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病気になっても死ななくなった現代――失敗しない「三大疾病保険」の選び方

平野敦之

2020/07/20

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「長生きリスク」にどう備えるべきか/©︎123RF

生命保険や医療保健などには、以前から三大疾病を保障する保険があります。三大疾病保険などという単体の保険や生命保険や医療保険などに特約で付帯できるケースなどさまざまです。各社何らかのかたちでこれと同じか近い保障を用意していますが、同じようにみえて実は保障される範囲や内容が違うこともあるので注意しなければなりません。

変わる日本人の死因

厚生労働省の平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況によると、平成30年の日本人の死亡原因の上位5つは次の結果となりました。

1. 悪性新生物(腫瘍) 27.4%
2. 心疾患(高血圧性を除く) 15.3%
3. 老衰 8.0%
4. 脳血管疾患 7.9%
5. 肺炎 6.9%

悪性新生物と心疾患、脳血管疾患の3つで約半数、この上位5つの死亡原因で65.5%を占めています。悪性新生物と心疾患、脳血管疾患は、長らく日本人の死因の上位3つを占めていました。三大疾病保険という商品が存在する理由の一つではありますが、日本人の死因も平均寿命の延びや医療技術の進歩などで変わってきています。

現在は疾患したことが、必ずしもすぐに死亡に直結しない状況です。病気の再発や長い期間治療と向き合っていかなければならないことも、現代の医療や保険の備えに繋がる大切なポイントです。

そもそも三大疾病保険とはどんな保険か?

生命保険や医療保険の三大疾病保険(特定疾病保険ということもある)とは、一般的にがん(悪性新生物)や急性心筋梗塞、脳卒中などをカバーする保険です。

これらに疾患して所定の状態になった場合に、生前に死亡保険金と同額の保険金が支払われます。死亡・高度障害になったときにも保障されますが、生前の給付といずれか1回です。また保険期間は終身保障されるタイプと一定の年齢や期間まで保障する定期タイプのものがあります。保険会社によっては、三大疾病になったときにその後の保険料の支払いが免除される払込免除などが付帯していることもあります。

安かろう悪かろう?――疾病保険の注意点

三大疾病保険を比較する際、予算があるのでどうしても保険料の安いものを優先しがちです。もちろんそうした選び方もありますが、保障される範囲や給付条件などの違いを知っておかないと肝心なときに保険が役に立たないことになりかねません。

がんを原因とする給付では一般的ながん保険と同様に、責任開始日から90日後にならないと給付の対象とならないという条件があります。がんの保障については各社ほぼ共通しています。

脳卒中や急性心筋梗塞は、医師の診療を受けた日から60日以上、労働の制限などを必要とする状態の継続などが条件になっていることがあります。60日以上というのは厳しい条件で、加入年数が古いほどこのような給付条件になっている可能性が高く、いまでもこうした条件が付帯されるケースはあります。

三大疾病保険で他社と比較する場合、もう一つの注意点が対象となる疾病の範囲です。この記事の保障内容のところで、「がん」、「急性心筋梗塞」、「脳卒中」と書きました。また日本人の死亡原因では、「悪性新生物」「心疾患」「脳血管疾患」となっていました。似たような言い回しですが、保障上はとても重要なことなのです。

 これらの言葉や用語の違いが何かというと、疾病の範囲が違います。例えば心疾患というカテゴリーには、急性心筋梗塞や心筋症、不整脈、心不全など含みますので、急性心筋梗塞はその一つに過ぎません。また脳血管の病気については、脳の血管が破れるタイプ(脳出血 くも膜下出血)と 脳の血管が詰まるタイプ(脳梗塞など)に分類されますが、総称して脳卒中ともいいます。脳血管疾患に範囲は近いですが、脳卒中に含まれない脳血管の病気については脳血管疾患です。

それぞれ心臓や脳の疾病ですが、民間の保険で保障する病気の範囲は完全に一致するわけではありません。保険料が安いものは、こうした保障される三大疾病の範囲が違うことがあります。細かいところですが、保障内容をよく確認しないとこれらの違いを見落とすことになりかねません。

「長生きリスク」にどう備えるか?

日本人の死因の上位5つはご紹介したとおりですが、これを年齢別にみるとまた違うものが見えてきます。高齢になるについて老衰の割合がどんどん引き上がっていきます。80歳代半ば以降は特にこの傾向が顕著で、さらに女性の場合には男性以上にその比率が引き上がっていきます。

自分が将来どのような病気になるか、どのような原因で死亡するかは誰にも分かりません。三大疾病については、死因などから考えると現状はその確率が高いというだけです。

保険は種類を問わず、そのリスクが発生したときに被る経済的な損害が大きく、自分の資産だけではカバーできないものほど必要性が高くなります。保険には死亡保障や医療保障などもあるので、加入している保険が三大疾病と重複するケースもあります。

特に現在では死亡リスクだけでなく、死亡しにくくなっていることも特徴です。長期に渡る治療や再発のリスクなども考えていかなければなりません。その時々の家族構成やローンなどの有無、資産状況、その他の加入保険によって柔軟に対応することも心がけてください。一定の時期だけ保障を手厚くしてその後は加入しないというのも考え方の一つです。

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この記事を書いた人

平野FP事務所 代表 CFP ®認定者、1級FP技能士、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー

東京都出身。証券会社、損害保険会社を経て実務経験を積んだ後に1998年から独立して活動をはじめてFP歴20年以上。また相談業務を受けながら、中小企業の支援にも力を入れている。行政機関や大学での非常勤講師、企業研修などセミナーや講演も多数。メディアでの執筆記事も多く、WEBに公開されているマネー記事は550本以上。2016年にお金の情報メディア「Mylife Money Online」の運営を開始。主な著書に「いまから始める確定拠出年金投資(自由国民社)」がある。誰もが自分らしい人生を安心して豊かに過ごすため、「お金の当たり前を、当たり前に。」をモットーに活動中。「Mylife Money Online」のURLはコチラ→ http://mylifemoney.jp

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