不動産の登記の際にかかる登録免許税とは?
土屋裕昭
2016/02/26
登記は権利を明らかにするためのもの
売買契約を交わして不動産を購入すると、登記を行ないます。登記とは、この土地や建物は自分のものである」という権利を明らかにするための手段です。
登記は、法務局に備えてある登記簿に、不動産についての情報を記載することで行ないます。登記をすることで、登記された内容が強く保護されるようになり、たとえば、登記簿に不動産の所有者として記載されている人は、その所有権を主張できるわけです。「登録免許税」は、この登記を行なうときにかかる税金のことです。
登記簿には、建物登記簿と土地登記簿の2種類があり、建物の所在地、構造、面積など、また土地の所在地、地番、地目、地積などが記載されています。また、登記簿を見れば、所有権つまりその不動産の所有者が誰であるのかがわかりますし、抵当権、質権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、賃借権といった所有権以外の権利の状況についてもわかります。
登記にはいくつかの種類がある
登記にはいくつか種類があります。まず、「所有権の移転登記」です。土地を購入したり、建売住宅、マンションなどを購入したりする場合に行なうのが、この所有権の移転登記です。不動産売買が行なわれると、その所有権が売り主から買い主に移るので、買い主は所有権の移転登記を行なうのです。
次に「所有権の保存登記」ですが、これは自分が所有している土地の上に自宅やアパートなどを建築し、その建物を自分で所有する場合に行なう登記のことです。
また、不動産を購入したり、建物を建てたりするときに、金融機関から資金を借り入れることがありますが、通常、購入する不動産を担保にして借り入れをすることになります。
担保というのは、借りたお金を返済できなくなった場合に、その弁済のためにあらかじめ提供しておくものです。つまり、借り入れを返済できなくなった場合には、金融機関はその不動産を処分して返済に充当するということです。このときに、担保にとっていることを法律的に明らかにするために行なうのが「抵当権の設定登記」です。
登録免許税は、次の式の通り、課税標準に税率をかけて計算します。
登録免許税の税額=課税標準額×税率
課税標準とは税額計算の基礎となる金額のことです。所有権の保存登記や移転登記のために必要な登録免許税の課税標準は、不動産の価額とされています。不動産の価額とは、その不動産の時価のことですが、実務上の必要性から固定資産評価額(市町村が固定資産税を課税するときに使用する評価額)としています。また、抵当権の設定登記の課税標準は債権金額です。借り入れ金の額に税率をかけて計算します。
なお、新築建物の保存登記は建物が完成したときに行ないますが、そのときには固定資産評価額は決まっていません。市町村が新築建物の固定資産評価額を決定するのは、建物が完成した年の翌年になるからです。
その場合、固定資産税評価額のかわりに、各法務局に定められた「新築建物価格の認定基準」をもとに計算することになります。新築建物価格の認定基準は各法務局のホームページから検索できます。
登録免許税の納付方法は?
登録免許税は原則として現金で納付します。現金納付は、登録免許税額を銀行や郵便局などの金融機関で納付し、その領収書を登記申請書に貼りつけて法務局に提出することで行ないます。
なお、登記の手続きは司法書士などに依頼するのが一般的です。この場合には、登録免許税の計算や納付の手続きは司法書士などが行ないますが、司法書士などに支払う報酬も別に必要になります。
この記事を書いた人
税理士
CFP、宅地建物取引士 米国アラスカ出身。一般企業勤務を経て簿記知識ゼロから3年で税理士試験合格。著書に「いちばんわかりやすい確定申告の書き方」(ダイヤモンド社)など多数。HP「相続税申告のツチヤ」にはお客様の声50件超掲載。