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「健康増進型保険」のメリットデメリット 選び方のポイントは?

平野 敦之平野 敦之

2022/01/19

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イメージ/©︎dolgachov・123RF

健康増進型保険とはどんな保険?

生命保険会社がいわゆる健康増進型保険の販売を進めています。民間の生命保険や医療保険でも、保険に加入することで健康の増進や改善をサポートする仕組みの提供がはじまっているのです。

健康増進型保険は、毎年の健康診断の結果や運動習慣など健康増進の取り組みによって、保険料の割引やキャッシュバックを受けることができる保険商品です。商品によって提携企業の特典などを受けられることもあります。

以前から一部の生命保険会社で、主に死亡保障を中心として喫煙の有無などによる割引を適用した保険料率が使われていましたが、これよりもさらに踏み込んだかたちの保険です。

健康増進型保険は新たな保険というよりは、既存の医療や死亡などの保障に健康増進の仕組みが付帯されているものが中心です。保険会社によって無料でついているものと月々数百円の保険料を付加するケースがあります。

各社の健康増進型保険によって違いはありますが、一例として確認される主な数値は次のものです。

・体型(BMI)
・血圧
・血液検査
・尿蛋白
・喫煙歴  など

なかには歩数などの運動習慣のみを見るタイプの保険もあります。少子高齢化や低金利、法人税制の改正などで保険業界マーケットが厳しい状況にありますが、保険会社が提供するのは単に保険金や給付金の支払いだけでなくなってきています。

保険会社にとっては加入者のデータが集められることが大きい

この保険は加入前だけでなく、保険加入後定期的に健康診断結果などを提出してもらうことでデータが集まります。生活習慣や運動習慣との病気との因果関係がデータから分かることで、保険契約の引受けや給付金の査定基準などの高度化も期待されます。

ビックデータやAIの活用からさらなるビジネスの展開や契約者の健康への取り組みがより高まることで、健康寿命が延び保険金の支払いや医療や介護など社会保障関連費用の削減にもつながることが期待されているのです。

【参考記事】病気になっても死ななくなった現代――失敗しない「三大疾病保険」の選び方

健康増進型保険のメリットとデメリット 見極めのポイント

健康増進の取り組みをするとお得とはいうものの、よいことばかりではありません。確かに加入する健康増進型保険の保険商品で決められている健康基準を満たせば、保険料が安くなるとか、その人の健康に対する意識が高まるということもあります。

加入時点で健康上の数値があまりよくない人でも健康増進の取り組みにより、これを改善して保険料がお得になります。これまでの保険では契約時の健康状態を基準にその後の保険料が固定されていたので、こうした点では大きなメリットと言えるでしょう。

一方で注意しなければならない点もあります。

健康増進型保険は、各社それぞれ仕組みや内容が異なるため単純な比較がしにくいことです。保障自体も医療保障に付帯しているものもあれば、死亡保障に付帯しているもの、自分で保障を選ぶものなどさまざまなタイプがあります。

他にも誰もが保険料の割引やキャッシュバックなどを、受けられるわけではないということです。健康状態がいま一つの人や、健康増進の取り組みが長続きしないタイプの人はメリットが受けにくいことも事実です。

また、健康増進の取り組みをするとはいうものの、その取り組みには長期に渡る継続が必要です。その意味では将来どうなるか分からない健康状態については不確定要素もあると考えられます。

なかにはいろいろな保障やサービスが付帯しているため割引が適用されても、通常の保険と比べてもお得感のある保険料ではないということもあるのです。加入を検討する場合は、こうした点も考慮しておく必要があります。

健康増進型保険を取り扱う主な生命保険会社

2022年01月05日現在発売されている主な健康増進型の保険は次のとおりです(順不同)。
医療保険や収入保障保険、総合保障タイプなど保障そのものもいろいろです。

保険会社名 商品名
住友生命 Vitality
第一生命 ジャスト
大同生命 会社みんなでKENKO +
明治安田生命 ベストスタイル健康キャッシュバック
ネオファースト生命 ネオde健康エール など
東京海上日動あんしん生命 あるく保険
SOMPOひまわり生命 じぶんと家族のお守り
ジャストインケース 歩くとおトク保険

※ジャストインケースは少額短期保険 大同生命は法人向け

【参考記事】いまさら聞けない「少額短期保険」の基本――保険会社との違い、保険金額、活用方法

従来の生命保険、医療保険等の見直し どう健康増進型保険を組み合わせるか

保険選びの基本は、必要な保障がカバーされており、保障内容がシンプルで分かりやすく、保険料がよりお得なものが前提です。健康増進型保険もさまざまなものがあるため、健康増進ということだけにとらわれないことが大切です。

保険料の割引やキャッシュバックがあっても、必要以上の保障やサービスがあったりするとむしろ割高な保険料を払うことになりかねません。また、逆に保障が足りなければ、保険に入る本来の目的から外れてしまいます。

健康増進型保険といっても、これまでの保険と保障内容が大きく変わるわけではありません。もちろん、健康増進型保険に限らず後から発売されたものは、保障がよりよくなっていますが、いまの保険や他の通常の保険とも比較してみましょう。

割引やサービスなどの特典に安易に飛びつかずにその保障が本当に必要かを考え、健康増進はその後のプラスアルファとして検討していくことが大切です。 

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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