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週末は田舎暮らし! を始めよう(18)

田舎暮らしを難航させる”農地”という落とし穴(1/3ページ)

馬場未織馬場未織

2016/06/10

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さまざまな地目を含む、田舎の土地事情

固定資産税・都市計画税のお知らせが届き、あたふたと納税する時期が過ぎました。

最もうれしくない郵便物のうちのひとつですね。

わたしも納税をすませましたが、南房総の家は固定資産税が本当に安いなあと、毎年感じます。8700坪という法外な広さで、ほんの数万円ですから。

というのも、「宅地」部分は250坪程度のみ。全体の3パーセントくらいです。あとは「田」、「畑」、「山林」、「原野」といった地目になります。そして非課税部分として「墳墓」、「公衆用道路」もあります。

墳墓、ね。これは、家屋の裏にある土地です。
 
昔は、家の近くにご先祖様がいる状態が当然だったわけです。もちろん、いま残っているのは地目のみですが、いつもこの字面をみるたびに、ひとところで生と死が同居していた頃の暮らしに思いを馳せます。

また、課税対象の地目は上記の通りだけれども、なんと全部で31筆(*)にも分かれているのも田舎の土地ならではかもしれません。その一つひとつを「ええと、どこの部分の土地だっけ?」と照合するのに一苦労。公図を引っ張り出してきて、地番と合わせて、ああここはこんな値段なのねと確認します。

あの、カエル沼のある田んぼの課税額は、812円か。とか。笑。
 
たった3パーセントの宅地部分にかかる税金が、税額の過半を占めているんだな。とか。

そう、「田」や「畑」といった農地部分は、宅地に比べれば課税額はとても安いのです。課税明細書をしげしげ見ていると、農地の税制優遇を実感できます。

(*)筆:登記簿上の土地の区画

次ページ ▶︎ | 「農地」を取得する道のりは長い

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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