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〜この国の明日に想いを馳せる不動産屋のエセー〜

敷金と保証金、申込証拠金と手付金…秋の夜長に考える「似て非なる業界用語」のあれこれ(2/4ページ)

南村 忠敬南村 忠敬

2021/10/16

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その2 ベランダとバルコニー

不動産屋のセールスパーソンと懇意になったら、一度は聞いてみたくなるWordのトップ3に入るだろう、この違いが説明できるかどうか(笑)。

そもそも、原語が違うこの二つ。ベランダはヒンディー語barandah(バランダー)、バルコニーはイタリア語balcone(バルコーネ)を語源とする。共に建物の外部の有効スペースを指す名称だが、ベランダという表現は日本以外、諸外国ではメジャーではないようである。

建築用語の解説などでは、両方とも「建物外部の2階以上に作られた外壁または手摺などで囲まれたスペース」を指しており、不動産業界の定説となっている「屋根有」か「屋根無」での区別は無い。マンションをイメージするとよく分かるが、そもそもバルコニーの屋根は上階のそれの床部分であり、雨除けにはなっているが、「屋根」ではない。

また、イギリスではベランダと言えば、日本で言う「テラス」のイメージが近く、庭付き建物1階部分にしつらえた屋根付きのスペースであり(本来、テラスは地面より高い位置に設えた床スペースの意味)、集合住宅では、日本式のあたかも部屋の一部分のようなバルコニーは見当たらず、建物からせり出したスラブ(床材)に手摺を付けたシンプルなスペースがバルコニーである。

今では、建築の専門家でも意味の違いには拘らず使っている、ベランダとバルコニー。「2階にバルコニーを付けましょうか?」「いや、ベランダにしてください!」というようなやり取りは、日本人には不要で、「バルコニーに屋根を付けますか?」「はい、付けてください!」の方が合理的なのだろう。

あ、因みに車庫とガレージの違いは、両者とも「車を格納する構築物」のことで、英語でgarage、日本語訳は「車庫」と表現するだけの違いだから、同じものですよ。


違いを説明できる?/©︎eliskadlecova・123RF

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この記事を書いた人

第一住建株式会社 代表取締役社長/宅地建物取引士(公益財団法人不動産流通推進センター認定宅建マイスター)/公益社団法人不動産保証協会理事

大学卒業後、大手不動産会社勤務。営業として年間売上高230億円のトップセールスを記録。1991年第一住建株式会社を設立し代表取締役に就任。1997年から我が国不動産流通システムの根幹を成す指定流通機構(レインズ)のシステム構築や不動産業の高度情報化に関する事業を担当。また、所属協会の国際交流部門の担当として、全米リアルター協会(NAR)や中華民国不動産商業同業公会全国聯合会をはじめ、各国の不動産関連団体との渉外責任者を歴任。国土交通省不動産総合データベース構築検討委員会委員、神戸市空家等対策計画作成協議会委員、神戸市空家活用中古住宅市場活性化プロジェクトメンバー、神戸市すまいまちづくり公社空家空地専門相談員、宅地建物取引士法定講習認定講師、不動産保証協会法定研修会講師の他、民間企業からの不動産情報関連における講演依頼も多数手がけている。2017年兵庫県知事まちづくり功労表彰、2018年国土交通大臣表彰受賞・2020年秋の黄綬褒章受章。

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