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都会暮らしのメリット・デメリット(1/3ページ)

馬場未織馬場未織

2016/01/04

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ビジネス環境は都市部に圧倒的な軍配

ひと口に「地方」といっても、クルマがないとアクセスが難しい農山村と、地元の町役場などが置かれた町では暮らしぶりがだいぶ違います。「都会度」と「田舎度」のブレンド具合で、さまざまなグラデーションがあるのです。自分の好みやライフスタイルに合うのはどの辺りかを見極めるためにも、改めて都会暮らしと田舎暮らしのメリット・デメリットを考えてみましょう。まずは都会暮らしからです。

地方出身で現在東京圏に住んでいる人の中には、就職を機に上京してきた人も多いでしょう。ビジネスの東京一極集中ぶりは実に顕著で、都道府県別の全事業数で見ると、全国平均が約10万社の中、東京には60万社以上が集中し、2番目に多い大阪の40万社を大きく引き離しています。上場企業に限るとその差はさらに大きく、東京が1,800社近くあるのに対して大阪は400社強と、4倍以上の開きがあります。企業数が多ければそれだけ従業員数も多いわけですから、「企業に雇用される」働き方を選ぶなら、東京圏に圧倒的な軍配が上がります。

雇用されず独立して働くフリーランサーなら、一見すると場所を選ばずに働けるように思えます。ところがフリーといえども、まったくひとりで工房にこもって作品づくりに没頭する芸術家や職人でない限り、クライアントがいなければ仕事になりません。クライントが多い地域のほうが仕事を得やすいのは事実です。打ち合わせはオンラインで済ませられるようになってきましたが、それでも一度や二度は直に顔を合わせる必要があるものです。

また、正式に仕事が生まれてないときに、「よかったらランチでもご一緒に」といったコミュニケーションの機会が多いのも都市部のメリットです。もちろんこれは勤め人にとっても同様で、異業種・他業種問わず、人と知り合うチャンスは都市部のほうが多いはず。ちょっとしたつながりから仕事が生まれることもよくあります。そうしたチャンスがゴロゴロしているのが都会のよさのひとつです。

意外と重要なのが、都市には仕事の「インフラ」が整っていることです。とくにフリーランサーには重要です。たとえば、クライアントに提案するプレゼン資料をきれいにつくりたい、といったときに便利なキンコーズのようなサービスが数多くありますし、近ごろはコンビニのコピー機も高性能になり、ビジネスユースにもピッタリです。「しまった!」と思っても、コンビニに駆け込んで助かった経験をしている人も多いのではないでしょうか。

ただ、現在では、都会ほど数は多くないですが、地方にもそこかしこにコンビニができています。そう考えると、「地方であってもコンビニがあるのでどうにかなる」とも言えますし、都市部と地方のインフラ格差は確実に縮まっているといえるでしょう。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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