マンションの評価が変わる!? 管理状態を明確にする「等級評価」(4/4ページ)
小川 純
2020/07/31
指標評価を広めるために必要なこと
簡単にいってしまうと、中古車情報のサイトなどで、そのクルマの評価が行われているが、これをマンションに応用したようなイメージだ。
「中古車は数十万円~数百万円のもので、こうした買い物でも評価の見える化が行われています。一方、マンションとなれば数千万円単位の買い物になることもあるのに評価の対象が表向きの築年数や駅からの距離だけで、物件そのものの中身が全然見えないというのは、消費者保護の観点からもどうなのかということです。将来的にはマンションの物件情報誌やウェブサイトでそれぞれの物件情報とともに、こうした評価も掲載されるようになればと思っています」(前島さん)
とはいえ、こうした評価を行う際には、中立的な立場でその評価を行う人が必要だ。具体的な検査などはどのように行うのだろうか。
「評価については国や自治体が認定するなど、評価の担保が必要になります。マンション管理士や、管理業務主任者などのマンション管理の専門知識を持った人による評価が必要になるのではないでしょうか」(前島さん)
こうした評価を行うには、受ける側、つまりマンションの管理組合や住民の合意を得ることが必要になってくる、この点について前島さんは次のように話す。
「私たちとしては登録を義務化できればと思っています。しかし、法律による義務化になれば話は別ですが、そうでなければ何らかのインセンティブ、メリットがなければ進まないと思っています。そこで、たとえば国とか地方自治体から補助金を出してもらう、あるいは税制面での優遇などは考えられないか模索しています」
こうした評価は「投資の目安になる」と前島さんはこう話す。
「『マンションは管理で買え』といわれますが、実際にはそれが市場価格には反映されていません、最近では中古住宅市場のシェアも大きくなっており、今後はこうした評価も区分所有オーナーにとっては投資の目安になると考えています」
マンション管理適正評価研究会では、管理の重要性が注目される中で、その報告書の取りまとめを進めて、適切な時に発表したいとしている。
この記事を書いた人
編集者・ライター
週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。