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【インタビュー】「親からの愛情は自己肯定感を左右するー自身の実体験からの思いー 」

しばはし聡子しばはし聡子

2019/08/20

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イメージ/123RF

まざまなカタチで離婚後も両親で子育てを行っているママの実体験を記事化したシリーズ。今回は、ご自身が離婚家庭で育ち、現在再婚し大学生の息子さんを育てるママを直撃インタビューしました。

■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。

月に 1 回 息子と父親で直接連絡を取り合って会っている感じですね。息子はもう大学生なので完 全に本人に任せています。 いつ会ってるか確認をしないし、報告もないので実際のところわからないのですが、養育費を毎 月支払ってくれているので、定期的に会ってるのかなって思っています。 たまに息子に「お父さんとは会ってる?」と聞いてみると、「会ってるよ。」と答えているの で、いい関係で会っているんだと思い詮索せずに見守っています。

■ 共同養育をするようになった経緯をお聞かせください。

息子が高校生の時に離婚をしたのですが、調停の取り決めで月 1 回の面会交流が決まりました。 ちなみに、弁護士はつけず自分で調べて調停を申し立てしました。弁護士に払うお金は息子と離 婚後の生活費に使いたかったので。調停の申し立てをしてから2ヶ月程度で円満な形で離婚が成 立しました。離婚を決意するまでには10年かかりましたが…。

離婚当初は、息子が面会交流に消極的だった時期もあったので、最初の 1,2 回は私が間に入って日 程調整をしたりして面会交流を促していました。元夫とのやりとりは淡々と行っていたので、特 に困ることもありませんでした。そこは割り切っていたので嫌という感情もありませんでした。

息子には、高校教師になりたいという夢があったんです。そして、大学は理工学部に行きたいと願っていました。親の離婚のせいで息子の夢を断念させるわけにはいきません。私一人で学費を工面するのは難しく父親の支援が必須だったので、離婚しても息子の夢を叶えるために協力してほしい、私の願いはそれだけでした。

現在、希望した学部に通っている息子ですが、父親に学費を払ってもらうことで「父親のおかげで大学を出してもらった」という感謝の気持ちを持って育ってくれるといいなと思っています。

■共同養育するにあたり困っていることはありますか。

特にはないですね。お互い連絡先を隠しているわけではないけれど、息子も大きいので直接やり 取りできますから、親同士として連絡とる必要がないので、私自身困ることはありません。私は再婚して今のパートナーや息子との生活を大事にしていますし、過去の元夫婦の感情にひきづられてネガティブになったり悲観することなく前を向いて過ごすことが大事だと思っています。

パートナーも、息子と実父の関係について理解をしてくれて、私と息子に任せてくれていて口出しすることもないので、バランス良く過ごせているのはありがたいですね。

■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。

この先ずっと父親として息子のことを思っていることを示し続けてほしいです。 養育費は大学卒業とともに終わるけれど、その後も言葉や態度やどんな形でもいいので伝え続けてほしい。それだけです。

なぜ、そこまで親からの愛情を伝えてほしいと思うかというと、私自身が幼少期に親からの虐待や親の離婚で愛情を感じられずに育った経験があるからです。親から愛される実感がないまま育つと自己肯定感が低くなり、大人になっても人との関わりやパートナーシップがうまくできなくなってしまうんですよね。最初の結婚生活もうまくいかなくなったのは、私自身の自己肯定感の低さも一因だったかもしれません。

そんな経験があるからこそ言えるのは、子どもは親から無条件に愛されることが必須だというこ と。だからこそ、息子には父親からの愛情を感じて ほしいし、父親にも愛情を注ぎ続けてほしい と切に願います。

■共同養育はお子さんはもちろんご自身にとってもどんなメリットがありますか。

父親に対して悪い感情を持ち続けるのはよくないことですし、親から愛されているって感じ続け ることで自己肯定感が高く保たれることは生きていく上で絶対大事です。親からの愛情は何をす ることに対しても基盤になりますからね。

今後、息子が結婚しようと思った時に、家族という形に対してマイナスの感情が残ったままだと、家庭を築くことに対してネガティブになってしまいます。

マイナスの感情がクリアになってもらいたいし、家族っていいものなんだと思ってもらいたいから、父親と継続的に会って愛情を感じてもらいたい。そのためにも父親と関わることは息子にとって大切な機会だと思っています。

■ご自身のこれからの夢やビジョンがあれば教えてください。

夫婦って 、家族の中の一番最初の単位で一番コアになる部分だと思うんです。夫婦関係が健全な 状態だとそこから派生する親子関係も良い連鎖になっていきます。 私は今、再婚という形のなかでパートナーとの信頼関係を築くことが一番の学びとなっていま す。

離婚前の家族の状態が悪かったことで、息子が精神的に不安定になってしまったことがきっかけで心理学を学ぶようになりました。そして、その後、心理カウンセラーやセラピストを目指しことで、自分が幼少期に受けた心の傷の深さに気がつきました。そして、自分と同じように苦しむ人たちの気持ちを人一倍理解できるようになりました。

今自分の人生に悩んでいる人達の心を癒し、そしてその人の良さを引き出す、本人に気づいてもらう、自分らしく生きていけるようなサポートをこれからしていきたいと考えています。家族とはいえ、ひとりひとり人生は違います。だからこそ、ひとりひとりが自立しながら協力し合えるよう、ひとりひとりの自己肯定感を上げていくためのお手伝いをしていきたいですね。

現在は、心理学に加えてカラーセラピーも学んでいます。心理学やカウンセリングというと敷居が高いですが、カラーって生活に取り入れやすいので、カラーセラピーを通して伝えていけるといいなと思っています。

私はカウンセリングや心理療法を学んだことで、昔の自分とはまったく違う自分になりました。過去の心の傷を癒し、自分の良さに気づき、自分の人生の選択、決断を自分の責任でできるようになったことで、とても生きることが楽になりました。自身の経験を生かして誰かのためにお役に立てれば嬉しいです。

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この記事を書いた人

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️

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