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注目を集める「ローカルベンチャー」という働き方

移住するならローカルベンチャーに挑戦!?

馬場未織

2016/01/05

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ネットのインフラが地方を「ブルーオーシャン」に

「ローカルベンチャー」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか? 某雑誌はローカルベンチャーについて、「地域にあるものを上手に発見して、新たな価値観を持ったビジネスをつくること」と定義しています。従来、IT産業のイメージが強かった「ベンチャー」の新しいカタチとして、いま、地方に新しい風を送り込むビジネスが各地に生まれているのです。移住・デュアルライフを望んでいる人なら見逃せない動向です。

 ローカルベンチャーはIT産業ばかりの話ではないものの、そもそも「地方でビジネスをつくる」という発想を下支えしているのは、なんともいってもネットインフラの充実です。「ネットさえつながっていれば、会社に行かなくても仕事ができる」と、いまでは多くのビジネスパーソンが街なかのカフェで仕事をする姿が珍しくありません。どうせ会社にいなくていいなら、ゴミゴミした街なかではなく、もっと環境のいい場所で伸び伸びと仕事をしたい―そう思う人たちが、どんどん地方に流れているのです。

 地方にいながら、ネットを介して都会の勤務先やクライアントの仕事をする一方、地域で過ごす時間が長くなれば、都会で鍛えてきたスキルや培ったネットワークを地域に活かせないかと考えるのも自然な話です。

 たとえば、ウェブデザイナーという職業は都市部で珍しくありませんが、過疎化が進むような地域でセンスのいいウェブサイトをつくれる人材は多くないでしょう。都会にはおしゃれなカフェがあふれていて競争も激しいですが、そうしたお店が少ない場所で開業すれば、地域でひときわ目立つ存在になれるかもしれません。

 ネットのインフラ整備が進み、「都市」と「地方」の距離が格段に縮まったことで、地方のいわば「ブルーオーシャン」に光があたるようになっているともいえます。

「半X半IT」で理想のワークライフバランスを実現

 こうした流れを戦略的に地域活性化に生かしているのが徳島県です。徳島は県下全域に光ファイバー網を張り巡らし、CATV網の世帯普及率は全国で1位(2015年4月現在)というITインフラ王国。この充実した情報インフラを活用し、コールセンター、データセンター、事務処理センター、デジタルコンテンツ事業などの情報通信関連産業の集積を進めてきました。ほんの10年ちょっと前まで、この分野で県内にオフィスを構える企業は皆無でしたが、現在は12社17事業所が進出し、1000名を超える雇用が創出されているとのこと。

 特に県の南東部に位置する美波町は人口約7500人の小さな漁師町にもかかわらず、いまではIT産業のメッカとなっています。きっかけは、情報セキュリティサービスを主な事業とするサイファー・テック社が2012年に開設したサテライトオフィス「美波Lab」。

 美波Labのオフィス敷地内には畑が、目と鼻の先には水田があり、スタッフは休日や出勤前、休憩時間に農業を楽しむことができます。海に面した立地を活かし、サーフィンやダイビング、釣りなど、マリンアクティビティ好きにも実に魅力的な立地です。

 美波Labでは、「半農半X」ならぬ「半X半IT」を志す人材を求めているといい、ITで仕事をしながらサーフィンを極める「半波半IT」、ITで仕事をしながら釣りに没頭する「半釣半IT」など、ワークライフバランスを重視した人材採用を行なっているそう。まさに理想的なローカルベンチャーのあり方だといえそうです。

ベンチャースクールで鍛えて、いざ地方へ!

 こうした働き方に憧れる人、できれば自分で事業を起こしてみたいと思う人におすすめなのが、その名もズバリ「ローカルベンチャースクール」。「まちづくりや地域活性化に貢献したい人にオススメのプログラム」の記事でも紹介した「地域おこし協力隊」への応募を検討している人や現役の協力隊員、これから地方で暮らしたい、起業したい人を対象として、地域で活躍するキーパーソンから学びながら、起業アイデアを発想し、プロジェクトプランをつくるというもの。移住願望を抱きつつも、どこから手をつけていいか不安があるなら、こうしたプログラムに参加するのも一案です。

 とりあえずは単発のプログラムでとっかかりをつくりたいなら、岡山県の「西粟倉・森の学校」が開催している視察・研修もオススメ。「ローカルベンチャーの群れを育てる」をテーマに、月に1回のペースで行なわれているもので、県北東端に位置する西粟倉村が、いかに地域活性に取り組んでいるか、そこでどんな「ビジネス」が生まれているかを垣間見ることができます。西粟倉村は面積の95%を森林が占めていますのが、そのうち87%が人工林。間伐が遅れ、山の荒廃が懸念されていました。そこで、2008年に「百年の森林構想」を立ち上げ、森林づくりからの地域再生を村ぐるみで行っているのです。

 こうしたベンチャー精神を刺激する舞台が、全国各地で新しい人材を求めています。自然の豊かな地域で、ただのんびり暮らすだけでは物足りない!という野心的な方は、ぜひ挑戦してみてください。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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