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スローライフを求めて地方に向かう人々

「定年後は田舎暮らし」とは違う新しい移住ブーム

馬場未織

2016/01/04

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4割の若者が移住を希望

 東京在住者に対して行なわれた調査によると、都内から移住する予定があったり、移住を検討したいと思ったりしている人が、全体の約4割にも上ります。性別や年齢層別に見ると、男女とも10〜20代の割合が高く、男性に限れば50代でも移住に大きな関心を寄せています。

 移住を検討しているきっかけや移住したい理由は年代・性別によってさまざまです。

 10〜30代女性は、結婚や子育てがきっかけになったり、出身地に家族や知人がいるから、という理由で地元へのUターンを考える人が多いようです。60代では男女ともに退職などをきっかけとして二地域居住を考える人の割合が多いようです。30代の男性は、転職や退職などをきっかけに「スローライフ」を夢見て地方移住を考える人が多いという結果です。

 従来、都市から地方への移住という流れには、「定年後は田舎暮らし」というイメージが強かったのではないでしょうか。中高年が都市での暮らしに完全に区切りをつけて、「第二の人生」を求めて田舎に引っ込む形です。ところがいまは、中高年だけなく若い世代も移住に関心を持っており、新しい移住ブームが生まれています。

 移住スタイルについてもバリエーションが増えてきました。都市と地方の2カ所(もしくは3カ所以上)に住まいや仕事の拠点を構える二地域居住/多地域居住(マルチハビテーション)というスタイルも珍しくありません。国内線LCCが増えるなどして、移動コストを安く抑えやすくなっていることも背景にありそうです。

東京は確かに魅力的だけれど…

 現在、日本全体の人口1億2700万人のうち、東京都だけでも約1300万人と全人口の1割以上が集中しています。東京都市圏の1都3県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)で見れば、約3600万人と実に3割近くに上ります。世界的に見ても珍しいほど、日本は首都周辺に人口が集中している国なのです。

 もちろん、人々が東京に集中するには理由があります。多くの企業が本社を構え、大きなビジネスチャンスをつかみたいなら東京で働くのが合理的でしょう。

 さまざまな文化施設のある東京は、アート、美術、芸術の面でも、刺激的な文化の発信地です。世界が注目する日本の食文化にしても、ミシュランガイドの星つきレストラン数を見ると、パリやニューヨークをはるかにしのぎ、圧倒的に東京に軍配があがります。グルメ派にとっても魅力的な街であることに間違いはありません。

「移住なんて無理!」としり込みする前に

 ところがいま、「自分にとって本当に東京がいちばん住みやすいのか?」「ほかの地域に目を向けてこなかっただけなのでは?」と感じる人が増えてきました。

 刺激の多い街だからこそ、長く住み続けるにはストレスも多いもの。ビジネスの中心であるがゆえの通勤ラッシュはいうまでもありません。家庭を築こうと思ったら、保育所の待機児童問題ひとつとってみても、子育ての環境にベストな地域とは到底いえません。もっと環境のいいところで子育てしたいと思う人が多いのも当たり前です。

 シングル層であれば、誰に気兼ねすることなく自分の意志だけで住む場所を選べます。ネックになるのは仕事だけでしょう。その仕事さえ、近ごろは在宅勤務を認める企業が少しずつ増えていることもあり、たとえ会社員だとしても、ごみごみした都会に縛られず、週の半分は空気のおいしい田舎で過ごす、といったワークスタイルも現実的になってきました。ましてフリーランスであれば、インターネット環境さえ整っていれば、家賃の高い都市部に住み続ける必然性はどんどん薄れてきています。

「移住に憧れるけど、やっぱりむずかしいだろうな」としり込みする前に、いちばんのネックは何か、それを解決する方法はないのか、いま一度考えてみてはどうでしょうか。意外といい方法が見つかるかもしれません。そのヒントとなる情報を、これからドシドシお届けしますので、ご期待ください。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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