【インタビュー】元夫と親同士の関係をつくれたら楽になれて娘も私もハッピーに!
しばはし聡子
2019/01/08
イメージ/123RF
みなさん、離婚後の子育てはどのようにしていますか。ワンオペ育児の方、両親の協力を得ている方などさまざまかもしれません。
そんななか、離婚しても元夫と親同士としての関係を再構築し、離婚後両親で子育てをする「共同養育」を実践している二児のママに直撃インタビュー。
現在、中学生と小学生の娘さんを共同養育するに至るまでの経緯や思いなどを語ってくださいました。
■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。
離婚して7年。娘と私は東京、元夫は大阪に住んでいるので、長期休暇や出張の際に不定期に娘とパパは会っています。年10回程度でしょうか。
子どもも私も別居前は大阪に住んでいたので、子どもにとって大阪には多くの思い出がありますし幼馴染がもいます。先日、大阪での面会交流では、パパの家に娘の友達を呼んでお泊まり会を開催してくれたんですよ。娘もとても喜んでいました。
普段は、私から写真を送ったり、娘たちはパパと直接電話やメールでやりとりをしています。去年は学校行事も初参加しました。
遠距離なので、スケジュールや旅費に無理が生じないように都度お互いの状況を共有しあっていますし、娘の様子は情報提供しながら風通しの良いカタチで共同養育を行えているのかなと思っています。
こうやって話すと、何の困難もなさそうに聞こえるかもしれませんが、今でこそ元夫と円滑にやりとりができていますが、実は前向きになれたのはここ1〜2年なんですよ。
■共同養育に前向きになれた経緯をお聞かせください。
取り決めでは面会交流は月1回程度でしたが、私自身面会交流へは極めて後ろ向きでした。最初ネガティブだったのは「別れたんだからお互い違う人生を歩もうよ。娘に執着しないでほしい」という気持ちが強かったんです。娘がパパと会った後に私に対して気を使っているのを見るのも辛かったですね。
当時の陳述書を見返すと、一生会わせないようなことを書いているほどでした。
前向きになれたきっかけは、ひとえに元夫の娘へ対する努力の積み重ねです。毎回、面会交流のたびにスペシャルなデートプランを一生懸命考えてきていたんです。
水族館、遊園地など私が連れていってあげていないところへ行くことをありがたく思えるようになってきて、だんだん前向きになってきましたね。
気がつけば、「今度パパはどこに連れてってくれるんだろうね」と娘に声をかけられるように言えるになっていました。
あとは、自分の時間が持てるようになったことも大きいです。
当初は子どものことなどが気になって、いつでも駆けつけられるよう待機していたのですが、「任せても大丈夫」と思えるようになったら、フリーの時間を楽しめるようになったんです。一昨年の年末年始はママ友と一緒に過ごしたのですが、「あっ、これアリかも」と思えた瞬間でしたね。
■共同養育するにあたり困っていること、困っていたことはありますか。
子どもが小さい頃は、面会交流の引き渡しで顔を合わせていたのですが、注意事項など引き継ぎをする時に、パパが顔がひどくひきつっているんですよね。
その表情を娘が嫌がり「ママついてこないで」と言っていたことは困ったことでした。今では、子どもだけでパパと待ち合わせができるのでこの問題は解決しました。
また、プレゼントもよくもめましたね。高額のゲームを買ってきてしまうので、「ゲームは買わないで」と言えば、「ゲームも買ってあげないでかわいそう」と押し問答でした。
今は、しないでほしいお願いをする時には、相手の気持ちを配慮しながら理由もきちんと伝えるのでトラブルはなくなりました。
親同士の困ったことはなくなったのですが、現在はパパ側の親戚問題ですね。
パパ側の親戚の家に行くと私の悪口が話題になるようで、「聞きたくないから行きたいくない」と娘が自ら言い出しました。この件も元夫に伝え、解決に向けて親同士で話し合っています。
■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。
私が密かに望んでいるのは、家族4人でご飯を食べること。ただ、娘が気を使うからと嫌がるでしょうね。元夫も私とは敢えて一緒に過ごしたいとは思っていないでしょうから受け入れてくれるかは微妙ですが、娘の様子を伝えたり和気あいあいと食事をできたらいいなと思っています。
娘が必要なものも買ってくれてありがたいですね。おもちゃだけではなく洋服や勉強道具も用意してくれるので助かりますね。
あとは、娘に対して「ママの言うこと聞くんだよ」「ママを助けてあげてね」といった言葉をかけてくれたらありがたいです。たまにはこちらの大変さをねぎらってほしいなんて思いますけど、元気でいてくれればそれだけで十分です。
■共同養育はどんなメリットがありますか。
子どもはもちろんご自身にとっても良いことがあれば教えてください。
娘がパパの話をするようになったのは本当によかったですね。以前は私の顔色を伺っていたんだと思うんです。今では、パパの好きなところ嫌いなところ両方とも私に話してくれます。
娘には「離れていても思いやる」ということを感じられる人になってほしいので、共同養育することによって、パパどうしてるかな?と思いを寄せながら育つこともよいことですね。会えない時の交流は、メールより電話の方が通じ合っているように見えます。「パパ聞いて聞いて」とよくしゃべっていますし、パパもよく話している様子です。
離婚当初は、私が支払ってる携帯代金で電話させたくからブロックしていたのが嘘のようです。
そして、私自身にとってのメリットは、別居当時から娘たちを独り占めしている罪悪感はずっとあったので、共同養育することで罪悪感から抜け出せたことで楽になりました。
また、育児で大変なことを元夫に相談がしやすくなって気持ちの負担が減りましたね。今までは良い母親でいなくてはというプレッシャーで弱音を吐けなかったのですが、共同養育するようになったら自然と頼れるようになり肩の力が抜けたのもよかったです。
■お相手との関わりにおいてご自身が心がけていることはありますか。
私は3つのことを大事にしています。
①思いやり
相手の立場を考えること。譲れることは譲ること。
②夫婦の負の感情と親子は切り分ける
相手への嫌悪感や拒絶感があったとしてもきちんと親子関係と切り分けて対応すること。
③ひとりで抱え込まない
ひとりでなんでもできるとカッコつける自分をやめて、子どもにとってのベストを父親の意見を取り入れながら相談しながら育児をしていく。
この3つにたどり着くまでに5年近くかかりましたが、親同士関わっていくために大事なことだと確信しています。
■ご自身のこれからの夢やビジョンがあれば教えてください。
昨年、りむすびの講演会で自身の経験を話す機会がありました。以前だったらネガティブな気持ちが整理できずに泣いていたと思うけど、気持ちを整理して話せて乗り越えたんだと実感しました。本来、人前で話すのが苦手なのですが落ち着いて気持ちに正直に話せましたね。
私自身は離婚してしまったけど、離婚には反対派。とはいえ、離婚をしたからといって、子どものために諦める人生ではなく、子どもとともに成長していきたいです。
現在、大学院で経営学を学んでいます。まだまだ知らないことを学び、いろんな方々と出会って刺激を受けていきたいですね。
今後の再婚やパートナー選びについては、父親や夫としての立場ではなく、娘が自立した時に10年後に一緒にいたいと思える人、そして娘にとっても大人のモデルとして尊敬できる人と出会えたら素敵ですね。
まだまだ人生これから。何歳からでも挑戦して成長していく自分でありたいです。
この記事を書いた人
一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント
1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。 *りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/ *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community *著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」️