住宅ローンの借入額と返済プランはボーナス、退職金なしで考える(1/2ページ)
牧野寿和
2016/09/06
ボーナス併用払いはおすすめしません
住宅ローンの返済方法には、毎月一定額を返済する方法と、ボーナス月はいつもの月より多く返済する「ボーナス併用払いの方法」があります。
結論から申し上げてしまうと、私が住宅ローンの相談を受ける場合、お客さまにはボーナス併用払いはおすすめしませんし、ボーナスをあてにしなくてもいい返済計画を立てることが大切とお話ししています。
相談に見えるお客さまのなかには、ボーナス併用払いは、毎月の返済に加えてボーナス時には多めに返済するわけですから、年間の返済額が多くなってローンを早く返し終えられると考えておられる方もいらっしゃいます。
ですが、ボーナス併用払いにした場合も、そうしない場合も、毎年の返済額はほぼ同じです(正確には、ボーナス併用払いのほうが若干多くなります)。
ボーナス併用払いは、返済額を増やすものではなく、返済のしかたを変えるものだからです。ボーナス併用払いをしない場合は、年間の返済額を12カ月で均等に支払うのですが、ボーナス併用払いの場合は、ボーナス時の支払いを多めにするため、その分毎月の返済額が少なくなるということです。
ボーナス併用払いのデメリット
ただし、ボーナス併用払いには、明らかなデメリットがあります。それは、「ボーナスは必ずもらえるものではない」という点です。ボーナスをあてにして返済計画を立てていると、もしボーナスが出なかった場合、もしくは想定していたよりも少なかった場合、家計をやり繰りして返済額を捻出しなければならないということになりかねません。
ですから、返済プランはもちろん、借入金額についてもボーナスがゼロでも困らない前提で考えることをおすすめしているのです。
退職金をあてにすると家計は破綻する
それから、退職金をあてにするのも危険です。
これまでファイナンシャルプランナーとして、退職金の使い方について数多くの相談を受けてきました。
住宅ローンを退職金で完済する想定で、老後をシミュレーションしてみると、老齢厚生年金や老齢基礎年金のみで生計を立てる予定の人は、ほとんどの場合、70歳代後半あたりで家計が破たんすることになります。公的年金に加えて企業年金を受給予定の人も、破たんが4、5年先に延びるだけです。
返済プランの前に、何よりも現役中に完済できる額を上限に融資を受けることが大切です。
この記事を書いた人
CFP、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1958年名古屋生まれ、大学卒業後、約20年間旅行会社に勤務。出張先のロサンゼルスでファイナンシャルプランナー(FP)に出会い、その業務に感銘を受け、自らもFP事務所を開業。 その後12年間。どの組織にも属さない「独立系」FPとして、誰でも必要なお金のことを気軽に考えてもらうため「人生を旅に例え、お金とも気楽に付き合う」を信念に、日本で唯一の「人生の添乗員(R)」と名乗り、個別相談業務を行なうとともにセミナー講師として活動している。 また、賃貸不動産の経営もしており、不動産経営や投資の相談にも数多くのアドバイスやプランニングをしている。