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中古マンション投資での価格交渉――値引きの可能性が高い売り手と、低い売り手をどう見極めるか?(1/2ページ)

斎藤 岳志斎藤 岳志

2020/07/09

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イメージ/©︎paylessimage・123RF

営業担当者を味方に付ける大きな理由はここにある

エリアの絞り込み、周辺立地の環境、物件の程度、共有設備、個別の仕様……物件選びで吟味するところはさまざまあります。もちろん、物件の価格、諸経費の見積もりの確認はいうまでもありません。とはいえ、これらはいずれも「自分の都合」です。じつは中古のマンション投資では「売り出している側の都合」を知ることも欠かせません。そして、前回お話ししたように、これも「営業担当者を味方にする」理由の1つでもあります。中でも売り出している側の都合重要なものは「なぜその物件を売ろうとしているか」ということです。これは価格交渉ができるかどうか、どこまでできるかの目安になるからです。

例えば、現状で入居者がいるオーナーチェンジの物件であれば、現時点で家賃収入がある状態です。つまり、“稼いでくれている”物件です。それを手放すというのは何らかの理由があるはずです。その理由としてもっとも多いのが「資産整理」。しかし、さらに詳細を聞いていくと、資産整理といっても大きく4つに分類分けできます。この分類分けが値段交渉での大きな違いになってきます。

値引きの期待できない売り手とは?

1つ目が「特別にお金が必要ではないが、この条件で買ってくれる人がいるなら売ってもいいかな」という売却にあまり積極的でない「非積極型」です。

非積極型はあくまでも「自分の出している条件に合えば」なので、売り出す際に設定した価格で売るのが基本路線。ですから、値引き交渉はほとんどできないと思ったほうがいい物件です。そのため提示されている価格で、自分が納得できるかどうかになります。しかし、それだけではなく、自分が賃貸で出す際の家賃設定を考えることが重要です。すでに入居者がいる場合は値上げはできません。また、当たり前のことですが、周辺の家賃相場との比較など、先方の言い値で買うのですから、ここはシビアに採算分岐を見ていく必要があります。

2つ目は「持っている物件が古くなってきたので、売却して新しいものを買いたい」という「軽積極型」です。この軽積極型の人は別の物件を買いたいという思いがあるので、非積極よりも売却に前向きです。

とはいえ、軽積極型にも2つのタイプがあって、ぼちぼち買い換えようかなという漠然派と、具体的な物件を想定している、あるいは次の物件が決まっている具体派です。漠然派は非積極型に近いため価格交渉は厳しくなります。一方、具体派はすでに物件を決めているため、早く売りたいという気持ちがあり、こちらの出す価格によっては値引きの可能性は高くなります。しかしながら、漠然派にしろ、具体派にしろ次を考えているので、売却価格は次の物件の予算に組み込まれているでしょう。そのため、価格交渉の幅はそれほど大きくないと予想されます。ただし、具体派の中でもすでに購入物件が固まっているのであれば、時間的な余裕がないことも予想されるので、思った以上の値引きに応じてもらえる可能性もあります。焦らずじっくり構えてみるのも作戦になるでしょう。いずれにしても、非積極型、軽積極型も主導権は先方にあると心得て、交渉に当たるのが吉でしょう。

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この記事を書いた人

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

FPオフィス ケセラセラ横浜代表 百貨店在職中にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。税理士事務所、経営コンサルティング会社などを経て、FPオフィス ケセラセラ横浜を開設、代表を務める。 マイホーム購入・売却相談のほか、不動産投資のサポートも行なっている。株式投資やFXなど一通りの投資を実践した後、2007年より不動産投資をスタート。現在は、自らの資産運用はほとんど中古マンション投資に絞って取り組んでいる。

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