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今日もどこかの街で美食探訪 ねこやま大吉のグルメ狩人

品川区小山(東京) 武蔵小山に佇む隠れた名店『蕎麦割烹 倉田』 匠の味を堪能する

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2019/10/01

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発展する東急沿線「武蔵小山」

東京は山手の目黒から日吉まで13駅を結ぶ東急沿線の街、武蔵小山。駅前は再開発が進んでおりタワーマンションがそびえ建つ。「むさこ」名称論争は武蔵小山か武蔵小杉か武蔵小金井か? 昨今そんな話もよく耳にする人気の街である。13駅中乗降者数5万3952人/1日(※東急2018年度データ参照)で目黒・日吉の次、堂々の3位である。

駅の東口は都内で最も長い商店街「パルム」があり(中原街道まで約800m)、個性ある約250の店が軒を並べる。そんな街にミシュラン2015年度版に掲載された蕎麦通を納得させる店があるとのことで、降り立つ。

線路を挟み西口から2分歩いた静かな住宅街の中にその店はある。神田界隈の蕎麦屋とはまったく異なる店構え、黒を基調とした格式ある和食割烹の作りだ。屋号通り「蕎麦割烹」である。

その匠の名は「倉田」。日本料理『神谷』で12 年修業し2012年に独立をした人物である。この地で約10年、和食一筋20年。独立3年目でミシュランに掲載されたのがここ「倉田」だ。

色鮮やかな小鉢から始まる「和食の極み」

まずは乾いた喉に麦芽をあてる。菊の容をした小鉢で運ばれてきたお通し、無花果の甘さが引き立つ濃厚な豆腐に、食感を飽きさせない枝豆が添えてある。ほんのり鰹の香りがする薄口の出汁がすべての物をまとめてくれる。

焼酎の水割りで口の中を整え、厳選された鮮魚のお造り。鮪、はまち、鰹に鯖、帆立。魚の身に角がたっているのは、やはり匠の技と鮮度が抜群な証拠である。特に鰹はあの独特の匂いがなく薬味を添えなくてもそのまま口に運べる、鰹の概念を払拭させる一品である。

次に、旬の秋刀魚。刺身もあるがやはり秋刀魚は塩焼きに限る。漁獲が減った中、匠が選ぶ秋刀魚はこの一尾である。絶妙な焼き加減と表面に包丁で切りこみを入れた魔法にかかったそれは、表面はかりっと香ばしく、中はふっくら脂がのった秋刀魚に生まれ変わる。

桜海老と春菊のかき揚げ。サクサクに揚がったそれを口にすると桜海老の味と香りが口の中に落ちていく。運ばれてから数分たってもそれは変わらず、しかも揚げた油が皿の受け紙を滲ませない。かき揚げをよく見ると衣が食材によく絡みかつ空気の層を作っている。

外・八理(そと・はちりん) 「倉田の蕎麦」

せいろ――匠の蕎麦は「会津のかおり」、 ここに国産地粉を100対0.8の割合で混ぜ丁寧に打ちこんだ逸品。香りよく喉ごしも楽しめ、これぞ店名に蕎麦割烹と謳っている所以だとすぐに気付いた。出汁は濃くちで鰹がきいている。そして蕎麦湯割り、最後まで美味しくいただける。

最後に「倉田」らしい器で蕎麦茶をいただきながら、〆の甘味を口にして店を後にする。

『蕎麦割烹 倉田』――ここには和食の匠がいる。

今回お邪魔した美味しいお店:『蕎麦割烹 倉田』
住所:東京都品川区小山3-2-18
交通:東京急行目黒線「武蔵小山」駅 徒歩2分 

 

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この記事を書いた人

編集者・ライター

長年出版業界に従事し、グルメからファッション、ペットまで幅広いジャンルの雑誌を手掛ける。全国地域活性事業の一環でご当地グルメを発掘中。趣味は街ネタ散歩とご当地食べ歩き。現在、猫の快適部屋を目指し日々こつこつ猫部屋を制作。mono MAGAZINE webにてキッチン家電取材中。https://www.monomagazine.com/author/w-31nekoyama/

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