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金融業界を揺るがす「太陽光ベンチャー」の倒産 ソーシャルレンディングの行く末はいかに(1/3ページ)

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順風満帆に成長していた太陽光ベンチャーに何があったのか 写真はイメージ/©︎hying51・123RF


東洋経済オンラインの提供記事です

神奈川のあるベンチャー企業の倒産が、金融業界を揺るがしている。

その企業は、金融機関から融資金11億円超を詐取したとして、代表・役員ら3人が逮捕された「テクノシステム」(以下テクノ社)。同社はこの件とは別に、金融大手・SBIホールディングス傘下のSBIソーシャルレンディング(以下、SBISL)を介し個人投資家からも300億円以上を調達しており、その資金を本来の借入目的以外に使っていた疑いも持たれている。

現在テクノ社は事後処理を弁護士に一任し、倒産処理に向けた法的申請の準備に入っている。一方のSBIはソーシャルレンディング事業からの撤退を決定、6月には「事実と異なる説明で投資家を勧誘していた」として金融庁からSBISLの業務停止命令を受けている。

信頼性揺らぐソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングとは、「融資(貸付)型」のクラウドファンディングとして位置づけられ、インターネット上で資金を借りたい個人や法人と投資家を仲介する金融サービス。国内では中小・中堅企業の新たな資金調達手段として活用が広がってきた。投資家にとっては、少額から投資可能で、銀行より高い利回りを受け取れるメリットがあった。

しかしこの一件によって、ソーシャルレンディングという新たな金融手法の信頼性は大きく揺らいでいる。SBIのような金融大手を巻きこんで、なぜこのような事態が起きてしまったのか。テクノ社の倒産までの顛末を追った。

テクノ社は2009年12月、代表の生田尚之氏によって設立された。軟水製造装置、超小型浄水装置、海水淡水化浄水装置を扱うほか、食品関連の特許技術をヒントに、ボタンひとつで様々な食材を調理して提供できる「デリシャスサーバー」を販売。

第1期決算で2億円超の売上高を確保し、地元のテレビ番組で取扱製品が紹介されるなど、新興のベンチャー企業として注目を集めた。

2012年12月には、テクノ社の環境事業が神奈川県の経営革新計画の承認を受けたほか、同じ頃には、東日本大震災後の市場拡大を背景として太陽光発電事業に本格参入。年売上高は設立4期目の2013年11月期には10億円台に乗せ、2年後の2015年11月期には100億円を突破した。メガワットクラスの太陽光発電設備の販売が業績を大きく押し上げた。

業容拡大にあわせ、2015年には本社を横浜ランドマークタワー19階に移転した。管理体制強化を目的に外部から経験豊富な役員を招聘し、2017年には「2018年中の東証マザーズ上場」を目標に監査法人・幹事証券会社を決定。

地銀系ベンチャーキャピタルや上場会社、神奈川県の第三セクターが増資を引き受けた。全国紙やテレビもテクノ社の取り組みをたびたび取り上げるなど、株式上場は現実味を帯びつつあった。

そして、2018年11月期の年売上高は前期比37%増の約160億円にまで伸ばしていた。

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