家賃も下がると想定されますが、収入が減る退職後に家賃を支払い続けることは、かなりの負担になることでしょう。

確かに賃貸ならば、頭金や登記費用といった初期費用や、修繕費などの維持費がかかりませんし、固定資産税といった固定費も発生しません。しかし、それらの費用がない分を、将来の賃料として貯めておけるかどうかは別の問題です。

むしろ、住宅ローンを組むほうが、団体信用生命保険(団信)に加入することで死亡や高度障害になったときの保障が得られる分リスクが小さいかもしれません。健康上の問題で働けなくなった場合、家賃を支払い続けることはむずかしいでしょう。

もちろん、住宅ローンの返済を順調に続けられるかどうか、という問題は残りますが、適切な金額のローンを組むことで安全性を高めることは可能です。

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<理由2> 家を購入することが将来のリスクヘッジになる

低金利である現在は、金利の負担感は小さいです。また、低金利であるため、変動金利型よりも金利が高い固定金利型であっても、かなり低い水準で借りることができます。固定金利でローンを組めば、将来家にかかる費用がほぼ把握できるため、自分が無理なく返せる範囲のローンを組みやすくなり、家計を安定させることができます。

また、固定金利型であればハイパーインフレにも対応できます。インフレになった場合でも金利は変わらないため、むしろローンの負担は相対的に小さくなると言えます。

将来、インフレになるかどうはわかりませんが、少子高齢化が進めば日本の財政は悪化するため、インフレも想定しておくと安心です。

これから不動産価格が下がるかもしれないと考えると、いま住宅ローンを組んで家を購入するよりも、賃貸を選択したほうが有利のような気もしますが、長い目で見れば住宅を購入するメリットは大きいと言えます。また、リスクヘッジの面からも損得以外のメリットも持ち家にはあると言えるでしょう。

ただし、ここで「購入が有利」と申し上げているのは、マイホームを持ちたいのに躊躇しているのであれば、購入したほうがよいという意味です。賃貸かマイホームかの選択はライフスタイルの問題ですから、どちらが得か、という視点にこだわりすぎないようにしましょう。

<理由3> 不動産価格が下がるのを待つことはおすすめできない


(c) NOBU – Fotolia

2019年問題に関わらず、マイホームを購入するメリットがあることは、おわかりいただけたかと思います。では、不動産価格が下がることを期待して、「2019年まで待ってからマイホームを購入しよう」という選択肢にはメリットはあるのでしょうか?

結論から言えば、最終的に購入するなら、あえて待つメリットは少ないと考えます。住宅購入を待つことによる機会損失があるからです。

具体的には次のような機会損失が生じる可能性が考えらます。

(1)現在は住宅ローンが最低水準であり、購入を待つことで現在の低金利で住宅ローンを借りられるメリットを逃してしまう

(2)住宅ローンを組む時期が遅れることで、完済年齢も後ろにずれ込む恐れがある

(3)購入を見合わせた間に健康を害してしまうと、団信に加入できず住宅ローンが組めなくなる恐れがある

そして、もうひとつ重要な点は、2019年になったからといって、すぐに住宅価格が下がるとは言えないということです。

物件価格はエリアの人気度や経済事情にも左右されるため、場合によっては価格が上がるリスクもあります。何よりも不動産価格の下落を待つ間にも家賃は発生し続けるため、あえて購入を待つ意義は少ないと言えるでしょう。

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<理由4> 資産価値が下がっても実は問題ない

仮に、住宅購入後、不動産価格が押し下げられマイホームの価値が下がったとしても、そう悲観することはありません。少なくとも、居住している状態ならば資産価値が下がっても家計にマイナスの影響はありません。

また、住み替えのために売却するのであれば、売却価格が低くなってしまっても、新たに購入する物件も同じように価格が下がっていると考えられるため、資産価値が下がること自体はデメリットとは言えないでしょう。

資産価値が下がることで問題が生じるのは、住宅ローンの返済中に住宅を売却しなければならなくなった場合です。

住宅ローン返済中に、ローン残高よりも低い金額で売却することになると、当然、売却代金だけではローンを返済しきれません。ローン残高によっては、売却代金に加えて自己資金を返済に充てても借金が残ってしまう恐れがあります。ローンが残った状態では、新たな家を購入できない可能性もあり、買い換え自体がむずかしくなるかもしれません。

こうしたリスクは誰にでもあることです。住宅ローン返済中に、たとえば勤務先の倒産やリストラといった不測の事態が生じることも考えられるため、途中売却の可能性をゼロにすることは困難だからです。

こうした事態に備えるための自衛策として有効なのは、リスクの少ない借入額を知っておくことと言えます。

返済リスクを抑えるには、最初の借り入れ額が肝です。住宅ローンの返済を無理なく続けていくためには、毎月の返済額だけでなく、そこに固定資産税などの諸経費を上乗せした金額が「無理なく返済できる金額」になるよう、借り入れ額を決定することが大切です。

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まとめ

2019年問題があるからといって、住宅購入を見合わせたり、購入時期を遅らせる必要はない理由がおわかりいただけたでしょうか。

もし、頭金がないので貯めたい、家族が増えるかもしれないので少し待ちたい、といった理由があるのなら2019年まで待ってもいいかもしれません。

しかし、そういった事情がなく、現に住宅購入を検討しているならば、2019年問題とは関係なく、家族の年齢やライフイベントに合わせて購入を決定することをおすすめします。

世帯数の減少により、地価下落の恐れは確かにあります。しかし、すべての地価が下がるとは限りませんし、逆に人気のエリアは地価が高騰する可能性もあります。「2019年問題」という言葉に振り回さなれすぎないよう注意しましょう。

2019年問題のリスクを知った上で、慎重な物件選びをすることで納得のマイホームを手に入れたいものです。

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この記事を書いた人

ライフプラン応援事務所代表

ファイナンシャルプランナー(AFP)、住宅ローンアドバイザー。企業に属さない独立系FPとして、2013年ライフプラン応援事務所を立ち上げて以降、住宅相談を専門に扱う。マイホーム相談では保険見直し、教育費、退職後プランなど総合的な視点で資金計画、および返済計画を考案。相談業務のほか、セミナー講師、執筆業など情報発信、啓蒙活動にも力を入れている。 「自分の家計は自分で守る」をモットーに、丁寧でわかりやすい面談が好評。 また、給付金や控除など、消費者のための制度を調べるのが得意で、「ここが使いにくい」「誰のための制度なのか」などとケチをつけるのが好き。

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