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『地面師――他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』の著者・森功氏に聞く 地面師の実態とだまされないための心構え(4/4ページ)

小川 純小川 純

2020/11/12

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警察はアテにならない? 地面師からどう土地を守るか

――この本で紹介されている地面師事件を見ていくと、どのケースについても警察や検察といった捜査機関の動きが鈍く、警察や検察はアテにならないということだ。

地面師詐欺の被害届は所轄の警察署に出されますが、所轄には詐欺や横領などの知能犯の係がありません。そのため本庁の捜査2課の指揮を仰がないとなかなかできない。2課には昔から地面師やM資金詐欺といった事件を扱うベテラン刑事がいるのだけれど、その数が少ないためなかなか対応できません。

それに逮捕しても明確な逮捕容疑は、偽造有印私文書行使や電磁的公正証書原本不実記録などで、詐欺で逮捕しても起訴まで持って行けないことも多い。これは検察も同様で事件が難しく犯意を立証したり、詐欺として立件するのも難しいんですね。そのため捜査しても不起訴になるケースも結構あり、そうなれば警察や検察の失点になってしまう。こうしたこともあって、腰が引けるところがあります。積水ハウスの事件のように大きな事件であれば、やらざるを得ないというところはあるけれど、この事件にしても16人を逮捕しましたが、4人は処分保留になっています。

また、逮捕された地面師の側も詐欺で懲役刑になっても最高で10年。電磁的公正証書原本不実記録など文書の改ざんであれば5年で、実際には2~3年で刑務所から出てきます。10億円ぐらい稼げればこのくらいの懲役刑は、彼らにとってはお休みみたいなもの。逮捕されても痛くもかゆくもない。こうしたことも、地面師被害がなかなかなくならない理由の1つです。

さらに被害者が警察に告発しても、この被害者が警察から地面師たちの共犯者と見られるケースもあります。逮捕されて取り調べを受けているときに、「被害者もグルになって銀行をだまそうとした」というようなことを言うんですね。警察もそう言われると疑いを持ってしまう。悪賢いですが、やっぱり詐欺師ですから、いろいろなことを考えてそれを専門にやっている連中なんです。

――では、こうした地面師にだまされないためにはどうしたらよいのか。その対策方法とは――。

土地をほったらかしにしないということでしょうね。具体的には、自分の土地の登記簿を見たり、上げたりはなかなかしないと思いますが、定期的に登記簿を確認する。また、弁護士や司法書士選びもポイントです。事件で使われた文書などを見ると、地主の生年を間違えていたり、干支が違っていたり、小さなミスが必ずあります。弁護士や司法書士もこれを見つけていたりするのですが、同じ“商売”だしということで、単純なミスとして済ませる人もいます。こうした小さなミスも見逃さないことです。


『地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』 
著者/森 功 出版社/講談社 定価/1600円+税 
ノンフィクション作家。「週刊新潮」編集部などを経て独立。2008年、2009年 「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を連続受賞。『同和と銀行』『総理の影『大阪府警暴力団担当刑事』『総理の影』など著書多数。『悪だくみ 「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で2018年、「大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞」を受賞。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

週刊、月刊誌の編集記者、出版社勤務を経てフリーランスに。経済・事件・ビジネス、またファイナンシャルプランナーの知識を生かし、年金や保険など幅広いジャンルで編集ライターとして雑誌などでの執筆活動、出版プロデュースなどを行っている。

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