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閉店、撤退が相次ぐ銀座に「美容整形外科」が出店ラッシュ?

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写真/OGW417 Studio ※写真と本文は関係ありません

テレワーク期間を有効に活用

ファッション、レストラン、バー……高級店が軒を連ねる銀座。その銀座の勢いは買い物、食事を目的にした訪日外国人観光客によって支えられてきた。

こうしたインバウンド景気は、銀座の裏通りまで潤わせ、ビルの賃料まで押し上げてきた。しかし、新型コロナの影響で、訪日外国人観光客の姿が消えて1年が経ち、鳴り物入りでオープンした「銀座シックス」では店舗閉鎖が相次ぎ、飲食店からドラッグストアまでインバウンドで潤っていたショップが一気に冷え込む。それでも昨年夏ごろまでは何とか耐え忍んでいた飲食店やブティックもあったが、元々の経営体力不足もあってコロナ禍が長引く中で経営の限界に直面。次々と店を閉めている。そんな銀座、なかでも一筋中に入った裏通りで、変化が起きている。

栄枯盛衰は世の習わしとはいえ、そんな空き店舗に次々と「美容整形外科」や「皮膚科のクリニック」が進出しているというのである。

そして、こうした美容整形外科や皮膚科のクリニックに、テレワークで出社をしなくても済む男女が密かに訪れ、美魔女、イケメンに変身中だという。

というのも、新型コロナによって、リモートワークが国を挙げて推奨されている。そのため1週間~1、2か月という長い期間、原則、出社せずに在宅勤務だけでOKの企業も増えている。そこでこの期間を利用して美容整形手術を行おうというというわけ。

例えば、まぶたを二重にする「二重術」は術式よって違いはあるが、手術跡がきれになるまで1~2週間ぐらいかかるらしく、このリモートワーク期間が活用できる。もちろん、リモートワーク中でも会議などでリモート会議やミーティングでカメラを通じたやり取りがあるのでは、と思えるが、実は「顔出し強要」はNGになりつつある。たとえ、顔出しをしてもマスクやメガネをしてしまえば、手術の跡もごまかせる。加えて、美容整形手術大国の韓国に渡航できなくなった事情も国内の美容外科・皮膚科業界にはプラスになったようだ。

銀座ブランドが「美」を求める客を集める

一方、病院を開業する医師の側の事情もある。新型コロナによって、病院などで働く医師らを取り巻く環境も激変した。

何といっても新型コロナの治療への対応が最優先。医療崩壊といわれるように医師たちは疲労困憊の中で勤務している。そんな状況下にありながらも、美容整形外科だけは好景気が続いている。そうした中で大手美容整形外科に勤める医師が独立したり、病院に勤務していた外科医が美容整形に流れたりしたというのである。

そこで銀座がクローズアップされた。美容整形外科を開業するには銀座は好都合だ。何といっても超一等地の銀座のブランド力は「美」を売るには格好のエリアである。

銀座の物件を斡旋している不動産業者は、次のように話す。

「美容整形クリニックは裏通りでも、路面店でなく中高層階でも出店に問題はありません。それに広い床面積も必要としないので、ちょっとしたレストランやアパレル・ファッション店のあとに入居してもらいには超うってつけなのです」

建築後10年を大きく超えた中小ビルであっても店舗が入っていたビルであれば、建物の正面の外観をおしゃれなつくりにしたファサードデザインに気を配っており、銀座の中心部を少し外した銀座2丁目当たりがねらい目だという。そして、こうした物件に空きフロアが出ようものなら、美容関係の依頼を受けたテナント仲介業も見逃さず、物件の人気が高まっているという。


銀座・並木通りを少し歩けば美容整形のクリニックの看板が目に入ってくる ※写真と本文は関係ありません/写真・OGW417 Studio 

といっても、人気があるのは「美容整形外科」あるいは「美容整形クリニック」だけ。脱毛や美顔、痩身などは、コロナ禍の前から競争が激しく「施療10円」という広告・宣伝も珍しくなかった。しかも、新型コロナによる巣籠もりが長引く中で、自宅で簡単にできる美容家電が人気で、医師免許を必要としない脱毛、美顔をウリにした美容エステやサロンは新型コロナによる営業自粛と相まって逆風になっている。

これは女性だけでなく男性も同様だ。男性の場合は、「AGA」という薄毛対策の施療や男性の更年期障害、男性機能障害の治療に投与される男性ホルモンなど薬剤は医師でなくては処方できず、いわゆるメンズクリニックの需要も高い。

レストランやブティックなどが閉店したところに、こうした美容整形外科の引き合いは銀座のビルオーナーの救世主になっている。

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この記事を書いた人

経済アナリスト

マクロ経済面から経済政策を批評することに定評がある。不動産・株式などの資産市場、国や自治体の財政のバランスシートの分析などに強みを持つ。著書に『若者を喰い物にし続ける社会』(洋泉社)、『世代間最終戦争』(東洋経済新報社)、『地価「最終」暴落』(光文社)などがある。

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