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週末は田舎暮らし! を始めよう(8)

人も自然も美しくあれ! サトヤマビクスのすすめ(1/2ページ)

馬場未織馬場未織

2016/03/04

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紫外線が敵なら、田舎暮らしも敵?

青い空に、まっすぐな日差し。
緑の匂いを嗅ぎながら思わず太陽を仰ぎ見たくなるような日。

そんなよく晴れた週末には、ああ、南房総の暮らしがあって本当によかったと、心の底から思います。平日はパソコンの前にいるか室内で打ち合わせか、というインドア生活を送っているわたしは、週末くらいしか外で過ごす時間を持つことができませんから。

春から夏にかけての気候は最高です。耳をすませば命の息吹く音が聞こえてきそうな里山に身を置くと、自分も木々と同様、光合成したくなってきます。おひさまを浴びると、心身が元気になるんでしょうね。

と、そのとき。

どこからか天の声が聞こえてきます。
(紫外線!紫外線!日光にあたると肌劣化!)

おっとやばいやばい。これ以上劣化したらえらいことだ。

帽子、長袖長ズボンに軍手、首に手ぬぐい!

まあいってみれば普通の野良仕事の恰好です。体を保護していないと危ないですし、熱中症になります。ついでに、紫外線防止にもなりますよね。

でもいってみれば、田舎暮らしは一般的には美肌づくりとは真逆の暮らし方です。とにかく外にいる時間が長いわけですから、いくら頑張って保護していても隙はできる。わたしの場合、5月あたりはなるべく頑張って紫外線防止に努めているのですが、夏も半ばになると海に行ったりそこらをうろうろしているだけで真っ黒になり、もうどうでもいいやと面倒になり、朝ちょっと日焼け止めを塗ったらあとは知らんぷり、となります。

女子にとって「紫外線は敵」。

となると、そもそも、田舎暮らし自体が敵なんじゃないかと思えてきます。

どうなんでしょう、田舎暮らしで女は劣化するんでしょうか?

田舎暮らしがもたらす美しさとは

美肌を守る、という観点でいえば、どう考えてもNGな暮らし方だと思います。そりゃそうですよね。たまに東京で、たいへん肌の美しい女性と会うと、ああこの美しさはこの暮らしじゃどう考えても手に入らないな……なんて思ったりします。

ところが、そんなことないんです!
と、伝家の宝刀が出せればいいのですが、すみません。ありません。

一方で、女の魅力って何なんだろうなと考えると、まあ美肌も大事ですが、それだけではないんじゃないかと思ったりもします。女というより、人間の魅力ですね。

南房総の家のご近所さんに、「チョロちゃんのおばあちゃん」という方がいます。チョロちゃんという猫と一緒にいつも畑仕事をしているから、わが家ではそう呼んでいます。

彼女は70代後半ですが、とてもお元気です。重たい稲藁もよっこらせと担ぎますし、長い時間の野良仕事もすいすいとこなしています。「たくさんできちゃったから」とよく農作物をいただき、「お口に合うかわかんないけど、食べてね」とニコッとされると、そのチャーミングな笑顔にやられてしまいます。

かわいい…。

もちろん、シワが少ないとか、シミがないとか、見てくれがツルリと若々しいというわけではありません。70代後半という、歳なりの風情です。でもわたしには、肌のテクスチャなどあまり見えてきません。それよりも、彼女が内側から発している、優しくて温かくて健康的な雰囲気が先に飛び込んできて、こういう風に歳がとりたいなあと心から思えます。

農家の若い奥さんたちと会っても、同様の感想を持ちます。

そしてなぜか、「きれいだな」と思わせる風情の人が多いです。

わたしが知らないだけで厳重な紫外線対策をしているのかもしれませんが(笑)、肌のテクスチャの印象よりも「きっと素敵な人生を送っているんだな」という印象を強く感じます。苦労もあるでしょうし、体力的にも厳しい生活をしているのかもしれませんが、全体として心身のつじつまの合った暮らしをしている人はそういう雰囲気を発するものですね。特に、歳を重ねていくにしたがって、美しさとは外見の問題だけではなく、その人間の生き様そのものを表すものとなっていきます。

20代の頃のわたしは、「おばさんになってからキレイかどうかなんてどうでもいい」と思っていました。ところが、そんな人間もちゃんと、40代のおばさんになるんですね(笑)。その歳で目指す美しさがあることを、身をもって知ります。さらに、田舎暮らしをしていると、”人間として”美しくありたいと、強く思うようになります。

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この記事を書いた人

NPO法人南房総リパブリック理事長

1973年、東京都生まれ。1996年、日本女子大学卒業、1998年、同大学大学院修了後、千葉学建築計画事務所勤務を経て建築ライターへ。2014年、株式会社ウィードシード設立。 プライベートでは2007年より家族5人とネコ2匹、その他その時に飼う生きものを連れて「平日は東京で暮らし、週末は千葉県南房総市の里山で暮らす」という二地域居住を実践。東京と南房総を通算約250往復以上する暮らしのなかで、里山での子育てや里山環境の保全・活用、都市農村交流などを考えるようになり、2011年に農家や建築家、教育関係者、造園家、ウェブデザイナー、市役所公務員らと共に任意団体「南房総リパブリック」を設立し、2012年に法人化。現在はNPO法人南房総リパブリック理事長を務める。 メンバーと共に、親と子が一緒になって里山で自然体験学習をする「里山学校」、里山環境でヒト・コト・モノをつなげる拠点「三芳つくるハウス」の運営、南房総市の空き家調査などを手掛ける。 著書に『週末は田舎暮らし ~ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記~』(ダイヤモンド社)、『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』(共著・学芸出版社)など。

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