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いまや日本の生活ノルマ? 猛暑の前に「エアコンの試運転」を! エアコンが火災を起こすことも

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イメージ/©︎torwai・123RF

エアコンの試運転をしておこう

今年の春、初めて賃貸一人暮らしをスタートさせたという人もいるだろう。そんな人たちには特にしっかりと伝えておきたいアドバイスだ。

「エアコンの試運転をしておこう」

時期は早いうちがいい。5月中~下旬くらいになると訪れる、真夏並みに気温の上がるような日が最もおススメだ。エアコンを冷房運転させて、部屋を十分に冷やしてくれるか確かめよう。目前に迫る夏への大事な備えだ。

これは決して脅しではない。なぜなら、猛暑の時期はエアコンの故障や不調に伴う修理・交換の依頼が殺到しやすいのだ。これに巻き込まれると大変なことになる。1週間……、時には2週間以上も作業を待たされるなどよくあることだ。

事前に試運転をせず、本格的な暑さを迎えるなか、シーズン初めてエアコンを動かしてみたものの故障が発覚。待てど暮らせど修理・交換作業は始まらず、部屋は連日サウナ状態。あまりの暑さに耐えかね……

「ホテルに泊まってしのいだ」「実家や親戚の家に逃げ込んだ」

時折、聞かれる話だ。

初めての賃貸一人暮らしでは特に注意!

とりわけ、冒頭でも触れた「この春初めて賃貸一人暮らしをスタートさせた」人など、注意してほしい。部屋に備え付けのエアコンは、過去にどんな使い方がされたのか皆目不明な中古品であるケースがほとんどなのだ。

「新築されたアパート・マンションでまだ誰も住んでいない」「今回の入居者募集に合わせて新品のエアコンが設置された」といった場合以外は、当然そうなるわけだ。

逆に、エアコンが新品の場合でも、実は安心は禁物だ。設置後一度も運転されていないとなると、初期不良や工事ミスが発見されずに隠れている可能性もある。

「雑な取付け作業が原因で、排水用のドレンホースから水がスムーズに流れ出ず、外に漏れて部屋を濡らしてしまった」などの例も、時折耳に入るところだ。

とどのつまり、エアコンを使う人はシーズン前に必ず試運転すべしだ。これがすなわち正解となる。

各メーカーが試運転をレクチャー

エアコンの試運転が重要なことに鑑み、各メーカーもウェブサイトでその方法をレクチャーしている。自身の使っているエアコンのメーカーだけでなく、他社のガイダンスもいくつか見比べておくと、よい参考になるだろう。

代表的なメーカーのひとつ、ダイキン工業のものを一部抜粋・要約してみよう。以下のとおりだ。(ダイキン工業株式会社 2022年4月26日付ニュースリリース

1.
エアコンの運転モードを「冷房」にし、
温度を最低温度(16~18℃)に設定、運転を開始する
(機種によって最低温度は異なる)

2.
10分程度運転したところで、冷風がきちんと出ているか、
異常を示すランプが点滅していないかを確認する

3.
さらに30分程度運転し、室内機から水漏れがないか確認する

4.
異臭や異音がしないかも確認する 
——ウェブサイトにはさらに細かな注意点なども記されている。上記リンク先をぜひのぞいてみてほしい。

エアコンが火事を起こすこともある

もうひとつ、エアコンに関する注意を呼びかけておこう。あまりイメージが湧かないが、実は、エアコンは火災原因となることがある。

NITE(ナイト)・独立行政法人 製品評価技術基盤機構によると、「2016年度から2020年度の5年間にNITEに通知された製品事故情報において、エアコンの事故は268件(内火災事故247件)。そのうち5件が死亡事故」となっている。(NITE 2021年6月24日付ニュースリリース

すると、どんなケースでエアコンによる火災事故は発生するのだろう。もともと製品に不具合等があった場合を除いた、使用する人がぜひ知っておくべき例をいくつか挙げていこう。

1.内部洗浄

エアコンが火災を起こす原因のひとつとなるのが「内部洗浄」だ。十分な知識を持たない素人などがこれを行うことで、かかってはいけない部分に洗浄液がかかってしまい、それがトラッキング現象を引き起こすことで火災につながることがある。

同様に、薬剤による配線や金属部品の腐食、劣化も起こりうる。つまり、エアコンの洗浄というのはプロの仕事なのだ。一般の人は手を出すべきではない旨、しっかりと心得ておこう。 

なおトラッキング現象とは、液体やホコリの付着により、電気を使う機器の内部や配線等に余計な電気の通り道が形成され、そこで異常な発熱や発火が起こる現象のことをいう。

2.素人の配線修理、専用コンセントに関する無知など

エアコンに限らないが、知識のない一般人が電源コードの破損を修理したり、別々のコードを継ぎ足そうと銅線を一旦剥き出しにし、「ねじり接続」を行ったりするのは大変危険な行為だ。発火事故の原因となりかねない。

ましてやエアコンは始動時、一時的に大電流が生じるなど配線等の負担がとても大きい。そのためエアコンの設置場所には必ず専用コンセントが設けられている。室内の他のコンセントとは、位置も内部の回路も明確に別けることで安全が保たれているかたちだ。 

なので室内機周りにしても、室外機周りにしても、素人によるコード・配線の補修や延長は絶対にご法度だ。コネクターや延長コード、テーブルタップの使用も同様。いずれも発火の恐れがあるためだ。

知識がないと、エアコン専用のコンセントを何らかの理由で別の機器に使用、エアコンの電源の方は延長コードにつなげてそのまま一般のコンセントに接続……などといった危険なことをしてしまいやすいので、ぜひ気を付けたい。

3.虫の侵入

完全防御は難しいが、エアコン内部に虫が侵入しての「回路がショート~発火」といった事故も実際に起きているので注意したい。つまり、虫がさきほどのトラッキング現象を引き起こすかたちだ。

そのうえでエアコンの場合、ほかの家電と違って室外機と室内機に構造が分かれている。なおかつ、両者はパイプでつながれているため、外部からの虫の侵入が起きやすい。なので、できる限りの予防策としては、室外機の周りに虫が集まらない手当てが肝心だ。

室外機が置かれたベランダでのゴミの放置や、室外機に近い場所に植木やダンボールを置くといった行為を避けることで、少しでも事故を予防したい。

今後ますますエアコン頼みとなりそうな日本の夏

以上、「猛暑の季節が来る前にエアコンの試運転を行うことのススメ」、「エアコンが火災原因となることがある事実」――、エアコンに関する2つの注意を採り上げてみた。エアコンが大活躍する夏の快適と安全のため、ぜひ参考にしてほしい。

ある資料を紹介しよう。気象庁が公表しているひとつに、「日最高気温35℃以上の年間日数における観測史上の1~10位」というランキングデータがある。最高気温が35℃以上に上がった日の数を年ごとに数え、比べたもので、対象期間は1875年から現在までと大変長くなっている。

しかしながら、そんな前提でありつつも、例えば観測地点を東京に置くと、なんとTOP10のうちの6つを2010年代以降が占めてしまう(1位2010年のほか3~7位)。過去に比べて猛暑が激しくなったといわれる近年の夏を如実に示す結果といっていいだろう。

われわれの夏の生活は、今後もますますエアコン頼みとなる予感が濃くなっている。

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この記事を書いた人

編集者・ライター

賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室

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