東京を上位に挙げた2つのランキング。東京はなぜすごい都市なのか

2026/01/19
東京は人口で世界3番目の都市に
日本の首都東京に関して、昨年11月末から12月にかけ、こんなニュースが報じられている。
「長年にわたって世界最大の人口を持つ街といわれてきたが、現状は3位」
これは、国連の報告に基づくもので「World Urbanization Prospects 2025」というレポートにデータが載っている。ランキング(Top10)を見てみよう。
| 1位 ジャカルタ(インドネシア) | 約4190万人 |
| 2位 ダッカ(バングラデシュ) | 約3660万人 |
| 3位 東京(日本) | 約3340万人 |
| 4位 ニューデリー(インド) | 約3020万人 |
| 5位 上海(中国) | 約2960万人 |
| 6位 広州(中国) | 約2760万人 |
| 7位 カイロ(エジプト) | 約2560万人 |
| 8位 マニラ(フィリピン) | 約2470万人 |
| 9位 コルカタ(インド) | 約2250万人 |
| 10位 ソウル(韓国) | 約2250万人 |
なお、東京の数字を見るとすぐに判ると思うが、これは行政区分で括ったものではない。いわゆる都市圏人口だ。
もちろん、都市の規模を実態として捉えるには、これがより正確な物差しであることに間違いない。
そのうえで、今回の調査では、都市圏の範囲を定めるにあたって、より統一的な基準があてられるよう工夫が凝らされたそうだ。その結果が上記となる。
「世界の街の人口比べ」という、興味が湧く人も多いテーマにおいて、ひとつの信憑性高い答えが出たといっていいだろう。
そして、このことにも気づく人が多いに相違ない。
上記ランキングには、ニューヨークやロンドン、パリといった、いわゆる先進国の先端的中心都市は挙がっていない。それに該当するのは東京だけだ。ほかには、唯一ソウルが近いといったところだろう。
さらに、以下は2050年時点を見据えた予測となる。
| 1位 ダッカ(バングラデシュ) | 約5210万人 |
| 2位 ジャカルタ(インドネシア) | 約5180万人 |
| 3位 上海(中国) | 約3490万人 |
| 4位 ニューデリー(インド) | 約3390万人 |
| 5位 カラチ(パキスタン) | 約3260万人 |
| 6位 カイロ(エジプト) | 約3240万人 |
| 7位 東京(日本) | 約3070万人 |
| 8位 広州(中国) | 約2920万人 |
| 9位 マニラ(フィリピン) | 約2710万人 |
| 10位 コルカタ(インド) | 約2380万人 |
このとおり、四半世紀後には、東京を人口で凌ぐ街、それに迫る街は、ジャカルタやダッカのほかにも複数あると見られている。
だが、その中に、東京ほどの総合的なポテンシャルを持つ都市があるかと考えれば、筆者はこの時点でも(50年時点でも)それは皆無である気がする。
なぜなら、これらを眺めたうち、将来、都市の総合力で東京に迫れそうな街といえば、上海と広州のみだ。
そのうえで、両都市は、その時代たしかに世界最大レベルの経済都市になっているかもしれないが、問題はこれを擁する国だ。かたくなな政治体制がいまだ続いている可能性が高い。
すなわち、自由が保証されない国の街には、投資は集まっても、人間の才能は集まらないものだ。あるいはいっとき集まっても定着しないものだ。
つまり、筆者は断言しておきたい。都市とは「才能の市場」をいう。
人間の才能と、それが生み出す自由な夢や創造こそが、都市においては何よりも重要な資本であり、インフラとなるからだ。
東京の総合力ランキングは2位
「都市の総合力」と、いま記したが、まさにそれをテーマとした有名なランキングも昨年末に公表されている。
毎年定例のものだ。「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index, GPCI)という。日本の森記念財団都市戦略研究所がまとめている。
「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野にわたる計72の指標で都市を評価し、順位をつけるもので、今回は(12月17日公表)下記のとおりの結果となっている。なお、これまでの最高順位が3位だった東京は、初めて2位に上がった。
| 1位 | ロンドン |
| 2位 | 東京 |
| 3位 | ニューヨーク |
| 4位 | パリ |
