娘のひとこと「4人で過ごしたい」から始まった 離婚後も家族で週末を過ごすベストな関係
しばはし聡子
2021/05/04
イメージ/©torwai・123RF
離婚後も両親で子育てする共同養育を実践しているママのインタビュー。今回は離婚後にお子さんの希望から毎週家族で過ごす時間を送っているママにインタビューしました。
■まず、離婚にいたった経緯について教えてください。
簡単に説明するのは難しいのですが、簡潔に話します。結婚生活中、価値観の違いからくる喧嘩が続いていました。頻度こそ多くはないものの、一度喧嘩をしてしまうと数日にわたり長引いてしまったり。そんな私たちの姿を見て、子どもにもよくない影響がでてしまうのではないかと懸念をしていました。最終的には、私が相手の価値観を受け入れることができず別居期間を設けたのち離婚に至りました。
■家を出られてから、お相手とはどのようにやり取りしていましたか。
別居してからは、弁護士を介してやり取りをし、直接の連絡は取っていません。離婚したい、という意思も弁護士経由で伝えてもらいました。やり取りは長期間に渡りましたが、こちらの思いを伝えていくなかで、相手も私の意思を受け入れてくれるようになりました。
■弁護士を介してのやり取りは大変だったのでは?
直接話ができない状況を選択した私ですが、手紙でのやり取りでお互いの意思を伝え合いました。もちろん、価値観が違う状態のため始めはぶつかりましたが、次第に私の意思を尊重してくれるように変わってくれたと思います。
■別れた相手にお子さんを会わせることについてはどう思われていましたか。
もともと子どもを会わせたくない、とは思っていませんでした。離婚を考えている段階からパパを奪うつもりはなくて、別居をしている方のSNSの声などを参考に、夫が今どんな気持ちかということも想像していました。
また、子どもはパパが好きなので、別居した直後は子どもも不安定でした。特に上の子は突然泣き出したり。そりゃそうですよね、突然状況が変わったのですから。子どもの心のケアをどうしていこうと迷ったことがあり、いろいろな人に相談しました。そんなときに出合ったある記事の一文。その記事とは、離婚後の子育てや、離婚後の子どもの心のケアについて書かれていました。
その記事には“離婚した段階で子どもはすでに傷ついている”というようなことが書かれており、そこに子どもと夫婦の問題は別で考えるべき、とありました。まさにそうだなと感じていたことでした。私がつらい、という話と娘と元夫の親子関係は別の話であり、ときにはお互いが譲歩していかないといけないのかな、と気付きました。
■いまはどのようなペースでお子さんとお相手は会われていますか。
離婚した当時はパパのところに子どもが行く、というスタイルだったのですが、上の娘が「4人で過ごしたい」、と言ったことがあったんです。そこからは、紆余曲折あったものの現在は週に1回程度、4人で公園や自然のなかなどで過ごすようにしています。
■4人で過ごしたいという娘さんの気持ち、複雑だったのでは?
はい。そのことでも何度も元夫とは話し合いもしましたが、結論としては、お互いに子どもの気持ちが一番だよね、となれたんですよね。
自分たちの感情は別で消化しないといけない。相手もだんだん気持ちを切り替えていったと思います。今後も子どもが、幸せ!と思えるような関わり方をしていきたいと思っています。
パパと子どもたちだけで3人で会う日も月に1回程度ありますね。元夫側のおじいちゃんおばあちゃんも子どもたちには会いたい、と言ってくれるので、そういうときはお泊りもします。
■いま実際に共同養育をしているなかで困っていることはありますか。
いまのカタチはいまのベストなのかな、と思っています。子どものことを考えるといまはこのカタチがいいな、と。私としては一人の時間もほしいな~と思った時期もありましたが、4人で過ごしているときの子どもたちの笑顔に変えられるものはないですね。今後は子どもたちの成長にあわせてかたちを変えるときもあるのかなと思っています。
■同居中と比べてお子さんの様子はいかがですか。
娘には離婚に至った経緯をしっかりと話しています。パパとママは一緒にいると喧嘩をしてしまう。だから、ママが離れることを選んだんだって。その年齢で分かる言葉で話して、本人も理解して受け入れようとしてくれているようです。でもやはりまだ幼いので、パパのところに行ったらママに会いたい、ママといるときはパパに会いたいってなるんですよね。
もともとお友達とが多い娘ですが、最近またお友達付き合いが以前にも増して楽しくなってきたようで、とても充実しているようにみえます。離婚した当時は泣くこともありましたが、一緒の時間を過ごしていることでそういう不安定さが徐々に精神的な安定に変わってきているように思います。
■お相手が子どもへどんなことをしてくれたら嬉しいですか。
離れたいま、一番は子どもと遊んでくれること。これが一番の望みですね。元夫は、同居中は生活時間が真逆で夜中の仕事をしていたので、仕事から帰ってきたら朝。子どもとは基本的にすれ違いの生活だったんです。遊ぶ時間も少なく、公園に連れて行くなどはほとんどが私の役目でしたので、休日は子どもとたくさんかかわってくれたら嬉しいです。とくに私一人ではなかなかできない肩車とか、ダイナミックな遊びをしてほしいです。
■いま、お相手とかかわるうえで気を付けていることありますか。
嘘はつかない、ということは心がけています。隠し事はしないとか。子どもに関することはすべて報告したり、いまは相談したりもしています。
離婚はしているけど人間関係としてはパートナーとしての相談ですね。聞き上手な部分もあり、そこはいいアドバイスをくれます。ゆえにいまはいい父母関係であるといえます。プライベートの入り具合の加減は難しいですけどね。
もともと喧嘩するとき以外は仲良かったんです。だから別れてからお互いに腹を割って話してみよう、となったとき、別居してからのことを話したら、そこで相手もきちんと聞いてくれて、受け入れてくれました。
■最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
私も別居当時は不安な部分がたくさんありました。しかし、幾度の話し合いを経て、いまは子どもの笑顔を守れる関係になれました。お互いの信念として子どもを優先してきたことで、いまがあります。
型にとらわれず、自分たちのペースで、自分たちが受け入れられるかたちを見つけてほしいなと思います。
離婚後は夫婦ではなく親同士。私たちの場合は、離婚理由になったことをしない、持ち出さない、ということが、穏やかにやり取りできるポイントでした。やはり価値観を完全一致させるのは、離婚している以上難しかったです。でも相手の気持ちを受け入れる努力をするのは大切だと思いました。
この一年は子どもの心のケアが課題でした。私は家のなかで子どもと交換日記や手紙のやり取りをしているんです。大好きだよ、とか、世界で一番愛しているよ、と、分かりやすく愛の言葉を並べています。
パパからも子どもたちに会うときに手紙を書いてもらっています。これは娘のリクエストです。パパは手紙が苦手ですが、娘のリクエストということで苦手なりにとても頑張って書いていますね。
これからも、子どもにとってベストなかたちを模索しながら、日々を大切に暮らしていきたいです。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️