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地方がつくる「移住」のプロモーション動画が面白い

馬場未織

2016/01/04

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地方の人口減少が進んでいる!

 移住するならどの地域がいいだろう? そんなことを考え始めたら、地方の実態にも関心が出てくるのではないでしょうか。日本全体で少子高齢化が進んでいるという話はあちこちで耳にすることと思います。ところが、人口減少のスピードに大きな地域格差があることはご存知でしょうか? 

 民間有識者でつくる「日本創成会議」は2014年5月、高齢化が進んだ地方の多くの地域は、全国平均より30〜50年早いペースで人口減少が進むというレポートを発表し、地方行政や地域づくりの関係者に大きな衝撃を与えました。

 全国の自治体の3割近くに当たる523の自治体では、2040年には人口が1万人を切るというのです。レポートではこうした地域を「消滅可能性都市」と呼び、人口流出の結果、地域の存続自体が危ういと指摘しました。

地方自治体のプロモーションにも注目

 こうした流れも受け、東京から他地域へという流れは国も後押ししています。国策としても地方への人口移動を促しているのです。

 首都圏への人口集中を緩和し、特に農村部の過疎化に歯止めをかけて地方の活力を取り戻そうと、2014年12月に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されています。同サイトからには、各地の仕事や住まい探しに便利な情報や、Uターン・Iターンに関するイベント情報が載っています。地方行政の関係者ばかりでなく、移住に興味のある一般の人ものぞいてみる価値があります。

 同サイトからもリンクされている情報サイト「全国移住ナビ」には、全国の自治体からの移住関連情報が豊富です。つい先ごろは、自治体のウェブサイトやプロモーション動画の全国コンテストを開催し、ランキング結果が発表されています。

 ちなみに、プロモーション動画部門の1位は周防大島町(すおうおおしまちょう)。山口県東南部に位置する瀬戸内海に浮かぶ島です。動画では都会と田舎での対比がわかりやすく描かれ、田舎暮らしの魅力や自然に触れ合うことへの関心を高めるものだと評価されました。

全国移住ナビ
https://www.iju-navi.soumu.go.jp/

老後の移住は「現代の姥捨て山」か?

 さらに最近では、首都圏に暮らす高齢者を地方に移住してもらおうという動きが出てきました。このアイデアは、通称「日本版CCRC構想」と呼ばれています。CCRCとは、「Continuing Care Retirement Community」の略で、継続的な介護のついた高齢者のコミュニティのこと。高齢者が健康なうちに入居し、終身で過ごせるよう配慮されている点がポイントです。

 東京圏をはじめとする高齢者に希望に応じて地方に移り住んでもらい、地域社会で健康でアクティブな生活を楽しんでもらう。やがて医療介護が必要になったときには、必要なケアを継続的に受けることができるような地域づくりを目指すのが日本版CCRC構想です。米国では以前からCCRCが盛んで、現在およそ2000カ所のコミュニティに80万人の高齢者が人生を楽しみながら、医療・介護の心配のない環境で暮らしているそうです。

 国が急にCCRCの導入に興味を示し始めたのは、首都圏の介護施設が不足すると予測されるためです。先の日本創成会議の推計では、2025年には13万人分の介護施設が不足するとのこと。施設や人材の面で、医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を、高齢者の移住先の候補としてあげています。

 高齢者であっても、医療や介護施設が充実した地方であれば移住は可能ですが、実際には地方に介護施設を建設したとしてもそこで働く人材を確保するメドが立っていないという強い批判があるのも事実です。

 この「日本版CCRC構想」については、「現代の姥捨て山だ!」という批判の声もあります。実際、「歳を取って、住み慣れた場所から離れるのは嫌だ」という人も多く、そうした人たちに寄り添う意識がまったく見えないということで、この構想には多くの批判の声が出ているのです。

 国の都合で高齢者の移住を進めるのではなく、「老後に田舎で暮らすこと」を選択肢のひとつとして、能動的に選び取れるような制度や環境づくりを進めることが、新しい「老後の田舎暮らし」の在り方につながるのではないでしょうか。

 老後といっても、たとえば90歳まで生きるとしたら、人生の約3分の1にあたります。この長い期間を、どうすれば豊かな気持ちで暮らせるか。改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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