| 5位 | シンガポール |
| 6位 | ソウル |
| 7位 | アムステルダム |
| 8位 | 上海 |
| 9位 | ドバイ |
| 10位 | ベルリン |
| 11位 | コペンハーゲン |
| 12位 | 北京 |
| 13位 | メルボルン |
| 14位 | マドリッド |
| 15位 | シドニー |
そのうえで、いましがた触れた6分野別での東京の順位は以下のとおりとなっている。
| 分野 | 東京の順位 | 1位の都市 |
| 経済 | 12位 | ニューヨーク |
| 研究・開発 | 3位 | ニューヨーク |
| 文化・交流 | 2位 | ロンドン |
| 居住 | 1位 | |
| 環境 | 7位 | コペンハーゲン |
| 交通・アクセス | 6位 | ロンドン |
なお、このランキングは日本のシンクタンクが公表しているものであるため、身内贔屓を疑う人もなかにはいる。
しかしながら、筆者は、長年内容を見てきた上でそうした思いは抱いていない。
なぜなら、2008年の初リリース以来、長く4位だった東京がパリを抜いて3位に上がったタイミング(2016年)、ニューヨークを抜いて2位となった今回のタイミング、いずれも筆者の(公平に見た上での)予想どおり、かつ実感どおりの妥当な結果になっているからだ。
ただし、分野別ランキングでの下位の中には、評価が雑な感じがするものもたまにある。
「集積の不経済」を克服している東京
以上、最近東京(または東京都市圏)を上位に挙げ、公表された、テーマの異なる2つのランキングを瞥見した。
ここから浮かび上がる東京が示す特異な点として、異様なほどの大人口と、都市としての高い品質の融合を誰もが指摘できるはずだ。
一般に、人口700万人くらいを超えると、都市にはさまざまな弊害が生じてくるといわれている。「集積の不経済」などと呼ばれるものだ。
治安の悪化、交通渋滞と交通網の麻痺、環境汚染、スラムの形成など、あらゆる問題が生じてくる。
こうした混乱は、人類史上、先進国も含めて世界のあらゆる都市が免れ得ずにきたものだが、おそらくは唯一、東京のみがこれを高度なレベルで克服している。
その状況は、われわれがよく知るとおりだ。いまの東京の空は昭和の頃とは違う。まことにきれいで青い。犯罪と不衛生がはびこる貧民街も遠い昔に消え失せた。
日本人にとってはごく身近ながら、実は奇跡的な存在といえる巨大都市・東京の今後に、世界は引き続き注目し、憧れざるをえないはずだ。
座り心地の悪いG7の椅子
最後に付け加えたい。
やはり昨年末に報道された、東京を擁するわが国、日本に関するニュースとなる。
経済的凋落が著しい。ご存知のとおりだ。
内閣府が12月23日に公表した国民経済計算の年次推計によると、2024年の日本の1人あたり名目GDPは前年より2つ順位を下げ、OECD加盟国中24位。同じく前年に日本を追い抜いた隣国・韓国は21位で、差が広がる展開となっている。
もちろん、GDPばかりが国の真価というわけではない。さらには円安という要素も上記の理由としてあるにはある。だが、それを言っても傍から見れば単なる負け惜しみだ。近ごろはきらめくG7の椅子が、ことさら座り心地悪く感じるわが国ともなっている。(日本を除いたG7各国においての上記ランキング最下位はイタリア。20位)
魅力を増す東京と、衰えゆく日本―――存在の重なる両者のギャップが開いていく奇妙な風景をわれわれは今後眺めていくことになるのかも知れない。
紹介した各資料は以下でご確認いただける。
「World Urbanization Prospects 2025 : Summary of Results」(国連)
「世界の都市総合力ランキング」(森記念財団都市戦略研究所)
「国民経済計算2024年度年次推計」(内閣府)
(文/朝倉継道)
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この記事を書いた人
コミュニティみらい研究所 代表
小樽商業高校卒。国土交通省(旧運輸省)を経て、株式会社リクルート住宅情報事業部(現SUUMO)へ。在社中より執筆活動を開始。独立後、リクルート住宅総合研究所客員研究員など。2017年まで自ら宅建業も経営。戦前築のアパートの住み込み管理人の息子として育った。「賃貸住宅に暮らす人の幸せを増やすことは、国全体の幸福につながる」と信じている。令和改元を期に、憧れの街だった埼玉県川越市に転居。




















