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引き渡し前に売り主がやっておくべきこと

売却した自宅を引き渡すときの注意点(対買い主編)

高橋正典

2016/01/04

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住宅ローンが残っている場合はまず金融機関に連絡を

 まずは買い主に引き継げないものを処理しておきます。売却する物件の住宅ローンが残っている場合は、まだその不動産に「抵当権」がついている状態です。抵当権とは、住宅ローンの返済が滞った時に対象となっている物件を金融機関が競売などで処分できる権利です。この権利は買い主に引き継ぐことはできませんので、売り主から買い主に所有権を移転する前、または同時に住宅ローンを全額返済し、抵当権を抹消する必要があります。

 そのため、売買契約を交わし引き渡し日が確定したら、住宅ローンを契約している金融機関に電話して「住宅ローンの全額返済」と「抵当権の抹消」の準備を依頼しましょう。その時に、返済当日のローン残高を確認することを忘れずに。また、抵当権の抹消に関する書類を用意してもらうのに最低でも2週間ほどかかるので、引き渡し日の1か月くらい前までには連絡したほうがいいでしょう。

 同時に、「抵当権の抹消」や「所有権の移転」などの登記を依頼するために、司法書士に同じ内容を連絡します。この後の金融機関に対する連絡・書類の受け取りなどは司法書士がやってくれますので、売り主が準備する必要はありません。

 通常、この司法書士の紹介や連絡は不動産会社が行なってくれますが、売主自ら知り合いがいる場合や、そうしたサービスを行なっていない不動産仲介会社の場合は、自分で行う必要がありますので、事前に不動産仲介会社に確認しておきましょう。

ゴミ置き場やマニュアルの引継ぎも忘れずに

 続いて、買い主に引き継ぐものを整理しておきましょう。住宅履歴情報を登録している場合は、名義を買い主に引き継がなければいけません。電子化している場合はIDを受け渡すだけなので簡単ですが、引き継ぎ方法は住宅履歴情報を登録している機関に確認しておくほうが無難です。

 また、鍵や書類を用意します。書類には各種設備のマニュアルや、マンションの場合、管理組合から受け取った建築関係の書類があります。マンションを売却した際には、管理組合に連絡し、マンションを売却し引っ越すことを伝え、組合員の資格喪失の届け出をしなければいけません。この資格喪失の届け出を忘れると、売却後も管理費・修繕積立金が銀行口座から引き落とされ、返金処理などが大変面倒です。駐輪場・駐車場の契約がある場合も、解約する手続きをしておきましょう。

 一戸建ての場合は、ごみ置き場や清掃当番などが町内会などで決まっていますので、売り主が買い主にスムーズに引継ぎができるよう手配しましょう。多くの場合、町内のどこかの家庭のご厚意で家の前にごみ置き場がありますので、後から来た住人が当然のようにごみを置いていくのは気分がいいものではありません。後々のトラブルにならないようにしてあげたいところです。

隣地との境界の測量には注意が必要

 売買契約において、引き渡し日までに土地の測量と境界明示が条件になっている場合は注意が必要です。というのも、境界を明らかにするためには隣接地の所有者の立ち会いが必要なので、隣接地の所有者全員の承諾を取らなければいけません。全員がその地に住んでいれば手間は少ないのですが、遠方に住んでいたりすると境界明示までにかなりの時間がかかってしまう場合があります。

 一般的には、境界明示までに1~3カ月見ておけばいいとされていますが、隣接地の所有者の状況によっては半年以上かかってしまうこともあります。そのため、境界明示に関しては不動産仲介会社に相談し、売買契約から引き渡し日までの間は、境界確認書の取り交わしなど最終確認を行う段取りにしておけば安心です。越境物の撤去に関しては、売却後にトラブルにならないよう話し合いをして解消しておきましょう。

 土地売却の際の測量や境界明示は測量士や土地家屋調査士に依頼しますが、不動産仲介会社を通すのが一般的です。費用は20~100万円と物件の状況によって幅があるので、売却を依頼したタイミングで金額の目安を不動産仲介会社に確認しておいたほうがいいでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社バイヤーズスタイル代表取締役

株式会社セラーズエージェント取締役。 一般社団法人 相続支援士協会 理事。 1970年、東京都中野区生まれ。売りっぱなしの単なる「物件紹介屋」と言われる日本の不動産業界の慣習を変え、生涯にわたり、より顧客に寄り添う「エージェント(代理人)ビジネス」にシフトさせるべく、株式会社バイヤーズスタイルを設立。業界で初めてすべての取扱い物件に「住宅履歴書」を導入、顧客の物件の資産価値向上を担う。一般的に売りづらいとされる、築年数の古い中古住宅の売買に精通しており、顧客から厚い信頼を得ている。 さらに、ひとつひとつの中古住宅(建物)を正しく評価し、流通させるため「売却の窓口(R)」を運営し、その加盟店は全国に広がる。 不動産流通の現場を最も知る不動産コンサルタントとして、各種メディア・媒体等においての寄稿やコラム等多数。 宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー、国土交通大臣登録証明事業不動産コンサルティング技能登録者。 著書に『実家の処分で困らないために今すぐ知っておきたいこと』(かんき出版) 、『プロだけが知っている!中古住宅の魅せ方・売り方』(朝日新聞出版) 、『マイホームは、中古の戸建てを買いなさい!』(ダイヤモンド社) 、『不動産広告を読め』(東洋経済新報社)など。

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