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子は繁栄、丑つまずき…過去データから読み取る令和3年丑年の相場

望月 純夫望月 純夫

2020/12/09

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イメージ/©︎blueone・123RF

期待と現実がぶつかり合って反動安に要警戒

株の相場格言に、「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ、戌(いぬ)は笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」とある。

過去の上昇率のトップは辰年、2位が子年(2020年)、3位が卯年だった。今年は12月4日現在の上昇率は15.2%増と、新型コロナ禍にもかかわらず大幅な上昇を記録している。

一方、過去の下落率のトップは午年で、2位は丑年、この午年と丑年がマイナスとなっている。また、丑年の1961年が+4.8%、1973年が-17.7%、1985年が+13.5%、1997年が-21.5%、2009年が+16.6%というパターンもあり、このパターンが続くとすると2021年の丑年はマイナスということになる。

現在の株高は、世界的な金融緩和やコロナワクチンが開発・販売され世界中に行き渡り不安が解消されることにより景気が回復するという期待に基づくものだけに、来年はその期待と現実がぶつかり合う局面で、反動安を警戒する必要がある。

期待できる部分としては、例えば国内で新型コロナが指定感染症(一類)から(五類)への見直しで終わる可能性で、そのタイミングは感染症指定期限の21年2月6日か。20年10月の時点での医師の7割弱が二類相当措置の見直しの必要があるとしているところも見逃せない。

世論調査では菅内閣の支持率は軒並み10%前後ダウンしているが、外国人投資家のスガノミクスに対する評価は高く、11月は4週連続の買越額は1兆5113億円。これは12年当時のアベノミクスに対する期待での大幅買越しを想起させるものがある。前半高の後半安を想定して対応したい。

EV、環境銘柄は注目継続、オリンピック関連注目の5銘柄

今年の相場は目まぐるしく変化してきた。

前半戦ではコロナ関連銘柄、特に印象が深い銘柄はコロナウイルスワクチンのアンジェス(4563)、巣籠もり関連の出前館(2484)やオンライン学習のすららネット(3998)など。夏以降になると5Gやデジタル化関連にシフトし、11月3日の米大統領戦前後からはバイデン大統領候補の勝利確定により環境関連(太陽光発電や電気自動車)の動きが加速した。この動きはバイデン大統領の就任演説の1月20日頃までは続きそうだ。

アンジェス(4563)

出前館(2484)

すららネット(3998)

12月15日から始まるIPOラッシュにより短期の投資資金は既存の銘柄から新規銘柄に移ることになる。

既存の有望な新興市場銘柄については、新規公開が空白期間の来年1月から2月前半の相場狙いで対応したい。前回、このコラムでは電気自動車(EV)関連銘柄を紹介したが、EV関連は当面継続とする。

さらに今後の2~3カ月タームではオリンピック関連への投資を考えてみたい。

五輪実施に対する政府の方針が明確となるのは2月6日、または中国の春節(2月12日)と考えられる。オリンピック施設関連の乃村工藝社(9716)や丹青社(9743)、スポーツイベントのセレスポ(9625)やテー・オー・ダブリュー(4767)、旅行関連のエイチ・アイ・エス(9603)、エアトリ(6191)、日本航空(9201)、日本空港ビルデング(9706)、スポーツ用品のアシックス(7936)などが注目だ。

乃村工藝社(9716)

丹青社(9743)

セレスポ(9625)

テー・オー・ダブリュー(4767)

エイチ・アイ・エス(9603)

エアトリ(6191)

日本航空(9201)

日本空港ビルデング(9706)

アシックス(7936)

投資信託は海外株が人気、一方日本株運用は8カ月連続で資金流出

12月3日に発表された投資部門別売買動向によると海外投資家は11月に1兆5113億円の現物を買い越している。この金額は1年7カ月ぶりの動きだ。

新型コロナウイルスのワクチン開発の進捗により世界経済回復の期待が高まる中、景気敏感株に対する見直し買いが入った。その過程で個人の投資家は1兆8503億円を売り越し、投資信託の解約も4343億円となっている。

一方、日本の個人マネーは投資信託を通じて海外株に向かっている。世界の株式を組み入れる投信には11月までの5カ月間の約1兆7000億円が流入した。中でも米国のIT(情報技術)株をはじめ成長期待の高い銘柄を多く保有する投信が人気だ。日本株を運用する投信からは8カ月連続で資金が流出している。

特に資金流入が目立つのは、アセットマネージメントOneが手掛ける「グローバルESGハイクオリティ成長株ファンド」が2000億円強の資金を集めた。加えて、米アライアンス・バーンスタインが運用する「米国成長株投信」も流入額が多い。

S&P500種株価指数に連動した運用を目指す投信は、個人投資家による積み立て購入の対象となっている。11月の上昇が著しかった東証マザーの成長株に投資したファンドについては、12月15日から26銘柄の上場が控えており、かなり下押しする可能性も高く、目先は利益確定売りが望まれる。

※本稿は、投資における情報提供を目的としたものです。株式の売買は自己の責任において、ご自身の判断で行うようお願いします。

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この記事を書いた人

コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1971年慶應大学法学部卒、同年山一証券入社。1985年新本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。 1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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