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「ねばならない!」思考が地域をダメにする

週末田舎暮らしで学んだ、自分から納得して行動したくなるものの言い方・伝え方(1/5ページ)

馬場未織馬場未織

2017/04/20

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「ねばならない!」が湧き上がってきてしまう


実はわたしには、過去にこんな反省があります。

二地域居住を始めて4年ほど経ち、地域の課題がじわじわ見えてきたあたりで、何かこの土地に貢献できないかとNPO法人を始めました。その原動力になったのは、地域へ感謝する気持ちです。

自分は日々、ぞっとするほど生えてくる雑草を刈りまくる週末を送っていましたし、自分がそうして体を動かすことによって「ああ、この土地の美しさは、住んでいる人たちが骨惜しみせず田畑や野山に手を入れてきたから保たれているんだな」と、地域への感謝の気持ちがわきあがってきました。

と、ここまではいいとして。

そのあとどうなったかというと、「この美しい里山を、わたしたちが守らねばならない!」という、ちょっとこわばった気持ちになっていったのです。誰にも頼まれていないのに、里山責任者みたいな気分になってしまって。

で、その大事なものを守るためには、みんなで草刈りをしなければならない! 楽しむだけじゃだめだめ、維持管理を手がけてこそ未来があるのだ! 未来に残す責任はわたしたちにあるのだーーーー!!と、強く思うようになりました。

もちろんその背景には、こどもたちと共に里山環境の自然を存分に楽しみ尽くしていった数年間の濃い経験があります。だからこそ芽生えた愛着と責任感なのですが、バーンと前に出てしまうのは、「維持管理しなければならない!」の気持ちばかり。

次ページ ▶︎ | 「ねばらならい」思考は言葉にしなくても伝わってしまう 

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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