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週末は田舎暮らし! を始めよう(4)

週末田舎暮らしの重労働! 大変だけど「草刈り」を人任せにできない本当の理由

馬場未織

2016/01/29

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田舎暮らしの必需品「刈払機」はけっこう危ない

田舎暮らしで手に入れたい環境とは、何でしょう。

多くの方は、都市ではなかなか実現しにくい、アウトドアを使った生活ができる環境ではないでしょうか。
「畑で野菜がつくってみたい」「みんなで田んぼをつくりたい」「窯もほしい」「釣って食べる暮らしがいい」、また昨今では、「狩猟の資格をとり、ジビエ料理をイチからつくりたい」などという話も聞きます。田舎暮らしの場合は“家=土地+建物”の“土地”部分、つまり屋外をどう使うか、ということが夢の主軸になっている場合が多いかもしれません。

さて、そうなってくると必要なのは、屋外空間の管理です。畑づくりなどを手がける広さがあって、しかも一戸建てのエクステリアのようにレンガやコンクリで固めたりしないでしょうから土の面積が圧倒的に多く、当然その場所には草が生えてきます。けっこう生えます。

南房総のわが家の場合でいうと、4月から10月くらいまでは毎週草刈りをしている状態です。誤解を恐れずにいえば、「草刈り」こそ、田舎暮らしの最大の仕事のひとつといえると思います。

草刈りといえば、ブーメラン型の刃のついた草刈り鎌を想像するかもしれません。でも、ある程度の広さを刈ろうと思ったら、それだけを使っていては間に合いません。体育館をひとりで雑巾がけするようなものです。

そこで登場するのが、刈払機。長いシャフトの先についた円盤のような刃が高速で回転しており、それを肩に背負って草や竹を刈るのです。農家さんなら、そう、炊飯器や冷蔵庫と同じくらい確実に、一家に1〜2台はあります。

刈払機って、都市生活ではまず使わないものですよね。広い公園や河川敷などで使われているのを見ることはありますが、自分がやるものだとは思えない。なぜなら、けっこう難易度の高い農機具に見えるからです。ちょっと心配性な人なら、自分の家族が刈払機を使おうとしたら止めるかもしれません。「そんな、操作を間違ったら足が切れて飛んじゃうみたいな危ない農機具、使わないほうがいい!」と。「業者に任せたほうがいいわよ!」とか。

任せるか、自分でやるか

少し悩みますね。都市的感覚だったらやらないようなことだし、もしケガをしたら後悔するだろうな、と考えるかもしれません。これはお金がかかっても、業者にお願いしてやってもらったほうがいいかなあ、と。

でもあたりを見れば、みーんな自分で草刈りしています。70代、80代の人も、きっと刈払機が重たかろうと思うのですが、淡々と担いで淡々と刈っています。ただ、よく見ると女性より男性のほうが草刈りをしているようで、農家さんでも「奥さんにはあまりやらせたくない」という人もいます。

危険を伴う作業だというのは見せかけではなく、本当にそうだから。実際、岩に刃が当たった勢いで自分に刃が跳ね返ってきて、足をざっくり切ってしまった、という話はたまに聞きます。

わたしは、それでも、草刈りは毎週自分でしています。週末だけしか草刈りができませんので、女でも何でも、やらなければ立ち行かないからです。もちろん、長袖長ズボンに軍手は必須で、目に石の破片などが飛んでくるかもしれないから、できればゴーグルもしたほうがいい。

慣れていない人ほど、サンダルやTシャツなどの軽装で作業をしようとします。地元の人たちを見ると、長袖長ズボンのつなぎを着ていたり、皮の手袋をしていたりと、いでたちに隙がありません。日々の作業ですから、ケガをするリスクを常に考えて万全の恰好でいるのは当然、ということです。

刈払機だけでなく、木の枝を切り落とす必要が出てきたらチェーンソーも使います。これはもっと危ない。見よう見まねというレベルでは不安なので、わたしは使い始める前に地元の方に指導をしてもらいました。自分でやらないで誰かにお願いすることもできますが、それも毎度のことになると心の負担になってきます。

自分でやれることを増やす

こんな経験を繰り返していると、都市生活を長くしていたことによって、自分が外注体質になっていたことに気づきます。できないことは、何でも外注。それがクセになると、楽なようでいて、けっこう不自由です。自分では何もできないのですから、何かハプニングが起きるたびに不安になりますし、解決までに時間がかかります。

もしわたしが、草刈りを誰かに任せっきりにしていたら、きっといまほどこの田舎暮らしを楽しめていなかったかもしれません。季節季節によって自分の敷地がどんな変化が生じるか、管理しているからこそ実感できることがたくさんあります。

また、刈った草は乾燥させて燃やしますが、それはそれで危険があります。大きな火の出る作業ですから。お母さんが子どもに「危ないからやっちゃダメ!」というたぐいのことを、いろいろやらなければならない田舎暮らし。でも、手掛けることで、どうすれば危険で、どうすれば安全にやれるのかを身をもって体得します。

やらずに安全を確保するか。やることで安全なことを知るか。どちらが田舎暮らしの醍醐味かは、推して知るべしでしょう。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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