共同養育に大事な3つの要素
しばはし聡子
2021/04/06
イメージ/123RF
離婚をした後も両親で子育てする「共同養育」。離婚するほどの相手とどうやって子育てするの? 円滑に行うコツは? 実は共同養育を実践するには大事な3つの要素があるんです。ひとつずつ紹介していきましょう。
■共同養育の充実度をはかる公式
【共同養育の充実度=①交流の頻度+②親子関係+③親同士の尊重】
この3つの要素のそれぞれが充実することで共同養育の充実度が増していきます。なかでも鍵になるのは③。なぜなら親同士が尊重できれば①②ともに快方に向かいやすいからです。
親同士の関係が風通しがよくなればなるほど、交流の頻度や時間は増えやすくなりますし、子どもの成長や意向に応じて臨機応変に融通が効きやすくなります。
また、子どもも親の顔色を見ずに素直な気持ちを両親に伝えられるようになり、親子関係も良好になっていきます。
①交流の頻度「共同養育計画」
別居や離婚となると、まずは「共同養育計画」を作らなくてはと思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。形式ありきで取り決めをしようとすると、合意形成が難しいことも少なくなく、関係がより悪化し争いが長期化してしまう可能性もあります。
取り決めすることは大事なことですが、もっと大事なのは計画を考えていくための話し合いができる対等な関係を作ること。そして、ご自身が「共同養育しやすい相手になる」ことです。
今後、子どもの成長に合わせ、臨機応変に対応しなくてはならない場面も出てくることでしょう。お互いが親同士として尊重し合える関係をつくることにより、計画を実施し継続していくことができ、子どもに両親からの愛情を伝え続けることができるのです。
逆にいうと、尊重し合える関係性を作ったうえで取り決めを行った方が明らかにスムーズなのは言うまでもありません。
●取り決める項目
定期的な面会交流の頻度や時間のほかに、連絡手段、学校行事の参加、長期休暇の過ごし方など、決めておくとスムーズな場合もあります。
こと細かく決めると親同士のやりとりが少なくて済む代わりに、融通が効きにくく拡充もしにくいデメリットも。ゆるやかに決めておくと親同士のやりとりの頻度は増えますが、臨機応変な変更や拡充もしやすくなります。
共同養育はひとりではできません。お相手との関係性を配慮しながら、お子さんの成長や環境の変化なども見据えて、親子が継続して交流できる計画を立てていきましょう。
②親子関係
同居中に関係が良好な親子であれば、引き続き交流の頻度を増やしながら、その関係性を維持していくことが望ましいです。
もし、同居中に親子関係があまり芳しくなかったとしても、子どもは親から愛されていることを確認したいはず。同居中にできなかった親子関係を別居後に構築していくことから始めるのもひとつです。子どもの意向を聞き褒めることから、ひとつひとつ関係性を積み重ねていきましょう。
一方で、離れて暮らしていると子ども関心ごとや成長度合いがわからず、どのように過ごしていいか戸惑ってしまうこともあります。
そのようなことにならないような頻度で関わり続けることが望ましいですが、難しい場合には、子どもの交流が円滑にできるよう子どもの情報を随時伝えるよう心がけましょう。
③親同士の尊重
親同士としての関係をつくるためには、相手を責めたり中傷したりして矛先を相手に向けるのではなく、夫婦の感情は横に置いて親として子どものために同じ方向を向くことです。
そして、「子どものため」と言いながら自分の意向どおりに相手を変えようとするのではなく、相手の意向も尊重すること。相手の意向を尊重できるようにするために、まずご自身の葛藤を受容し理解することが大事です。
当事者同士で折り合いをつけるのが難しい場合は、第三者を介して親同士の再構築に向けた夫婦カウンセリングを行うことも有効です。
これらの3つの要素のひとつずつを充実させていくことが結果して離婚家庭の子どものダメージを低減させることができます。ひとつひとつできることから始めてみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️