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今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人

東京都(文京区) 「いらっしゃい! 社長!!」 威勢のいい声が飛び交う『秋吉』で「やきとり」を堪能する

ねこやま大吉ねこやま大吉

2022/04/01

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東京ドームシティ(旧後楽園)

取材も終わりここは水道橋。歩道から空を見上げれば、天まで届くかのようにそびえたつ東京ドームシティのアトラクション。その昔、現・東京ドームの場所に後楽園競輪場(昭和47年開催廃止)があったことを知る人も少なくなったと思いながら歩く。

競輪場は時代とともにゴルフ練習場、ジャンボプール、東京ドームと生まれ変わる。その競輪場、東京都の要請で競技の開催廃止になっているが、開催の「廃止」であって仮に復活する場合も可能性は否定できない。東京ドームフィールド(グランド)内で、競技開催に必要な400mバンクが設置出来る設計になっているという。もちろん地元住民の話。また文京区という街柄を考えれば、それがいつになるかは定かでない。

そんな懐かしいことを思い返せば、ここは水道橋・東京ドームシティを高いところから見たくなり、観覧車ビッグ・オー(地上80m)に乗ってみることにする。

何年振りに乗ったであろうか観覧車。もう、いつ、誰と乗ったかさえ競輪場と同じくらい記憶が薄れている。15分の空中遊泳、東京の街並みを目に焼き付けた至福の1周。

地上に舞い戻り降車のとき、並んでいた女子学生数人の声が聞こえた。

「観覧車って一人でも乗れるんだ!」

さて、美味いものでも食べて仕事に戻るか……。 

『やきとりの名門 秋吉』(後楽園店)

東京ドームシティから白山通りを渡ったところに、福井を中心に全国108店舗を運営している秋吉がある。創業は福井市の呉服町で昭和34年にスタート。広さ4坪から始まった老舗である。福井では知らない人はいないほど、秋吉ブランドは定着している。

当時のやきとりは1本10円、酒は一合50円、ビール大瓶は200円。ラーメン一杯60円、たばこ1箱30円の時代である。やきとりは1本ずつ福井のセントラルキッチンで職人の手によって串打ちされ、全国の店舗に運ばれている。

串を焼く担当、通称「焼場さん」は本社でライセンスを取得し、修行を積まなければ立つことを許されない。規模が大きくなるとなかなか味のクオリティを保つことが難しくなるが、徹底した教育で育つ職人が、時と共に秋吉の味を守る「匠」になる。小生は秋吉に約25年は足を運んでいるが、今も昔も変わらない。

威勢のいい言葉で迎えてくれる。気持ちよく座れば、後ろから入ってきた客人にも「社長!!」と声がけ。ここに秋吉の哲学がある。客人が支払う代金が秋吉の店舗運営、スタッフの給料となる。給料を支払ってくれる人、つまりその人こそが「社長」なのである。

まずは東京ドームシティのアトラクションではないが、そびえたつ633ml大瓶からスタート。

まずはタン(牛)から

座ると突き出し(秋吉にはお通しはない)の様に運ばれる秘伝のタレ。

ニンニクの効いた濃厚タレ(青)とからし(黄)。好みで使い分けをすれば素材の味をさらに引き出すことは間違いないのだ。ここ秋吉には、都市伝説的なものが存在する。地元福井県民によれば、素材を打ってある串の形(四角・丸)とタレが紐づけされているというのだ。四角はからし(黄)、塩味以外の丸串は肉タレ(青)、串カツはカツタレ(赤)。

早々に運ばれるタンは薄切りで一口サイズの四角串。この薄さに串を打つには熟練の技が無ければできないと実感。そして四角は黄……やはり理にかなっていると納得した。本当かどうかは定かではないがとても旨い(打っている串の形状はかたい肉は四角、やわらかい肉は丸という説もある)。

「純けい」に始まり「純けい」に終わる
 

付き合いの古い編集スタッフが秋吉を知らないとのことで数年前に連れて行ったことがある。そのとき、純けいを食したのだが、その日以来、その編集は純けいの虜になっている。関東や関西、九州(秋吉はまだ九州には出店していない)全国的にみてもこの純けいを出しているところはあまり記憶にない。この串焼き、純けいという「部位」があるわけではなく「メスの親鳥」全体の肉を指しているようだ。部位は特に関係なく、もも肉もあれば首皮、ぼんじりも串打ちしてあるとの話(諸説ある)。若鳥より歯ごたえがあり、それでいてジューシーな鶏の脂が口の中でジュワっと広がる一品である。純けいもタンと同じく四角串。純けいに始まり〆も純けい。秋吉に入れば10〜15本は必ず食べる逸品だ。

一口サイズのやきとりはどの種類も一人前5本。5本同時に焼くことにより、炭の火力が分散されることでやわらかくジューシーなものになるからだ。

ささみ。表面はカリっと中はふっくらジューシーに焼きあがっている。一口で食べられるサイズは、何本でも食べられる。ささみは丸串だ。

しろ。ささみと同じく表面はカリっと、中はミディアム級にやわらかく焼けている。噛むほどに肉の旨味が口の中で広がる。秋吉はカウンター・テーブル席にやきとりを載せるステンレス製の串載せ台が備わっている。このステンレス台、やきとりが冷めないようにヒーティングしてある優れモノ。肉汁がひろがればスタッフがすぐに拭きあげるので、違う種類の肉の味が混ざることはない。皿で出てくるのは揚げ物・ご飯ものぐらいである。

串カツ。これも一人前5本。やきとり店で串カツを出しているのは珍しいのだが、秋吉といえば純けいとこの串カツ。地元福井でも大人気の一品。カラッと揚がった衣の中にはほくほくの牛肉が隠れている。カツ用のタレもあるが、小生は25年間塩一筋。ちょっと振って一気に口の中に放り込むのが秋吉の串カツにおける、ねこやま流の食べ方だ。素材の旨味がストレートに楽しめる。

串カツの後はこのピーマン揚げ。内側お腹の部分には、衣が少し多めで揚がってくる。厚みが増して食感がとてもよくなる。サクサクの衣とピーマンの甘み・苦みが絶妙だ。1本は付け合わせのソース(赤)で。もう1本は串カツと同じく塩で食べるのが、ねこやま流。

いったい何本食べただろうか。一口サイズの串だから握り寿司の様にいろいろな串が食べられる。たださすがに20本越えてくると満腹信号が胃から脳に。口直しにトマトと焼きおにぎりを頬張る。

トマトは塩・ソース・マヨネーズ味が選べるが、もちろんここは塩。程よく冷やされたトマトは、デザート感覚で食べられる。炭台の上で焼かれたおにぎりは、表面はカリカリ、中は炊きたてのご飯で瑞々しくほくほく。焦げた醤油の香りが最後の一口まで楽しませてくれる。最後に、満腹信号限界突破の「純けい」だ。

 

「『純けい』に始まり『純けい』に終わる」——これが秋吉の角串・丸串オールスターを食す際のねこやまの流儀である。

時計を確認すれば、「社長」もそろそろ事務所に戻る時間。さっさと今日の仕事をやっつけようと店を後にする。

今回お邪魔したおいしいお店
『やきとりの名門 秋吉』(後楽園店)
東京都文京区本郷1-20-7 安藤ビル1F 

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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