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投資物件を買う際は、焦って買うのではなく、いま一度立ち止まって考える

サブリース、フルローン、フラット35で勧誘 投資用マンションの危ない勧誘の手口(2/2ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2022/03/16

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何でもありサブリース管理会社の社長が「夜逃げ」でドロン

平成27年12月、借り上げ賃料を大家に未払いのまま、岡山市のとある社長の消息が途絶えました。この会社の管理戸数は約4500件、市内だと業界5番の指に入る規模です。積極的にサブリース(家賃保証サービス)を展開し、急拡大をしてきましたが、資金繰りが行き詰まったのか、当面の資金集めのために5万円の家賃の部屋を3万円で契約しているケースもあるようでした。

また、7年ほど前にも、サブリース物件が数千戸規模で一気に解約になったと地元で噂になっていました。こうした手口は繰り返されていました。

景気が悪くなると財務基盤の弱い会社は、このような「なんでもあり」の事態になる可能性もあり、空き家でも家賃を受け取れるからといった言葉で、サブリース管理会社を選択されるようです。

一概には言えませんが、スルガ銀行の事案でもあったように、こうした危ない業者(ブローカー)の宅建免許番号は「○○○県知事(1)第000000」の数字が(1)ということが多く、急遽、設立したように思える会社で、一定期間が過ぎると、雲隠れし、数年後にまた新会社を設立するし、同様の手口で、ビジネスをしているようです。

会社に勤める一般投資家が不動産投資する目的の多くは「賃貸マンションのオーナーになり、将来の安心を得る」ことにあります。その動機は「家族のため」「老後の安心」といったことで、そこを言葉巧みに付け込まれてしまうようです。そして、業者から「あなたは属性がよいから、自己資金なしでも融資が受けられる」とおだてられ、物件を見ずに買ってしまうのです。

相手が言葉巧みで……と言えば、その通りですが、数千万円の投資(買い物)である以上、家族や第三者的な専門家に相談する、自分の目で物件を見る、物件の周辺を実際に歩いてどんな町で、周辺の物件の物件相場や家賃相場を調べるなど、投資物件を買う際は、焦って買うのではなく、いま一度立ち止まって考えることが必要です。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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