共同親権になるかもしれないその前に/今のうちから共同養育を実践してみよう
しばはし聡子
2021/01/21
イメージ/123RF
最近、離婚後の子育てについて養育費や面会交流のこと、そして親権制度のことを本格的に話し合いましょうというニュースがありましたね。
「離婚後養育費不払い解消、諮問へ 面会交流や共同親権も、法制審で」
このニュースを見て、さまざまな思いになられている方がいらっしゃることと思います。そして、これから先、共同親権が導入された際に、実際どうやって元夫婦で子育てを行っていくの? 離婚するほどの相手とどうやって関わっていくの??というのが、当事者にとっての1番の関心事、懸念事項になってくるのではないでしょうか。
そこで、まずお伝えしたいのが、「共同親権になる前に共同養育を実践できるようになっておこう」ということ。法律が変われば、「離婚するとひとり親→離婚してもふたり親」が当たり前になり、両親ともに子どもに関わる前提で協議が進むという大きなメリットがあります。共同養育に向けた制度化も進むでしょう。
とはいえ、法律や制度がこじれた夫婦を親同士として関係を再構築してくれるわけではありません。実践するのはあくまで親。よく講演会で「ハードとハート」というお話をさせていただいているのですが、法律や制度(=共同親権)は「ハード=しくみ」、共同養育は「ハート=心」。両方とも大事なことであり、ハートの部分は共同親権になっても単独親権のままでも同じこと。
では、離婚後も親同士として関わっていくためにどうしたらいいのか。それは、「争わないこと」。
離婚前に同じ屋根の下で暮らしていて両親の不仲を見てきた子どもが、親の都合で離婚し環境も変えられてしまい、さらに離婚してまでも、両親がいがみ合っている姿を見たら子どもはどんな思いになるでしょう。
子の福祉、子の最善の利益とは、それぞれの親が愛情を伝えていくことはもちろん大事ですが、親同士が争わない姿を見せていくことも大事なのだと感じないではいられません。
司法の場は、書面でのやりとりで取り決めばかり。気持ちのやりとりができないまま取り決めありきで交渉が始まり相手を批難し合うことでより相手へ疑心感がふくらみ別居前よりも対立構造が深まります。
共同養育の計画書をつくることありきで交渉するだけではなく、つくった計画を実施できるような親同士の関係を築く準備を離婚協議中に行っていくことこそ子どものためになるんですよね。何も仲良くなる必要などありません。相手を否定したり責めたりしないこと。相手から何かを奪おうとしないこと。相手を支配しないこと。
お互い相手のことを疑心暗鬼になるからこそ自分を守るために相手を攻撃してしまうんですよね。実は蓋を開けると相手は実はそこまで悪意がないかもしれないのに。司法の場で相手を敵視することで別居前よりも関係が悪化してしまうご夫婦を多く見ていると残念でなりません。
しかしながら、離婚するほどの当事者同士で関係再構築など容易ではありません。そこで、りむすびは両者の気持ちに共感しながら相手の気持ち、子どもの気持ちを代弁しながら心の架け橋を担い伴走的サポートを行っております。
「子どもに会えない、子どもを会わせたくない」
「自分の気持ちを分かってくれない、相手と関わりたくない」
そんな思いで相手と関係をより悪化させてしまうその前に、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
離婚してもその先のご自身の人生、そして子どもの親同士として人生は続きます。各ご家庭にあわせた先を見据えた心の面でのサポートをいたします。「争うよりも歩み寄りを」をモットーにお力になれれば幸いです。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️