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7月の株価動向――米国個人トレーダーの動きに注目。国内はコロナ相場の主役の医薬・検査はいったん休み

望月純夫

2020/07/09

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©︎blueone・123RF

過去最大の下げ相場から「リベンジ相場」へ

FRBは、2000万人以上の雇用が失われ、回復の道のりは長いと判断し、2022年末までゼロ金利政策を維持する方針を表明した。

短期的には4-6月期の成長率が年換算で40%ものマイナスになることが予想され、これまでにない過酷な落ち込み。しかし、7月以降は持ち直しに転じるとみている。全米の各州では、経済回復を最優先し外出規制の緩和を急いだ結果、西部や北部で感染者が急増、新型コロナウイルスの感染の再拡大期に入った感がある。しかしながら、経済回復により5月の小売売上高を見る限り17%増、過去最大の下げ幅から一転、統計開始以来の1992年以来過去最大の上げ幅を記録した。

その内訳は、アパレルが前月比2.9倍、家具が90%増、スポーツ用品が88%と急伸した。中でもネット通販比率も高く、20~30歳代の若年層が消費をけん引。また、海外旅行に行けなくなり、その資金を買い物に回す富裕層もいた。こうした自粛の反動とも言える高い購買意欲は、リベンジ(報復性)消費と言われている。

消費の流れと同様に、米新興ネット証券のロビンフッドの口座数が急増。年初から300万増の1300万口座となり、他の証券口座も急増中だ。一人当たりの投資金額は少額でも、ツイッターなどSNSを通じて相場の流れを作る力がある。米国の個人トレーダーのデイブ・ポートノイ氏はカリスマトレーダーとして注目され、150万のフォロワーがいる。

個人の投じるお金の一部は政府からの給付金で、この給付金の使い道ランキングの1位は貯蓄、2位が現金、3位が株式投資だった。とはいえ、失業保険給付金の積み増しは7月には終わるので、新規資金の流入は途切れることになる。

87年ブラックマンデーの戻し相場になるかかがポイント

東京市場も同様な現象が起き、個人の投資家はワクチン開発のアンジェス(4563)、東大医科研究ベンチャーのテラ(2191)、日経レバETF(1570)に資金を投入すること一大勢力を形成することになり、ある意味での“仕手”とも言え、一つの波の後には次の波が来る、いわゆる循環物色中だ。

世界の資金は原油や金、株式市場に集まり、過去にないほどの活況を呈している。4〜6月の間の米S&P500指数は18%高、日経平均株価も18%高と欧州や香港市場を上回まわった。

日本の株高は他国に比べ感染者数が抑えられたことが要因の一つになっている。とはいえ、6月に限ると日経平均は1.9%上昇と上昇率は鈍化。1987年10月時のブラックマンデーでは、4カ月で全値戻しを達成しており、今回もこの7月に全値戻しを達成できると、新たな大金融相場に発展していく可能性が高くなりそう。

7月のオプションのSQは2万1000円割れに人気だが、この逆目が出ると上昇のエネルギーになる可能性も。市場の投資尺度がPERからPBRにシフトもようだ。

主役は休息中の狙いは通信、巣ごもり、デフレ銘柄

コロナ相場の原動力となっていたアンジェスの動きが、6月30日の治験開始とともに鈍くなった。これは材料を織り込んだということになる。これなどは相場の格言でいうところの「噂で買って事実で売る」にあたる。主役が調整局面入ったことで薬、検査薬などの銘柄は一時休息となりそう。

格安スマホの日本通信がNTTドコモに通信回線の引き下げを求めていた問題で総務省は30日、ドコモに値下げを求める裁定を公表した。これによりドコモは12月29日までに新たなレンタル料金を示す必要が生じ、他の格安スマホにも同条件で料金を設定することになる。

ドコモとの争いは、日本通信(9424)に軍配が上がった格好である。格安スマホの通話料は半減すると、音声とデータを合わせた料金が3割程度安くなり、インターネットイニシアティブ(IIJ、3774)は、今年度中にリーゾナブルなプランの見直しを予定。データセンター関連でもIIJは注目株に取り上げている。

前月号で紹介のITbook(1447)、ウチダエスコ(4699)、NECネッツアイ(1973)は高値を更新した。まだ大きなうねりになっていない銘柄としては、ブイキューブ(3681)、今後のマイナンバーカードの進展で期待できるスマートバリュー(3778)、さくらインターネット(3778)がある。

注目業種はかなり絞られつつあり、流れに変化もある半導体関連や出遅れ銘柄に、そこで個別の銘柄にも焦点を当てたい。

日本通信(過去3カ月の株価推移)

インターネットイニシアティブ(過去3カ月の株価推移)

スマートバリュー(過去3カ月の株価推移)

巣ごもり需要で伸びているペット保険大手のアニコム(8715)、中国からの日本回帰する後発医薬で恩恵受けるフロイント産業(6312)、デフレ下で成長する100円ショップのセリア(2782)、スマートシティで有望視されるドローン技術の自律制御システム研究所(6232)、サイバーエージェントの子会社でクラウドファンディングのプラットフォーム運営のマクアケ(4479)。半導体関連の主役は値嵩株の東京エレクトロン(2760)、子会社の東京エレクトロンデバイス(2760)、アドバンテスト(7735)、三井ハイテック(6966)、野村マイクロサイエンス(6254)なども注目。

アニコム(過去3カ月の株価推移)

セリア(過去3カ月の株価推移)

自律制御システム研究所(過去3カ月の株価推移)

東京エレクトロン(過去3カ月の株価推移)

世界各国のコロナ感染状況で狙い目が変化する投資信託

コロナ感染の第1波の時の金価格連動型投資信託(ETF、1328)は、3月12日の安値4005Pから4月14日の高値4990Pまで24.5%上昇し、欧米のロックダウン解除の動きと共に横ばいに転じ、ブラジルでの拡大や米国での感染者拡大により6月19日の安値4780Pから7月1日の高値5720Pまで19.6%上昇した。世界情勢が不安になるタイミングでは、この金のETFの投資は効率が良い。

他の上場投信でも検証してみよう。

東証マザーズETF(2516)は、3月17日の安値404Pから6月23日の818Pまで202%の上昇をした。この指数を押し上げたのは、ワクチン開発のアンジェス(4563、上昇率約3倍)、WEBでの弁護士支援の弁護士COM(6027、上昇率2.4倍)、メルカリ(4385、上昇率+70%)などで、この間の日経平均ETF(1321)は、3月19日安値1万6900Pから6月9日高値2万4120Pまで42.7%上昇している。

個別の株に慣れない方は、上場投信を利用するのも手である。これは個人の積立投資は増加傾向により、6月末時点で471億円と2019年末比で5割の増加していることがある。新型コロナウイルスによる相場急落をチャンスと考えた個人が増えたようだ。

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この記事を書いた人

コンサルタント、ラジオパーソナリティ

1971年慶應大学法学部卒、同年山一証券入社。1985年新本証券国際部入社、パリ駐在員事務所長を経て企業部にて新規公開企業の実務に携わる。 1998年退職後、コンサルタントとして独立。著書に『株をやさしく教えてくれる本(あさ出版)などがある。フジサンケイビジネスアイ株式初級講座、ラジオ日経の「株式宅配便」のパーソナリティを務める。

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