私って誰から部屋を借りているんだろう? 賃貸住宅の「かたち」をおさらいしてみよう(1/2ページ)
賃貸幸せラボラトリー
2022/04/21
イメージ/©︎garage38・123RF
え、不動産会社さんじゃなかったの?
「いま住んでいる部屋、あなたは誰から借りているの?」と、賃貸住宅に暮らす若者などに尋ねると、頼りない答えが返ってくることがある。
「え? 駅前のA賃貸センターさんじゃないかな」
ところがその会社、実は入居者募集を担当しただけの「客付け」仲介会社だったりする。その後、年月を経たいまは、入居者本人とはまったくつながりのない存在となっている。
「分かった! C保証さんだ。預金通帳を見ると、この会社が毎月家賃を引き落としていますから」……いやいや、それは家賃債務保証会社だ。
これでは普段の生活に支障はないにしても、いざ何か起きたとき心もとない。賃貸住宅を借りて住む場合、誰がその物件の所有者だったり、貸主だったりするのか、いま一度おさらいをしてみよう。
さらに、賃貸物件の管理についても整理しておこう。こちらは「誰があなたの物件を管理しているの?」だ。
あなたは誰から部屋を借りているの?
1.個人オーナーから借りている
もっとも多いケースがこれだ。あなたはそのアパートやマンションを所有している個人から、部屋かもしくは一戸建てであればその家を借りている。この場合、賃貸借契約書には賃貸人=貸主として、その個人本人の名前が書かれているはずだ。いわゆるオーナー・大家さんだ。
ちなみに、アパートや比較的小規模なマンションの場合、オーナーはその建物1棟をまるごと所有しているケースが多い。一方、もともと分譲物件として建てられた大規模なマンションなどでは、その部屋のみの持ち主=区分所有者であることが一般的だ。
そんなオーナーあるいは大家さん、入居者にとっては1対1の契約関係にある重要な相手だが、「一度も会ったことがない」との声も普通に多い。入居者募集~契約~入居に始まり、その後も仲介会社や管理会社(まとめて不動産会社)が両者の間に入り、オーナーに代わって諸々の世話をやいていることが多いためだ。
なおかつ家賃の受け取りも、近年はオーナーの口座が使われず、管理会社や家賃債務保証会社が代行するケースが多い。そのため、入居者とオーナーとの距離はますます隔たりがちなものとなっている。
2.法人オーナーから借りている
先ほどのオーナーが、個人ではなく法人の場合もある。企業などの法人が、住宅を貸しているケースだ。
この場合、大きく分けて3つのかたちがある。ひとつは、個人オーナーによるいわゆる事業の法人化だ。多くは課税対策が目的となっている。この場合、個人によるオーナー業と基本として実態は変わらない。
さらには、仲介会社や管理会社が、さまざまな理由で自ら物件の所有者となっていて、これを入居者に貸しているケースも少なくない。
加えて、不動産業務とは直接関係のない法人が、オーナーとなって賃貸住宅を営んでいるケースもある。
3.転貸主から借りている
いわゆるサブリースといわれるものがこれにあたる。入居者に物件を貸しているのは不動産会社の一種であるサブリース会社だが、物件そのものは彼らの所有物ではない。オーナーは別に存在する。サブリース会社が、そのオーナーから借りた物件を転貸、つまり又貸ししているかたちだ。
ちなみに「サブリース」とよく大掴みにいわれるが、正しくはオーナーとサブリース会社との間に交わされる契約をマスターリースと呼び、サブリース会社と入居者の間に交わされる契約をサブリースと呼ぶ。
またサブリース会社は、通常、後述する「管理をオーナーから全部委託」されている管理会社の立場もとる。なぜなら、サブリースをわざわざ選ぶオーナーに、自ら賃貸経営の現場で手間を労したいとする人は理屈としていないためだ。(ただし、複数の物件を持っていて、物件ごとに関与の仕方を変えるオーナーはいる)
この記事を書いた人
編集者・ライター
賃貸住宅に住む人、賃貸住宅を経営するオーナー、どちらの視点にも立ちながら、それぞれの幸せを考える研究室