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為替と不動産の関係——ドル安・円高の可能性 そのとき日本の不動産価格はどう動く?(2/3ページ)

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日本の不動産と海外年金・ファンド

一方、不動産はどうか。都心の不動産は、海外の投資ファンドや投資銀行、ノルウェーや米・カリフォルニア州などに本拠地を持つ世界各地の年金ファンド等の投資先になっており、日本の不動産の買い手に海外勢が存在感を高めている。

こうした外資の存在が日本の地価や不動産市況を支えている面は大きい。加えて、国内の企業年金基金も債券での運用難のため、不動産(オルタナティブという代替投資枠扱い)に資金を投じている。

しかし、円高が進むと(為替リスクは為替予約等でヘッジできるとしても)、手持ちの日本の不動産を売る追い風にもなる。

つまり、円高になれば、円からドルに替える際に多くのドルを手にいれることができるため、手持ちの日本の不動産の利益確定のための売り(ドルへの換金)誘因となるわけだ。裏を返せばドルの購買力が落ちるため、日本への不動産投資の抑制要因になるともいえる。

仮に、1ドル=120円なら、為替などの手数料等を抜きで考えると、1億ドルの投資で、120億円の不動産投資ができるが、1ドル=100円の円高になれば、100億円しか買えず、海外の不動産投資家にとってはうまみが減るわけだ。

対日不動産投資はバブルなのか?

先進国の中でも日本政府は、1000兆円を大きく超える世界最大級の借金を抱えており、この利払いだけでも大変だ。

そこで発行した国債は、日銀が市場で大半を買い込んでしまう。こうすることで、市中に出回る国債の量を減らし希少価値が「上がる」という現象が起こる。それは国債の金利の低下として表れる。

日銀が買い占めてしまうのは主に10年国債(10年で償還)で、これが日本の長期金利の指標となる。言うまでもないが、日銀は金融政策的に金利をマイナス方向に強力に誘導している。

結果、現実には銀行はマイナスの金利で不動産融資できないものの、短期金利は長期金利につられて安くなるのが一般的だ。そして、タダ同然の金利で不動産を買うための融資が受けられるというわけ。


市場の国債を買い占める日銀/©︎編集部

一方、不動産投資の利回りが高いのは、自然災害や建物の欠陥、高額ゆえにすぐに売却はできないなどの数々の不動産特有のリスクプレミアムがあるためだ。そのため超低金利下で、ほぼ0%に近い利回りしか期待できないような債券への投資に比べれば、不動産投資は有利になる。

不動産特有のリスクといっても、地震など毎日起きるわけでないし、仮に自然災害があったとしても、不動産物件の多くは損害保険でカバーすることも可能。こうして欧米に先行し、マイナス金利政策に沿って実際の貸出金利が大きく下がったところで、不動産が脚光を浴びた。

コロナ禍によって日本ではオフィス需要に陰りが出てきて、投資利回りはやや下がったとはいえ、3%前後はまだまだ期待できる。投資のために現金がなくても、カネ余りの中では、銀行も融資条件をきびしくしない。このために、借り入れで不動産を買うと、それほど金利が低くなかった欧米以上の利幅(スプレッド)が確保できた。つまり儲かったのだ。こうした背景からも、外資の対日不動産投資が進んでいるのである。

日本では、コロナ以降、銀行による不動産業向け融資が再び加速し、20年末の不動産融資残高が過去最大の84兆円を記録したほどだ。おまけに日本は不動産を担保にした金融機関の間接金融が主流である。そのため、国内外の不動産プレーヤーは不動産取引で銀行が求める担保を難なく用意できるので、非常に有利な投資になってきた。

加えて、営業利益率も社員の給与も高い不動産事業は、給与や利益水準が低いメーカー、サービス業などの事業会社からはバラ色に見える。このためメーカーなどの事業会社はもとより、マスコミなど不振業種が不動産再開発に血眼になっているわけだ。

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