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新築マンション価格1億円を突破――その影に日銀とメジャーセブンがあり?(4/5ページ)

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日銀と二人三脚? 低金利政策がもたらすもの

こうしたメジャーセブンの“強い追い風”になっているのが日銀の低金利政策だ。

ご存じのように、日銀のマイナス金利政策(長期金利の指標の10年国債の利回りのマイナス化を目指す)で、長期金利が指標になる住宅ローンの金利は大きく下がっている。さらにローン金利のもう一つの指標の短期プライムレートも低いので、変動金利の住宅ローンの金利は年1%割れも珍しくない。

だから、強気な価格設定のメジャーセブンの物件が買いやすいというわけではない。こうした低金利がメジャーセブンのブランド力、収益性をより高くしている。

つまり、低金利によって住宅ローンの金利負担が少なくなって返済総額が抑えられる。その分をマンション価格に載せても購入できるため、マンション価格のレンジが高くなり、それが高級化によるブランド力、収益率を高めるというわけだ。


メジャーセブンの“強い追い風”になっているのが日銀の低金利政策 撮影/編集部

なかでも大企業の正社員同士の夫婦(世帯年収2000万円超)にとっては、こうした低金利下では、中古になっても資産性が落ちないメジャーセブンの物件は住み替えを考えた、場合によっては転売目的で購入するには魅力ある物件だ。

加えて、裕福な高齢者が相続税対策のためにメジャーセブンの得意客となり、こうした「新富裕層」がメジャーセブンのブランド力を強化しているのである。

【グラフ】メジャーセブンの供給戸数とシェアの推移(首都圏)

出典/不動産経済研究所

その裏では住宅購入層の所得による物件価格の二極化を生み、資産性が維持できない物件を量産しているという側面もある。

冒頭に指摘したように、20年の23区のマンションの平均価格は2度も1億円を突破した。これまでの金融緩和に加え、新型コロナ対策の過剰な金融緩和で、有り余るマネーはますます資産価値の高い都心のマンションに注ぎ込まれる。富裕層にとっては、株高の資産効果で金融資産が増え、不動産投資も積極化、高額化する。

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この記事を書いた人

経済アナリスト

マクロ経済面から経済政策を批評することに定評がある。不動産・株式などの資産市場、国や自治体の財政のバランスシートの分析などに強みを持つ。著書に『若者を喰い物にし続ける社会』(洋泉社)、『世代間最終戦争』(東洋経済新報社)、『地価「最終」暴落』(光文社)などがある。

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