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子どもファーストで面会拡充を実現——愛する気持ちは一緒だからできたこと(後編)

しばはし聡子しばはし聡子

2021/10/02

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イメージ/©︎altanaka・123RF

こんにちは。離婚後も両親で子育てする共同養育を実践しているパパママを紹介するインタビュー特集。

今回は、突然子どもと会えなくなった別居父親へのインタビュー後編です。

前編はこちらから

——調停は1年半かかっていますが、その間はお子さんとは直接会えていましたか?

朝、職員室に手紙を持っていったのでそこで見かけることはありました。

調停中は、調停で面会交流が決まってから会えるようになりました。最初は月に1回からスタートでした。妻側の弁護士から、「息子さんが会いたがっていません」と言われて、話が進まなかったんです。そのときは実際会っていなかったので、本当に不安になってしまったのですが、僕の救われた点としては、手紙で子どもの気持ちが分かったことです。

毎日自分から思いを伝えていたし、子どもも伝えてくれていた。自分に対して子どもが返してくれていたので、そういう証拠となるものを持っていたし、子どもはそんなこと言ってない、弁護士が嘘をついている、調停内で言われるひどいことを聞いたりしても、本当のこと言っていないと、自分を傷つけられても大丈夫でした。

子どもとは毎日文通をしていたので、子どもは家にも帰りたいしサッカーをやりたい、ということも分かっていたので、調停員にもその手紙を見せたりしました。子どもの気持ちを理解いただけて、それでようやく面会がスタートしました。

——そこから月1回の面会がスタートしたのですね。

はい。2019年の年末からスタートしました。元妻は私とコンタクトを取りたくない、ということだったので、最寄駅で、お互い50メートル離れたところにいて、妻が着いたらその場を離れて、子どもが一人なったら僕に電話をかけてきて僕が子どもを迎えにいく、というのを月1回で進めていきました。

ただ、離婚に至るまで、子どもも月1回というのを変に思っていて、会えるようになると、なんでこのくらいしか会えないの?と。もちろん息子も僕もお互い納得できていなくて。別れ際がとてもつらかったです。

元妻にも、子どもの気持ちを汲み取ってほしくて、りむすびさんに協力してもらって、カウンセリングをやってもらえないかとか、共同養育について一緒に学びましょう、などいろいろと言いましたが、そこは一切嫌です、と言われてしまいまして。

ただ、調停のなかで、調査官調査とだったらやる、と言ってもらえたので、調査官が、僕と元妻と子どもの調査を開始してくれました。そのとき、妻の気持ちとか子どもの気持ちを調査官が聞いてくれて、子どもは、「魔法があるなら、別居の前に戻してほしい」と言っていたみたいで。

ほかにもやりたいことを聞かれたときも「パパとサッカーをもっとやりたい」「月1回じゃ少ないからパパともっと会いたいと」と、本当の気持ちを伝えてくれたので、妻も第三者から子どもの気持ちを聞いたことで、汲み取ってくれました。その結果、面会が増えるきっかけになりました。

もし調停をやられている方がいたら、面会交流を争うのではなく、調停で話せるのであれば、子どもも片親にしか話せないとか本当の気持ちを伝えられないとかつらいと思うので、そういう機会を与えて、子どもの本当の気持ちを聞くにはいいと思います。

——離婚を受け入れようと思ったのはどのタイミングでしたか?

調査官調査の文面で、子どもが僕たちに仲直りしてほしいと思っているのを知っていたので、チャンスがあるなら、もう1回やり直したい、という思いはありました。そう考えていたので、正直最初はなかなか踏ん切りがつかなった。ただ、このまま調停を続けていても、あまり話し合いをすることがなくなってきており、妻の気持ちは固いと分かったんです。

正直、親権を失う怖さはものすごくありました。苗字も変わったりしたら、親でなくなるとか、会えなくなるんじゃないか、とか。ただ、両親それぞれが子どもの習い事などに関わって協力するなど、子ども優先で考えるということでは意見が合致していて、妻が子どもを第一に考えてくれているということが分かったので、あとはお互い幸せになるために共同養育を積み重ねていくしかないと思うようになりました。ちなみに、子どもの希望を聞き入れ、苗字は変えないでいてくれています。その部分についてもとても感謝しています。

——現在のお子さんとの関係は?

