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契約書はゼッタイ? 引っ越すときの「原状回復」はどこまで求められる?(2/2ページ)

大谷 昭二大谷 昭二

2021/07/02

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「原状回復特約」があっても大丈夫か

賃貸契約をする際、前に説明した基本原則以上の原状回復を求める内容を「特約」として求められる場合があります。これは賃借人と賃貸人との合意によるものなので、法律違反にはなりません。こうした特約には民法や国土交通省のガイドラインに合ったものでなくてはなりません。

具体的には、

●その必要性と合理的理由があること
●賃借人が特約の内容を認識していること
●賃借人が義務負担を認識、了解していること

ということです。

また、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項は無効である」という規定もあり、その内容と合っていない特約は無効となります。

つまり、契約書に「いかなる場合にもすべての修理・修繕は借主の負担とする」といような内容や、「修繕費用の借主全面負担特約」があっても、すべての修理・修繕費を負担する必要はありません。

ただし、賃借人が関係した部分、例えば、壁紙や床の破損があれば、その部分については負担しなくてはならないため、修理費用の一部を支払う必要があります。

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この記事を書いた人

NPO法人日本住宅性能検査協会理事長、一般社団法人空き家流通促進機構会長 元仲裁ADR法学会理事

1948年広島県生まれ。住宅をめぐるトラブル解決を図るNPO法人日本住宅性能検査協会を2004年に設立。サブリース契約、敷金・保証金など契約問題や被害者団体からの相談を受け、関係官庁や関連企業との交渉、話し合いなどを行っている。

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