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国土交通省が完全コロナ下での「地価LOOKレポート」第2弾を発表 リーマンショック直後との違いは何か(1/2ページ)

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文/朝倉継道 イメージ/©︎curaphotography・123RF

第2四半期同様にコロナの影響を反映

11月19日、国土交通省より、今年分として3期目となる「地価LOOKレポート」が公表された。令和2年第3四半期(7月1日~10月1日)の地価動向を示す公的指標だ。

前回の第2四半期分(4月1日~7月1日)に続いての、新型コロナウイルスの影響を本格的に反映する内容となっている。

東京はホールド、大阪と名古屋については売り気配が先行中――コロナ本格反映の「地価LOOKレポート」

まずは、全地区(全国)の状況を確認する。

上昇 …1地区(前回1)
横ばい …54地区(前回 61)
下落 …45地区(前回 38)

このように、前回分の傾向を概ね引き継ぐといったかたちとなっている。コロナの影響を受け、前々回分(第1四半期分)までとは様変わりした状況の継続ということだ。

国交省は「全体としては需要者の様子見傾向が継続している」、そのうえで、「用途別では商業系が住宅系より下落地区の割合が高い」「地域別では大都市圏が地方圏より下落地区の割合がやや高い」としている。

示されている数字は、以下の通り。

・住宅系地区(32地区)
上昇 …0地区(前回0)
横ばい …26地区(前回27)
下落 …6地区(前回5)

・商業系地区(68地区)
上昇 …1地区(前回1)
横ばい …28地区(前回34)
下落 …39地区(前回33)

3大都市圏・地方圏

・東京圏(43地区)
上昇 …0地区(前回0)
横ばい …34地区(前回38)
下落 …9地区(前回5)

・大阪圏(25地区)
上昇 …0地区(前回0)
横ばい …7地区(前回8)
下落 …18地区(前回17)

・名古屋圏(9地区)
上昇 …0地区(前回0)
横ばい …0地区(前回0)
下落 …9地区(前回9)

・地方圏(23地区)
上昇 …1地区(前回1)
横ばい …13地区(前回15)
下落 …9地区(前回7)

ちなみに、名古屋圏においては上昇のみならず横ばいの地区も見られない。前回も同様であった。これは、地区の選定(数・場所)によるものか、「コロナショック」を受けての症状が重くなる何かの要素を名古屋圏が持っているのか、多少気になるところではある。

リーマン時と現在の状況を比較 

ところで、この地価LOOKレポート、始まりは平成20(2008)年となっていて、その前年の第4四半期分からのデータが公表されている。つまり、あの“ショック”があった際のデータもしっかりと拾われているのだ。

そう、「リーマンショック」のことである。

そこで、このリーマン時直後2期分の数字を見てみよう。なお、当時といまとでは調査対象地区数に違いがあるため、データをパーセンテージで記す。

・リーマンショック直後の2008年第4四半期・全地区のデータ(2008年10月1日~09年1月1日)
上昇 …0%
横ばい …1.3%
下落 …98.7%(以下内訳)
(0%超~3%未満)…22.0%
(3%以上~6%未満)…49.3%
(6%以上~9%未満)…16.7%
(9%以上~12%未満)…8.0%
(12%以上)…2.7%

・上記の翌四半期=2009年第1四半期・全地区のデータ(2009年1月1日~4月1日)
上昇 …0%
横ばい …1.3%
下落 …98.7%(以下内訳・小数点以下の数字の関係から合計98.8%となる)
(0%超~3%未満)…24.7%
(3%以上~6%未満)…44.7%
(6%以上~9%未満)…24.0%
(9%以上~12%未満)…2.7%
(12%以上)…2.7%

このように、リーマンショックのときには、まさにダイナマイト級といえる爆風が地価を覆っている。上昇どころか横ばいの地区もほとんど見られず、下落幅も深刻だ。

対して、今回のコロナショック直後の2期分と比較してみる。

・2020年第2四半期・全地区のデータ(2020年4月1日~7月1日)
上昇 …1.0%
横ばい …61.0%
下落 …38.0%(以下内訳)
(0%超~3%未満)…30.0%
(3%以上~6%未満)…8.0%
(6%以上~9%未満)…0.0%
(9%以上~12%未満)…0.0%
(12%以上)…0.0%

・2020年第3四半期・全地区のデータ(2020年7月1日~10月1日)
上昇 …1.0%
横ばい …54.0%
下落 …45.0%(以下内訳)
(0%超~3%未満)…37.0%
(3%以上~6%未満)…8.0%
(6%以上~9%未満)…0.0%
(9%以上~12%未満)…0.0%
(12%以上)…0.0%

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