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進むか? 単身高齢者の入居促進 国交省・法務省が残置物の処理等に関するモデル契約条項を策定

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イメージ/©︎Ingemar Magnusson

国土交通省と法務省は6月7日、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(ひな形)を策定した。

残置物とは、入居者が退去、または死亡後に残した家具や家電などの家財のことをいう。入居者の死亡時、賃借権と残地物の所有権は相続人に受け継がれるため、相続人と連絡がつかない場合、賃貸借契約の解除や残地物の処理が難しくなる。このようなリスクを嫌い、オーナーが単身高齢者に物件を貸すことをためらうといった問題があった。

これらの問題を解消するため策定されたモデル契約条項の概要は次の通りとなる。

例えば60歳以上の単身高齢者が部屋を借りる際、死亡時に賃貸借契約の解除や残地物の処理をスームスに行うことができるよう、受任者とのあいだで「賃貸借契約の委任に関する契約」や「残地物の処理事務の委任に関する契約」を交わす。 

「賃貸借契約の委任に関する契約」とは、入居者の死亡時、オーナーとの合意によって契約を解除する権利を受任者に与えること。「残地物の処理事務の委任に関する契約」とは残地物の廃棄や処理を受任者に委託することだ。

では、肝心の受任者となり得るのはどのような者か。まず考えられるのは推定相続人(配偶者、親、子ども、きょうだい)だ。しかし、単身高齢入居者の場合、そもそもなんらかの理由で相続人との縁が切れている可能性もある。その際は、居住支援法人や管理業者などが受任者になることができるという。

なお、ガイダンスでは「賃貸人は賃借人と利益相反の関係になるため、受任者とすることは避けるべきだ」とし、「今回策定した委任契約書をこの場面以外で利用した場合は、民法や消費者契約法に違反し、無効となるおそれがある」と注意を促している。

国交省・法務省では、今後セミナーなどを通じて関係者に対し周知を図っていくという。

「残置物の処理等に関するモデル契約条項」
「残置物の処理等に関する契約の活用手引き」
「<大家さんのための>単身入居者の受入れガイド」

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