離婚時の協議書上は、面会は毎週土曜日のみとなっていますが実際はそれ以上会えています。子どもがサッカーをやめて野球に興味をもち始め、野球をやりたいと言い出したので、そこは僕がチームを探して、現在は僕も子どもと一緒に野球のコーチとして関わっています。

また、野球以外にも子どもとは毎週親子Cookingをしたり、家庭菜園、DIYなんかも楽しんでいます。最近は野菜などにも興味を持ち始め、ABCクッキングスタジオに行った際は包丁の使い方が上手と褒められとても楽しそうに料理をしていました。子どもとも同居時よりも絆が深まり、新たなよい関係性が芽生えたことを実感しています。

それに、学校行事も参加しています。1時間の公開授業などは半分ずつ行くようにして。一緒に観ることはないですが、子どもの様子が分かるので有難いです。学校に、行事について教えてもらったりだとか、自分で確認できるものは相手から待つのではなく、自分から情報を取りにいってます。

また、妻は土曜日が仕事なので、交流中は心配なく働けているのかなと。いまは臨機応変に子どもが僕のところに来たりもするので、自由に行き来しています。今年の夏は息子とふたりでプロ野球観戦に東京ドームへ行けたのもいい思い出です。元妻は今年の夏休みに息子と石川県にある松井秀喜ミュージアムに行ったようで、そのことを子どもを通じて聞き、お互い子どもを優先できているのが分かり、うれしかったですね。

——いま現在お相手とのコンタクト手段はどうされていますか?

調停時にショートメールと決めたので、直接やり取りしています。元妻も、野球をしている様子など子どもの一面を知りたいと思うので、なるべく自分から伝えるようにしています。

それから元妻の誕生日には、お花やスタバのギフトカードを子どもからのプレゼントとして渡しています。そのほか、ふるさと納税で取り寄せた果物を子どもに持たせたりしています。それは普通に受け取ってもらえますね。僕は調停中に自分の悪かった部分については手紙で渡したこともありましたし、今でも親として協力できることはしたいと思っているので、そういう自分の姿勢を示すことも大切だと思います。

——いま現在離婚を考えている方、離婚されてお子さんと会えない方、会わせていない方にメッセージをお願いします。

僕も調停中は毎日つらくて涙を流していました。でも今は別居前よりも幸せなんじゃないかと思うんです。離婚したことで心がリセットされて、とても穏やかな生活をすることができています。

また、やりたいこと、挑戦したいこともたくさん見つけることができました。

みなさん、それぞれの状況があると思いますが、相手から何かを奪うことを考えるのではなく、相手に与えることを考えてほしいです。最初は難しいかもしれません。でも自分が与える存在になることで、少しずつ、わだかまりが解けていくように思います。自分がそういう存在になるには、元気でエネルギッシュな生活を送ることも大切です。僕は運動をすることをお薦めします。いまは毎朝のランニングを日課にしています。朝陽を浴びることが大切だと気づき、そこから大きく好転した気がします。

また、せっかく自由な時間ができたのですからご家族、ご友人、サークルやコミュニティーの仲間との交流を楽しむこともおすすめです。「孤独」・「孤立」は身体への影響がよくないと感じるからです。

多くの方と交流することで、自分が笑顔になる機会も増えて、周りも笑顔になり、自分自身が癒された時間だったと感じています。そして、苦しいときは我慢せずに周りの人に相談に乗ってもらうことも大切と考えます。

「人は何者にでもなれる、いつからでも!」退路を断たれても「まだ自分にはできることがある」と自分を鼓舞し、周りからどのように思われても、自分の信念を貫きと通すことでみなさんにも幸せがきっと訪れると思っています。みんなで幸せになりますしょう!

 

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この記事を書いた人

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️

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