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食事を華やかに演出する「テーブルウェア」の歴史と基本(1/2ページ)

MieMie

2021/03/10

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16世紀以前はフランス王室も手づかみで食事をしていた?

今回前回までの記事一覧からは「テーブルウェア」についてのお話です。

「テーブルウェア」とは食器類の総称で、日本なら和食器で揃え、欧米なら洋食器で揃えるといったように料理によって使い分けられますが食事の際に使用するアイテムの全総称を「テーブルウェア」と呼びます。

【照明器具の選び方】の章で、食事を美味しく引き立たせる照明の配置や器具類の選別をご紹介しましたが、それに加えて室内空間や料理に適した「テーブルウェア」を選択することで食卓もライフスタイルも気分も、より一層、豊かになります。

「テーブルウェア」には食事を取る空間や料理との相性がありますので、より良い食卓を求めるには空間やシチュエーションに適した物を揃えることが必要です。単に料理の盛り付けだけにとどまらずに、ライフスタイルの趣味趣向やインテリアにも調和することが大切です。

今回はヨーロッパの多くの食卓で使われているテーブルウェア(お皿、カトラリー類のスプーンとフォークとナイフ、グラス、ナプキン、テーブルクロス)に関する歴史や役割をお話ししていきます。

ヨーロッパでのテーブルウェア文化が始まる以前は、木材や地味な色調の陶器のお皿しか存在しなかったため、その当時のヨーロッパの多くの国々では、一般庶民も貴族も粗野に盛り付けされた料理をお皿に乗せて手づかみで食事をして、テーブルクロスで口を拭いていました。

ナイフとフォークを使って食事をするスタイルは現代からさかのぼって、わずか数百年程度の歴史しかありません。ですから、人類の歴史的、文化的な視点からの考察では、最近になって生まれた文化といっても過言ではないのです。

ヨーロッパのテーブルウェア文化が広まったのは16世紀といわれ、中国から《磁器》が伝わったころといわれています。白く美しく薄く硬く頑丈な《磁器》にヨーロッパの富裕層たちは瞬く間に魅了され、テーブルウェア文化が一気に開花しました。

テーブルマナーのはじまりは「メディチ家」から

最初に《磁器》の製法がヨーロッパで伝わったのはイタリアのフィレンツェでした。その当時、すでに金融業などのビジネスで財を増幅させていたフィレンツェの名門貴族であった「メディチ家」は《磁器》の複製品を製造してさらに大成功を収めます。

「テ-ブルウェア」という言葉が一般的に使われはじめたのは18世紀中頃、1766年あたりのヨーロッパといわれています。


©katsuhikoyamagishi・123RF

「テーブルウェア」では、いろいろな食器類を使うため、テーブルマナーが必須となります。そして、このテーブルマナーの起源も「メディチ家」出身の花嫁がフランス王室に嫁いだときからといわれています。

花嫁と一緒に大勢の料理人、デザート職人、香料師たちと一緒に、食器、カトラリー類など(食卓用のナイフ、フォーク、スプーンなど)もフランスに持ち込まれました。それまでスプーン、フォーク、ナイフを使う習慣のなかったフランス王室はイタリアから嫁いで来た花嫁の洗練された食事風景を見て、さぞかし驚き、共に魅了されたことでしょう。つまり、フランス料理の原点はイタリア料理に始まり、テーブルマナーもイタリアが始まりなのです。

このイタリア上流階級分化を目の当たりにしたことをきっかけに、フランスは洗練された優雅な料理とテーブルマナーの文化が発展し、「テーブルウェア」もヨーロッパ全土に浸透することとなったのです。

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この記事を書いた人

MIE色彩研究社代表

自由が丘産能短期大学能率課インテリアコーディネーター課程卒業。産業能率大学情報マネジメント学部卒業。東京商工会議所カラーコーディネーター検定試験認定講師。電子機器製造メーカー、産業機械商社に勤めながら、社会人学生として産業心理学を学び、色彩と人間の意識との深い結びつきに共感。さまざまな社会経験を通して、色彩と人の意識に関わる数多くの実証の基、色彩スペシャリストとして事業を展開。東京都中央区銀座のオフィスではこれまでに培ったパーソナルカラー、空間色彩、商品色彩、カラースクール、色彩セミナーなどを個人、法人を問わず全国で行っている。趣味は街散策。

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